2019年2月25日の朝-2月24日を超えて。(3)

 2019年2月25日の朝は、一つの「判断喜基準」がもたらされたことを知らせた。
 私たちはこれから先、この「判断基準」ををどのように受けとめているかを見つめる中で、自分自身のあり方を見つめ直すことになる。
まずは、どのような「判断基準」が示されたのか。
 沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は、「沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に必要な埋め立ての賛否を問う県民投票が24日、投開票された。3択のうち、埋め立てに「反対」は43万4273票に上り、投票総数の71・7%を占めた。県民投票条例で定める知事の結果尊重義務が生じる投票資格者総数の4分の1を超え、昨年9月の知事選で新基地建設反対を訴えて当選した玉城デニー知事が獲得した過去最多得票の39万6632票も上回った。「賛成」11万4933票で、反対が賛成の3・8倍に達した。「どちらでもない」は5万2682票。投票資格者総数は115万3591人で、投票総数は60万5385人。注目された投票率は52・48%だった。」、と記した。
 もちろんこの「判断基準」については、「沖縄の人の『うむい』(思い)を重く受け止めてほしい(「『辺野古』県民投票の会」の元山仁士郎代表}」、との訴えが込められていることを常に反芻することになる。


 さて、この2月24日の結果を各新聞社がどのように受けとめることができたのか。
25日の朝に確認できた社説・論説について、私なりに区分けしてみた。なお、沖縄の二紙は除いている。


1.安倍晋三政権に向けて
・朝日新聞社説-沖縄県民投票 結果に真摯に向きあえ
・毎日新聞社説-「辺野古」反対が多数 もはや埋め立てはやめよ
・東京新聞社説-辺野古反対 沖縄の思い受け止めよ
・大分合同新聞論説-沖縄県民投票で反対過半数 県と改めて対話が必要
・南日本新聞社説-[辺野古軟弱地盤] 改良工事は非現実的だ-2019年2月24日

2.沖縄県の民意の重さ
・茨城新聞論説-沖縄県民投票 一度、立ち止まるべきだ
・佐賀新聞論説-沖縄県民投票で反対過半数 一度、立ち止まるべきだ
・北海道新聞社説-沖縄県民投票 辺野古反対の民意重い
・信濃毎日新聞社説-辺野古「反対」 民意の黙殺は許されない
・京都新聞社説- 沖縄県民投票  「新基地ノー」が民意だ
・中国新聞社説-沖縄県民投票 民意は明確に示された
・西日本新聞社説-沖縄県民投票 示された揺るぎない民意
・大分合同新聞論説-沖縄県民投票で反対過半数 県と改めて対話が必要

2.日本国民一人一人に向けて
・宮崎日日新聞社説-沖縄の県民投票 意識問われるのは「本土」だ

3.安倍晋三政権に寄り添うために
・産経新聞主張-沖縄県民投票 国は移設を粘り強く説け


 ここでは、朝日新聞(以下、「朝日」)の社説を見てみる。
「朝日」は、まず最初に、「沖縄県民は「辺野古ノー」の強い意思を改めて表明した。この事態を受けてなお、安倍政権は破綻(はたん)が明らかな計画を推し進めるつもりだろうか。」、と根本的な問いを投げかける。
その問いは、安倍晋三政権に対してだけでなく、日本国民に向けられたものである。
 まさしく、次のことを問うている。


(1)日本国憲法には、法の下の平等、基本的人権の尊重、地方自治の原則が明記されている。民主主義国家において民意と乖離(かいり)した外交・安保政策は成り立たず、また、住民の反発と敵意に囲まれるなかで基地の安定的な運用など望むべくもない。この当たり前の事実に、政府は目を向けるべきだ。
(2)政府だけではない。県民投票に向けて署名集めに取り組んできた人たちは、沖縄という地域を超え、全国で議論が深まることに期待を寄せる。自分たちのまちで、同じような問題が持ちあがり、政府が同じような振る舞いをしたら、自分はどうするか。そんな視点で辺野古問題を考えてみるのも、ひとつの方法だろう。
(3)沖縄の声をどう受けとめ、向き合うか。問われているのは、国のありようそのものだ。


 また、「朝日」は、2月24日という日の意味を、次のように指摘する。


(1)米軍普天間飛行場を移設するために辺野古の海を埋め立てることの賛否を問うた昨日の県民投票は、「反対」が圧倒的多数を占めた。全有権者の4分の1を超えたため、県民投票条例に基づき、結果は日米両政府に通知され、玉城デニー知事はこれを尊重する義務を負う。
(2)知事選や国政選挙などを通じて、沖縄の民意ははっきり示されてきた。だが、争点を一つに絞り、曲折を経て、全県で実施された今回の投票の重みは、また違ったものがある。自民、公明両党などが「自主投票」を掲げ、組織的な運動をしなかったことから心配された投票率も、50%を上回った。法的拘束力はないとはいえ、政府は今度こそ、県民の意見に真摯に耳を傾けねばならない。
(3)辺野古問題がここまでこじれた原因は、有無を言わさぬ現政権の強硬姿勢がある。最近も、埋め立て承認を撤回した知事の判断を脱法的な手法で無効化し、土砂の投入に踏みきった。建設予定海域に想定外の軟弱地盤が広がることを把握しながらそれを隠し続け、今も工期や費用について確たる見通しをもたないまま「辺野古が唯一の解決策」と唱える。自分たちの行いを正当化するために持ちだすのが、「外交・安全保障は国の専権事項」という決まり文句だ。たしかに国の存在や判断抜きに外交・安保を語ることはできない。だからといって、ひとつの県に過重な負担を強い、異議申し立てを封殺していいはずがない。


