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「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として「2018年12月14日」を捉えること。(1)

 沖縄タイムス(以下、「タイムス」)は2018年12月14日、「辺野古に土砂強行 政府新基地埋め立て」、と「号外」で伝えた。
また、「タイムス」は「辺野古に土砂投入、県民猛反発 埋め立て重大局面に」、と次のように伝えた。

(1)沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は14日午前11時、護岸で囲った埋め立て区域に土砂を初めて投入した。玉城デニー知事が13日に岩屋毅防衛相に工事を中止するよう求め、沖縄防衛局に埋め立て承認の条件となる事前協議がないことなどを理由に工事中止を文書で指導する中、政府が埋め立てを強行した格好だ。
(2)1995年の米兵による暴行事件をきっかけに、96年に日米両政府が米軍普天間飛行場返還を合意し、名護市辺野古への移設を条件とした新基地建設問題は、返還合意から22年間で最大の重要局面を迎えた。
(3)土砂が投入されたのは、「N3」「N5」「K4」の護岸で囲われた海域。名護市安和の琉球セメントの桟橋から搬出された土砂を積んだ台船が14日午前9時、「K9」護岸に接岸。ダンプトラックで陸揚げし次々と土砂を投入した。
(4)米軍キャンプ・シュワブ前や現場海域近くには早朝から反対する市民らが集まり、抗議の声を上げている。
(5)政府は承認取り消しを巡る訴訟で県が敗訴したことなどから工事の適法性を強調するが、辺野古問題を最大の争点にした9月の知事選で玉城デニー知事が当選するなど「辺野古反対」を繰り返し示してきた民意に向き合わない姿勢への反発は、県内だけでなく国内外で高まるのは必至だ。 


 今、私たちに求められるのは、この「2018年12月14日」を、どのように捉えることができるかということである。
 いずれ、歴史的に「2018年12月14日」が、「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直される日が来る。
 だとしたら、この「2018年12月14日」の意味を、しっかりとつかみ取ろう。

 沖縄タイムスと琉球新報の二社は、14日朝の社説で、このことを次のようにに意味づけていた。


Ⅰ.沖縄の想い

(「タイムス」)
 そこまでやるか。
 そこまで強引に工事を進めるのか。
 玉城デニー知事が民主主義の原則に沿って「話し合いによる解決」を求めているのに、そこまで県民の代表を小ばかにしたような態度をとるのか。


(「新報」)
(1)「丁寧な説明」も、「県民に寄り添う」こともなく、法や規則の解釈をねじ曲げて今日まできた。政府は、米軍普天間飛行場の移設先とする名護市辺野古の新基地建設に向け、14日に埋め立て予定地へ土砂を投入すると明言した。
(2)玉城デニー知事は13日、菅義偉官房長官と面談し、土砂投入の中止を求めたが、菅氏は工事強行の姿勢を崩さなかった。沖縄の民意に耳を貸さず、県の行政指導も意に介さない姿勢は傍若無人の一語に尽きる。


Ⅱ.「2018年12月14日」批判

(「タイムス」)
(1)名護市辺野古の新基地建設工事を巡り、岩屋毅防衛相は玉城知事と会談し、予定通りきょう14日、沿岸部に土砂を投入すると通告した。安倍晋三首相の言う「沖縄に寄り添う」という言葉が、出任せの巧言令色のたぐいでないのなら、首相は工事を中止し、沖縄で知事に会うべきだ。さらに記者会見を開いて沖縄の記者団の積もり積もった疑問に正面から答えるべきである。
(2)米軍普天間飛行場の辺野古移設は、米軍にとっては「日本政府の予算で、望む場所に望む基地ができる」ことを意味するが、沖縄にとっては基地の北部集約化であり、恒久化を意味する。
(3)当初、日米両政府が合意した案は、既存の米軍基地内に新たなヘリポートを整備するというものだった。それがいつの間にか、米国の思惑と日本政府の判断、地元の意向が複雑に絡み合って、V字型の滑走路などを持つ巨大基地へと変わっていったのだ。「辺野古に移せば、辺野古で事件事故が起き、何の解決にもならない」。1年前、米軍ヘリの部品が落下する事故があった、宜野湾市の保育園の保護者がそう語っていた。
(4)防衛省は、県の埋め立て承認撤回で中断していた工事を先月、再開させた。国交相が撤回の効力を一時的に止める執行停止を決定したからだ。防衛省の申し立てを、同じ国の機関である国交省が認めるというもので、県は自作自演のような決定を「違法」として、国地方係争処理委員会に審査を申し出ている。第三者機関である係争委の話し合いはこれからだが、土砂投入の日に初会合が予定されているのは偶然なのか。
(5)埋め立て承認の際、国と交わした環境保全などの「留意事項」が守られていないことも懸念される。ジュゴンの保護対策一つをとっても、3頭のうち2頭の行方が分からなくなっているなど影響が心配される。留意事項に従い工事を中止し、ジュゴン調査を進めるのがあるべき姿だ。
(6)「空の主権」も取り戻せていないのに、今度は県の自然環境保全指針で厳正な保護を図るランク1の海が埋め立てられようとしている。軍事基地建設のため、約260種の絶滅危惧種を含む5800種以上の海洋生物が生息する「宝の海」に土砂を投入するのは、愚行以外のなにものでもない。


