「5つの市町村長の対応は違法だ」、と小口幸人弁護士。

 辺野古の県民投票に参加しない判断について、小口幸人弁護士(以下、「小口」)は、2019年1月16日のFBで、「辺野古の県民投票に参加しない判断について、新たな切り口から批判します。以下私見です。自民党の宮崎議員の解釈が正しいとすると、・憲法改正の国民投票も・解散総選挙も、市町村長の裁量で拒否できるということになります。よって、宮崎議員の解釈は間違っており、5つの市町村長の対応は違法だと思います。」、と解説してくれています。
「小口」の批判は、次のものです。


1 宮崎議員の解釈(知ってる方は、読み飛ばしてもOK)
「資料の中で宮崎氏は、議会で予算が否決された場合に市町村長は「経費を支出することができる」という地方自治法177条の規定に触れている。この規定で市町村長は原案を執行することが「できる」のであって「議会で予算案が否決された事実を前に、これに反して市町村長が予算案を執行することは議会軽視であり、不適切である」としている。」
※2019/1/16琉球新報より

2 予算と選挙の仕組み(ご存じでした?)
市町村がお金を使うには、予算に基づかなければなりません。県や国から、交付金として補填される場合(一時立替えみたいな)でも、市町村の予算が必要です。
県民投票でも、県から交付金で補填されますが、市町村の予算が必要なのです。ところが、それが議会で否決され、市町村長も支出しないと宣言しているというのが現在の問題です。

 そして、このことは、公職選挙法に基づく選挙でも同じです。
衆議院の解散総選挙は、例によって突然行われるわけですが、総理が解散!としたとき、実は市町村が、慌てて予算を編成しています。議会を開催していれば補正予算。議会を開催していなければ専決処分をしています。

 憲法改正の国民投票を実施するときも同じです。市町村の選挙管理委員会が動きますので、市町村の予算は必要です(国が交付金で補填)。

3 議会との関係(地方自治法177条の話)
 市町村長と議会との関係は、地方自治法第7章第2節第4款(176~180条)で定められています。

 例えば、総理が突然解散総選挙をして、そのとき地方議会が開催されていないときはどうなっているかというと、市町村長が、地方自治法179条に基づいて専決処分というのをして、予算をつけています。
※ちなみに179条も「できる」であって「しなければならない」ではありません。

 そして、議会が予算を否決した場合に関する定めが、地方自治法177条です。

 地方自治法177条1項は、議会が予算を否決したり減額して議決したときは、その予算が、法律上の義務の履行による経費であるときは、市町村長は再議に付さなければならない、と定めています。
 つまり、安倍総理が解散総選挙をしたけれど、「あんな解散の仕方はおかしい、解散理由も不当で憲法違反だ」と議会が考え、解散総選挙に関する予算を否決したときであっても、市町村長は再議に付さなければなりません。

 そして、地方自治法177条2項は、再議が否決された場合をさだめており、議会が否決したときでも、市町村長は、その経費を予算に計上して支出することが「できる」と定めています。

4 177条2の「できる」の解釈(宮崎議員説)
 宮崎議員は、この177条の2には「できる」と書かれているから、市町村長は、議会が否決したことを尊重し支出しなくてもよい、つまり、するかしないか裁量があると主張しています。

 上記の例でいくと、議会の「あんな解散の仕方はおかしい、解散理由も不当で憲法違反だ」という判断を尊重して、市町村は経費を支出すべきではないと言うわけです。その市町村では解散総選挙が実施されなくなります。

 先に述べたとおり、憲法改正についても同じです。憲法改正の発議の仕方に問題がある、あるいは内容に問題があると思い、市町村議会が再議も否決したなら、市町村長は、議会が否決したことを尊重し、支出しなくてもよい、つまり、するかしないか裁量があるというのが宮崎議員の解釈になります。

 全国には1800を越える市町村がありますので、宮崎議員の解釈によるなら、全国一律で選挙を行うことなど不可能な気がしますし、憲法改正の国民投票については、実際にどこかの市町村が実施しなそうな気がします。

 こんな解釈はおかしい、と私は思うのですがいかがでしょうか?

5 正しい解釈
177条の2について、「行政法が専門の井上禎男琉球大学法科大学院教授は「地方自治法177条の枠だけで、市町村長の判断を正当化することはできない」と指摘」しています。
※2019/1/16の琉球新報より

つまり、177条の2の「できる」だけでは決まりませんよと。
法令で、当該事務を実施しなければならない法律上の義務を市町村が負っているときは、177条の2に「できる」と書いてあったとしても、市町村は、支出しなければならないこともあるんです、という指摘です。

私もこの解釈が正しいと思います。
つまり、法律上の義務を負っているときは、それが、解散総選挙のときも、憲法解散の国民投票のときも、そして県民投票のときも、市町村長は、支出しなければならないのです。

つまり、県民投票の経費を支出しないとしている、5つの市町村長の対応は違法という結論になります。





by asyagi-df-2014 | 2019-01-24 07:53 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧
更新通知を受け取る