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事件発生から約6カ月が経過してはじめて、米軍は演習中に発射された流弾だったことを認めた。

 何とまあ、時間のかかったことか。
 あまりにも事件、事故、政府の理不尽さが目立つだけに、記憶が追いついていかなくなっている。今年の6月の事件だというのに。
 それも、地位協定の問題の一つを明らかにするものであるというのに。
どういうことなのか。
 琉球新報(以下、「新報」)は2018年12月16日、「米軍流弾認める 沖縄での射撃訓練廃止を」、と社説で論評した。
「新報」は、事件の様子を次のように伝える。


(1)名護市数久田の農園の作業小屋で今年6月に発見された実弾について、米軍がキャンプ・シュワブ内の演習場レンジ10から演習中に発射された流弾だったことを認めた。発生から約6カ月が経過している。あまりにも遅すぎないか。
(2)県警は事件から7日後の6月28日に、流弾を重火器から発射された実弾と断定している。銃弾の“指紋”といわれる線条痕(ライフルマーク)で確認できたからだ。近隣で重火器を使っているのは米軍以外にない。基地内からの流弾だと認めるのがそんなに難しいことなのか。


 また、米軍の対応につい触れる。


(1)米軍はこれまで、県警の捜査に積極的に協力してきたとは言い難い。県警の基地内立ち入り調査が実現したのは事件発生から約1カ月後の7月19日だった。捜査員がレンジ10に立ち入り、訓練状況などについて米軍関係者から話を聞いている。
(2)しかし流弾と同じ実弾や資料などの提供を求めているが、米軍は応じていない。捜査をする県警が事件の容疑者側である米軍に協力を求めなければならない。極めていびつな捜査を強いられている。


 こうした事実の基に、「新報」は、次のように指摘する。


(1)流弾事件は今回が初めてではない。1972年の日本復帰以来、記録に残るものだけでも21件発生している。復帰前にも相次いで発生し、56年にはキャンプ・ハンセン内から飛んできた銃弾が金武町伊芸区の3歳女児の右太ももを直撃している。
(2)米軍は今回の流弾の原因を「管理基準のミス」と説明している。管理基準のミスというより、日本の国土面積のわずか0・6%しかない沖縄県で実弾射撃訓練を実施すること自体が無謀なのだ。
(2)米軍は現在、キャンプ・シュワブのレンジ10で重機関銃の射撃訓練を実施している。キャンプ・ハンセンでもライフルなどによる射撃訓練を行っている。訓練の際、米側は日本側に具体的な訓練場所などは通知しておらず、訓練の実態は分かっていない。
(3)キャンプ・シュワブの実弾訓練の通知は週に1度の頻度で、米軍から県や市町村に寄せられる。しかし内容は1週間の月日が記され「0時から24時」と表記されている。毎日24時間実施しているという意味だ。これでは何も明らかにしていないのと同じだ。住民軽視も甚だしい。


 だから、「新報」は、最後に、問題の解決に向けて、次のことを要求する。


(1)県警の捜査を阻んでいる元凶は日米地位協定だ。公務中に発生した米軍事件の場合、第1次裁判権は米側にあると規定されている。米軍の協力なしには基地内立ち入りも実況見分もできない。
(2)2002年の名護市、08年の金武町、17年の恩納村の流弾事件はいずれも、米軍が捜査に協力せず、県警は被疑者不詳のまま書類送検し、捜査を終えている。
(3)このまま不条理な状況を放置することはできない。日米地位協定を抜本改定し、県内の実弾射撃訓練を全面廃止すべきだ。


 確かに、まずは、日米地位協定を抜本改定するしかない。ただその前に、やれることを前倒しでやらなければならない。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-25 07:17 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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