米国製兵器の輸入拡大で防衛費が毎年増加している問題は、憲法の平和主義、人権保障だけでなく、国際人権規約に反する。

 表題について、「『政府が米国などから莫大(ばくだい)な額の兵器を買い込む一方で、生活保護費や年金の切り下げ、貧弱な教育予算を放置することは、憲法の平和主義、人権保障だけでなく、国際人権規約に反する』との抗議声明」と「防衛費 借金漬け鮮明 補正予算への付け替え拡大」等の東京新聞の記事から考える。
東京新聞(以下、「東京」)は2018年12月21日、「防衛費増大に抗議声明 大学教授ら『人権規約に反する』」、と次のように報じた。


(1)米国製兵器の輸入拡大で防衛費が毎年増加している問題で、申惠ボン(しんへぼん)青山学院大教授(国際人権法)らが二十日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で会見し『政府が米国などから莫大(ばくだい)な額の兵器を買い込む一方で、生活保護費や年金の切り下げ、貧弱な教育予算を放置することは、憲法の平和主義、人権保障だけでなく、国際人権規約に反する』との抗議声明を発表した。
(2)声明は申さんら十八人の大学教員や弁護士が呼び掛け、東京大大学院の高橋哲哉教授(哲学)、小林節慶応大名誉教授(憲法学)、伊藤真弁護士ら約二百十人が賛同者に名を連ねた。
(3)声明では、安倍政権は史上最高規模の防衛予算を支出し、その補填(ほてん)として補正予算も使っているのは、憲法の財政民主主義に反すると指摘。「主要先進国で最悪の財政状況にある日本にとって、米国の赤字解消のため借金を重ねて巨額の予算を費やすのは常軌を逸している」と批判している。一方で「政府は生活保護費の減額で予算削減を見込んでいるが、米国からの野放図な兵器購入を抑えれば必要なかった」と指摘。「社会保障や適切な生活水準の権利の実現を後退させることは、国際人権規約に反する」とした。
(4)申さんは会見で「巨額の武器を米国の言い値でローンまで組んで買うのが問題。貧困・格差が広がっており、財政破綻しないように限られた予算をどれだけ防衛費に割くか、真剣に考えないと。中国が軍事力を増やすからと張り合えば、際限のない軍拡競争。十九世紀に逆戻りだ」と話した。 
(5)<国際人権規約>:1948年の「世界人権宣言」を条約化し、66年に国連総会で採択され、76年に発効した。社会保障を受ける権利や教育を受ける権利、労働権などを定めた「社会権規約」と、差別の禁止や思想、言論の自由などを定めた「自由権規約」の二つから成る。


 この声明が批判する「巨額の武器を米国の言い値でローンまで組んで買うのが問題」について、「東京」は2018年12月22日、「<税を追う>防衛費 借金漬け鮮明 補正予算への付け替え拡大」、と次のように報じた。


(1)二〇一九年度の防衛予算は実質的には五兆五千八百億円-。二十一日に閣議決定した一九年度予算案で、防衛費は五兆二千六百億円だったが、同時に決定した一八年度の第二次補正予算に兵器ローンの返済三千二百億円が計上されたからだ。過去最大を毎年更新し続ける防衛予算だが、一般から見えにくいところで、さらに膨張している。
(2)防衛省は八月の一九年度予算概算要求で、上限いっぱいの五兆三千億円を要求。そのため例年は二千億円程度盛り込む米軍再編関係費の額を盛り込まない異例の措置を取った。安倍政権が米国製兵器の輸入を拡大させ、兵器ローン返済のための「歳出化経費」が増大。予算が組めない状況に追い込まれていたからだ。「(米軍関係費は)予算要求枠とは別に考えることもできる」。ある政府関係者は今回の予算編成にあたり、そう話していたが、結局、約千九百億円を計上して本予算に入れることに。
(3)そこで防衛省は防衛関連企業に支払い延期を要請したものの失敗。最終的には、一九年度の兵器ローン返済の一部に当たる約三千二百億円を、本年度の補正予算に前倒しで付け替える手法に頼った。「第二の財布」を使った裏技的なやり方は一四年度から顕著になり、毎回二千億円前後が組まれたが、今回は一次補正を合わせると四千五百億円に達した。補正予算は本来、災害時や不況対策で組まれるが、今回はP1哨戒機やC2輸送機などのローン払いで三千億円規模に上る。「補正予算の趣旨に照らせばおかしい」との疑問は防衛省の内外でくすぶる。


