ジュゴンの死。この意味を今こそ問い直す時。

 沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2019年3月19日、「沖縄本島・古宇利島周辺で生息のジュゴンか 運天漁港に死骸漂着」、と次のように報じた。

(1)沖縄本島周辺に生息していた天然記念物のジュゴン3頭のうちの1頭とみられる死骸が18日、今帰仁村の運天漁港沖の防波堤付近に漂着した。今帰仁漁業協同組合の組合員が発見し、漁港内で保管している。識者によると、同村古宇利島周辺海域に生息していた「個体B」とみられる。県や国は19日以降、この個体を確認し、死因などを調べる。
(2)発見されたジュゴンは体長約3メートル。頭部や顔、胸ビレに傷や出血があり、ところどころ皮がむけている。生きている個体Bが最後に確認されたのは今年1月8日。沖縄防衛局による同海域の航空機調査だった。
(3)同漁協組合員は午後5時すぎ、防波堤付近でジュゴンを発見。尾びれにロープを結び、船で引っ張って漁港内に運び入れ、県と環境省に連絡した。
(4)ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎事務局長は身体的特徴から個体Bと断定。「沖縄島周辺の3頭の中でも唯一確認できていたジュゴンだった」と残念がった。(北部報道部・又吉嘉例)


 このことに関して、「タイムス」は「[ジュゴンが死んだ]なぜ守れなかったのか」、と社説で、論じた。
「タイムス」は、「港の岸壁に横たう姿が痛々しい。」、と次のように描写する。


(1)今帰仁村の運天漁港沖で死んだ状態で漂着しているジュゴン1頭を漁協の組合員が発見した。体長約3メートル、頭部や胸ビレに傷、出血がみられ、ところどころ皮がむけた状態だった。漁師でさえ初めて見たといい、しかも死骸であったことのショックは大きい。
(2)ジュゴンは人魚のモデルといわれる国の天然記念物である。国内では沖縄本島周辺にしか生息せず、確認されているのは個体A、B、Cと呼ばれる3頭だけである。
(3)辺野古新基地建設が進む前は、辺野古・大浦湾などで海藻藻場の食み跡が確認されたり、周辺海域で回遊する姿がみられたりした。
(4)今回ジュゴンネットワーク沖縄が死骸を調べ、体の特徴から3頭のうちのBと断定した。親子とみられる2頭のうちの親の方である。
(5)最後に見られたのは今年1月8日。古宇利島周辺が主な生息域で、埋め立て土砂を積んだ運搬船が名護市の西側から東側に回る航路を取るため、影響が懸念されていた。


 だから、「タイムス」は、「ジュゴンBは古宇利島を離れ、辺戸岬を回り、西海岸の安田沖に移動したことがある。日本自然保護協会も、運搬船が生息に影響を与えた可能性を指摘する。3頭のうちの1頭が死んでみつかり、国内における生息状況は危機的状況となったといえる。ジュゴンBは何が原因で死んでしまったのか。政府は徹底調査し、明らかにしなければならない。」、と警鐘を鳴らす。
 また、次のように指摘する。


(1)心配なのは、残り2頭も行方不明で、今どこにいるかわからないことである。
(2)ジュゴンAが嘉陽沖、Bの子とみられるCは古宇利島から辺野古沖で確認されていた。しかし、Cは2015年6月以降、Aは18年9月以降、行方がわからなくなっている。
(3)元知事の埋め立て承認の際、防衛省沖縄防衛局と交わした「留意事項」には、「ジュゴン等の保護対策の実施に万全を期す。実施状況を県および関係市町村に報告する」と明示している。順守しているのか説明してもらいたい。
(4)元知事による埋め立て承認手続きを検証した第三者委員会は防衛局がジュゴンの食み跡を認識しながら「辺野古地域を恒常的には利用していない」と評価していることに対し、「当該水域の重要性や、ジュゴンの貴重性を理解しておらず問題がある」と指摘した。当時から環境保全への対応が不十分だったのである。
(5)留意事項で設置された「環境監視等委員会」は本来の役割を果たしていない。ジュゴンがいなくなったことに、防衛局は工事の影響ではないと説明するが、副委員長を務め辞任した故東清二琉球大名誉教授は「ジュゴンの食草である海藻の分布と密度、何頭いるかなどの調査を依頼したが、何も調べない」と委員会の内情を暴露し、批判した。


 「タイムス」は、「日本自然保護協会も安倍晋三首相あての『埋め立て工事の即時中断を求める意見書』を発表した。政府は工事をストップした上で、範囲を沖縄本島全域や離島にまで広げて追跡調査すべきである。」、と要求する。


 確かに、ジュゴンが何故死ななければならなかったのを問うことは、日本という国の未来に関わる。



by asyagi-df-2014 | 2019-03-29 07:11 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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