 最後に、各新聞社の主張で心に残るものを挙げる。


(1)埋め立て予定区域に広大な軟弱地盤が見つかり、そもそも辺野古に大規模な飛行場を建設する計画の実現可能性が揺らいでいる。もはや普天間の辺野古移設は政治的にも技術的にも極めて困難になった。政府にいま必要なのはこの現実を冷静に受け入れる判断力だ。(毎日新聞)
(2)重ねて沖縄の揺るぎない民意が示された。民主主義と地方自治を守るのなら政府は県民投票結果を尊重し、工事を中止した上で県民との対話に臨むべきだ。国民全体で沖縄の選択を重く受け止めたい。(東京新聞)
(3)今回、「賛成」「どちらでもない」に集まった票には普天間の危険性除去に対する思いがあろう。無論、「反対」を選んだ県民もその願いは同じはず。普天間返還はこの際、辺野古の問題と切り離して解決すべきだ。(東京新聞)
(4)今回の結果は、県民が「移設ノー」の答えを鮮明に突きつけたと言える。国はただちに辺野古への土砂投入をやめ、県との対話を通じて新たな解決策を見いだすべきだ。(北海道新聞)
(5)菅義偉官房長官は先週、投票結果によらず工事を続行する方針を示しただけでなく、移設の代替案を県が示していないことを批判した。責任転嫁と言うほかない。(北海道新聞)
(6)反対意見に耳を傾けず、一方的に国の方針を押し付ける―。そんなやり方を許せば、どの自治体でも同じことが起こり得る。沖縄にとどまらず、民主主義や地方自治の在り方に関わる問題である。国民全体で向き合い、政府に転換を迫っていきたい。(信濃毎日新聞)
(7)安倍晋三首相は市街地にある普天間飛行場の固定化を避けるために辺野古移設を進めると強調する。だが、2013年の日米合意では滑走路が短い辺野古に替わる緊急時の民間施設の使用が普天間返還の条件となっている。その条件が整っていないことを政府は認めている。辺野古の完成で普天間が必ず返還されるわけではないのだ。安保政策は国の専管事項だとしても、県民の声に耳を傾けず、多くの問題を抱える移設計画を進めていいのか。再考を求めたい。(茨城新聞)
(8)今後問われるのは、事実上、基地を沖縄に押し付けてきた本土の姿勢だ。安全保障を含め負担のあり方を日本全体で具体的に考える機会にしたい。(京都新聞)
(9)投票結果に法的拘束力はないが、辺野古移設に絞った投票でこれほど明確な結果が出た以上、安倍晋三政権は少なくとも工事を中断すべきである。(西日本新聞)
(10)安全保障問題は政府の専管事項であり、住民投票のテーマとすべきでないとの意見もある。しかし、国策が地方の声を無視して進められる時、住民投票による「異議申し立て」の意思表示には大きな意味がある。(西日本新聞)
(11)私たち本土の住民も、沖縄の基地負担の現状と投票結果を重く受け止め、いま一度、日本全体の問題として考えたい。(西日本新聞)
(12)辺野古移設の是非を沖縄県民だけに問うのは妥当だろうか。辺野古移設は政府が進めている計画であり、日本の安全保障政策上の観点から抑止力の維持をその理由に挙げている。日本全体の安保政策であるならば、全国民が考えなければならない問題だ。問われるのは「本土」側の意識であり、国民一人一人が当事者としてその是非を考えたい。(宮崎日日新聞)
(13)県民投票は、議員を通じた間接民主制では把握しきれない個別事案への意識を問う直接民主制の手法であり、間接民主制を補完するものだ。一方で、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票のように、混乱や市民の分断を招く恐れも指摘される。だが沖縄県民が分断されるとすれば、その原因は誰がつくっているのか。本土の側の責任こそを自覚すべきだろう。(宮崎日日新聞)
(14)県民投票は1996年に続いて2回目だ。23年前も米軍基地の整理・縮小に「賛成」が圧倒的多数を占めた。だが、在日米軍専用施設は今も約70%が沖縄に集中している。これ以上の負担は「ノー」だという声に真摯(しんし)に耳を傾けるべきだろう。(大分合同新聞)


 さて、2019年2月25日の朝は、2019年2月24日という日の意味を示してくれた。
確かに、次のことが明確になった。

1.安倍晋三政権が憲法違反を厭わない強権的に進めようとする「辺野古新基地建設」の計画は、すでに「破綻」していること。
2.安倍晋三政権の進む道は、「辺野古新基地建設工事を中止し、新基地建設とは切り離して最優先で普天間飛行場の運用停止に向けて対米交渉へ行動を起こすこと」でしかない。
3.「普天間返還問題」と「辺野古真意基地建設」は、分離して解決する問題として、再確認すること。
4.2019年2月24日の沖縄の民意を受け止めること。また、このことについて、どのようにう受けとめ、向き合っていくのかが、問われていることを日本全体で確認すること。
5.国民一人一人が当事者として、安全保障はどうあるべきなのかを問い直す時期にきていることを確認すること。





by asyagi-df-2014 | 2019-03-05 10:19 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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