(「新報」)

(1)沖縄防衛局は土砂を積んだ台船を辺野古の護岸近くに停泊させた。県は国土交通相の埋め立て承認撤回の執行停止は違法で無効だとして工事の中止を行政指導した。そもそも土砂搬入に至る経緯も国は必要な手続きを踏んでいるとは言えない。県による埋め立て承認撤回で工事の法的根拠は消えたが、政府は行政不服審査制度を使って工事を再開した。審査は沖縄防衛局が国交相に申し立て、同じ政府内で申し立てを認めたもので、行政法研究者110人が「違法行為」「制度の乱用」と指摘した手法だ。国は県と約1カ月の集中協議の間も工事を止めずに準備を進めた。その後、県に提出した計画で搬出場所としていた本部港が使えないことから計画の変更申請をせずに名護市安和の琉球セメントの桟橋から土砂を搬出した。土砂の採取場所は「本部地区」と指定しているにもかかわらず、防衛局は採取場所を県に報告していない。さらに安和から搬出された土砂は有害物質の検査結果が示されていない。まさに「何でもあり」だ。
(2)沖縄の声を無視し、遮二無二、新基地建設を進める政府が、言い訳として使っているのが辺野古か普天間の固定化かの二者択一論だ。政府は「世界一危険な」普天間飛行場を返還させるのは辺野古への移設しかないと主張する。本当にそうだろうか。普天間は主に海兵隊ヘリコプターの運用基地だ。危険を除去するには即刻、運用を止めることしかない。その上で訓練の分散移転など策は多くある。仮に辺野古新基地が完成しても、普天間の即時返還にはつながらない。米政府は、辺野古新基地の滑走路の短さなどを理由に、那覇空港滑走路の使用など八つの条件をつけている。満たさなければ普天間飛行場は返還されないと、稲田朋美防衛相(当時)も国会で明言しているのだ。


Ⅲ.主張

(「タイムス」)
(1)県の試算によると、埋め立てに5年、軟弱地盤の改良に5年、その後の作業に3年、新基地完成までは13年もかかる。政府が強調する普天間の一日も早い危険性の除去は、説得力を欠いている。玉城知事は記者会見で、なぜ新基地建設に反対するのかをあらためて説明し、県の考えを分かりやすく全国に発信すべきだ。


(「新報」)

 政府は土砂投入を見せつけることで県民の諦めを誘い、米国に対しては年内の工事進展を強調しようとしている。今のような高圧的姿勢をとり続けるならば、県民の反発はさらに強まり、ほかの在沖米軍基地の存続さえ危うくなる。政府は土砂投入をやめて、基地負担の軽減という普天間返還の原点に戻って、形だけではない本当の意味での対話を県との間で進めるべきだ。


 安倍晋三政権と日本人は、まず自ら、「2018年12月14日」を「第4の琉球処分」や「日本の屈辱の日」として捉え直し、この「新報」の「今のような高圧的姿勢をとり続けるならば、県民の反発はさらに強まり、ほかの在沖米軍基地の存続さえ危うくなる。政府は土砂投入をやめて、基地負担の軽減という普天間返還の原点に戻って、形だけではない本当の意味での対話を県との間で進めるべきだ。」、との提起を真摯に取り組まなければならない。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-22 10:39 | 持続可能な社会 | Comments(0)

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