 また、「東京」は、このことの意味合いを、兵器ローンの「借入」と「返済」のバランスが大きく崩れたことにより、「国民にツケの恐れ」、と次のように批判する。


(1)高額兵器の取得費を複数年度で支払う兵器ローンの「借入」と「返済」のバランスが大きく崩れたのも特徴だ。一九年度のローン返済が約二兆円なのに対し、新たな借金は約二兆六千億円。返済額の一・三倍も借金をする形だ。米国政府の対外有償軍事援助(FMS)に基づく米国製の兵器輸入拡大が、防衛費を圧迫していることが背景にある。
(2)一九年度、FMSでは初の七年の長期契約を早期警戒機E2D調達で結び、価格低減を目指すが、米側次第の制度。岩屋毅防衛相は二十一日の会見で「米側を完璧に拘束できるものではないが、最大限の努力をしたい」と不透明さを認めた。
(3)今後も借金残高は増加傾向が続きかねないが、防衛省担当者は「効率化などを徹底し抑制に努める。今後のことは確たることはいえない」と繰り返すだけだ。
(4)「活動経費はこれ以上削れない。油がなければ船も車も動かない」と自衛隊幹部。国民にさらなるツケが回ってくる恐れは十分ある。
 (「税を追う」取材班)


 さらに、このことに関して、「防衛省、米兵器ローン急増 支払い延期要請1104億円」(2018年12月20日)、と次のように追求する。


(1)防衛省が国内の防衛関連企業六十二社に二〇一九年度に納入される装備品代金の支払い延期を要請している問題で、要請総額が千百四億円に上ることが分かった。米国製の高額兵器の輸入拡大で、後年度負担と呼ばれる兵器ローンの返済が急増、一九年度予算で支出削減を迫られていた。企業の多くは要請に反発しており、最終的に支払いを延期できるのは数十億円程度にとどまるとみられる。 (「税を追う」取材班)
(2)立憲民主党の白真勲(はくしんくん)参院議員がこの問題に関する質問主意書を提出し、政府が十八日、要請総額を回答した。複数の関係者によると、防衛省は十一月二日と五日の二回に分け、航空機や艦船の部品を扱う国内のメーカーや商社六十二社を同省に呼んで説明会を開催。一九年度に納入される部品の契約を変更して追加発注をする代わりに、代金の支払いは追加分が納入される二一~二三年度に一括して行うと提案した。企業の多くは「資金繰りに影響が出る」などと要請に応じていないとされる。
(3)この問題は十一月末に本紙報道で明らかになり、白氏が今月六日の参院外交防衛委員会で「支払いを待ってくれないと、予算がオーバーするのか」と追及。岩屋毅防衛相は「部品の調達量を追加するため」としながらも「過去にこのような事例はない」と異例の措置であることを認めた。
(4)岩屋防衛相は「もし(支払い延期が)可能になっても十億円ぐらいの金額ではないかと思っている」と答弁しており、最終的に数十億円程度にとどまる可能性が高い。防衛省は支払い延期に応じた企業に追加発注する部品代の総額を一九年度予算案に計上する。
(5防衛省はこれまで、支払い延期要請の総額を明らかにしていなかったが、ある防衛関連商社の幹部は「数量や代金支払時期の変更は、大きな契約変更で内々でやる話ではない」と批判。今回、防衛省が一千億円を超す多額の支払い延期を求めていたことが明らかになり、兵器の輸入増大が防衛費を圧迫している実態があらためて浮き彫りになった。白氏は「米国製兵器の輸入で歳出が大幅に伸び、既存の装備品の大幅な支払い延期を求めるとは、本末転倒だ。新たな防衛大綱も米国製兵器の購入ありきになっていて、防衛省内で本当に必要なものを精査しているのか疑問だ。国会で説明を求めていきたい」と話している。


 ここではっきりしたことは、安倍晋三政権は、2019年度予算編成で、「(米軍関係費は)予算要求枠とは別に考えることもできる」(東京新聞)とし、「そこで防衛省は防衛関連企業に支払い延期を要請したものの失敗。最終的には、一九年度の兵器ローン返済の一部に当たる約三千二百億円を、本年度の補正予算に前倒しで付け替える手法に頼った。」ことで、「『第二の財布』を使った裏技的なやり方」(東京新聞)を姑息にも押し通したということである。
 しかも、その背景には、米国から言われるままに高額兵器をの取得することによって、
「複数年度で支払う兵器ローンの『借入』と『返済』のバランスが大きく崩れたのも特徴」があるというのだ。具体的には、「一九年度のローン返済が約二兆円なのに対し、新たな借金は約二兆六千億円。返済額の一・三倍も借金をする形だ。米国政府の対外有償軍事援助(FMS)に基づく米国製の兵器輸入拡大が、防衛費を圧迫している」(東京新聞)、というのだ。
確かに、「『政府が米国などから莫大(ばくだい)な額の兵器を買い込む一方で、生活保護費や年金の切り下げ、貧弱な教育予算を放置することは、憲法の平和主義、人権保障だけでなく、国際人権規約に反する』」、との抗議声明は安倍晋三政権の根本的な過ちを言い当てている。




by asyagi-df-2014 | 2018-12-30 06:56 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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