「裁判所は『社会通念』を重視する決定を出しているが、国民の思いとは大きく異なる。」、と大分合同新聞は主張。

 大分合同新聞(以下合同)は2019年3月16日、「『司法は住民を切り捨てた』―。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転禁止を求める仮処分申請を却下した15日の山口地裁岩国支部決定に対し、住民側弁護団は『無責任だ』と怒りをあらわにした。」、
と伊方原発の仮処分却下の判断に、住民の怒りの声を対置させた。
また、合同はこの怒りの意味を、「伊方原発の仮処分却下 社会通念は安全神話か」、とその論説で論評した。
まず合同は、次のように抑える。


(1)福島第1原発の事故発生から8年が経過した。原発の稼働停止を求める住民側の訴えに対し、裁判所は原発の危険性について「社会通念」の判断から稼働を認めることが多い。老朽原発の運転延長なども含め、原発事故の風化さえ感じられる。
(2)四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを山口県内の住民3人が求めた仮処分申請について、山口地裁岩国支部は15日、却下する決定をした。


 次に、合同は、何が争点だったのか、司法の判断の問題について、次のように指摘する。。


(1)同支部で最大の争点になったのは、原発沖の活断層リスクをどう評価するかだった。
(2)審尋で住民側は小松正幸・愛媛大学元学長(地質学)の見解を基に、「伊予灘沖約8キロにある活断層帯は、中央構造線の本体ではない。本体はもっと原発に近く、地震を引き起こす可能性がある」と指摘した。
(3)原発が立地する際、場所を決めてから活断層などの調査を電力会社側がする。当然、立地を難しくする調査結果については慎重な姿勢になりがちだ。
(4)鈴木康弘・名古屋大学教授は著書「原発と活断層」で「最大の問題は、調査を全て電力会社に委ね、政府が責任を負わない点にある。活断層調査は、調査位置が数メートルずれただけで誤った結論を招く恐れもある」「“安全審査の手引”など策定中の議論で、従来の活断層認定には問題が多く、活断層が見落とされている事実に向き合わざるをえなくなった」と指摘する。
(5)2017年末、広島高裁は阿蘇山の巨大噴火リスクを理由に伊方原発3号機の運転を禁じる決定を出した。阿蘇カルデラは伊方原発から130キロに位置し、約9万年前に大爆発を起こしている。広島地裁で18年8月にあった仮処分申請の審尋で、火山学の専門家は「阿蘇からの火砕流は伊方に到達したと考えられる」と警告した。しかし、同年9月の異議審決定で広島高裁は「社会通念上、リスクは無視できる」と稼働を容認。山口地裁岩国支部も「巨大噴火の発生頻度は著しく小さく、(原発)運用期間中に巨大噴火が発生する具体的根拠があるといえない場合、社会通念上容認できる水準以下と評価できる」と同様の判断だった。


 特に、合同は、この間重要な争点となってきた「社会通念」のことについて、次のように明確に批判する。


(1)福島第1原発事故は、想定を上回る津波が発生することが指摘されていたのに、先送りしたことが取り返しのつかない大惨事につながった。
(2)日本世論調査会が実施した防災世論調査で、福島第1原発事故のような深刻な原発事故が起こる可能性について「心配が残る」と答えた人は86%にも達した。
(3)裁判所は「社会通念」を重視する決定を出しているが、国民の思いとは大きく異なる。過去起きたか、あるいは可能性がある最大規模の地震や火山噴火を検討材料から外しては、福島第1原発事故の要因ともなった“安全神話”になりかねない。可能性のある地震や火山噴火をクリアできない原発は廃止すべきだろう。


 ここで、こんなことを書くのは、相応しくないのだが、今回の合同の原発問題について論説は、私自身の合同への偏見を払拭する。
 確かに、「裁判所は『社会通念』を重視する決定を出しているが、国民の思いとは大きく異なる。過去起きたか、あるいは可能性がある最大規模の地震や火山噴火を検討材料から外しては、福島第1原発事故の要因ともなった“安全神話”になりかねない。可能性のある地震や火山噴火をクリアできない原発は廃止すべきだろう。」(合同再掲)に、繋がる。




by asyagi-df-2014 | 2019-03-22 07:07 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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