やまない事件。命を危険に曝させている、どうするの。

 沖縄で何が起きているのか。
 沖縄タイムス(以下、「タイムス」)2018年12月9日、「拳銃には実弾15発が入っていた 米兵脱走 沖縄県警『公務外』とみて捜査」、と次のように報じた。


①「沖縄県の米軍嘉手納基地所属の空軍兵が基地内から拳銃を持って脱走し、読谷村宇座の集落で米軍に逮捕された事件で、県警が拳銃を所持していた空軍兵を公務外の事件とみて銃刀法違反の容疑を視野に捜査していることが分かった。拳銃には実弾が15発入っていたという。8日、複数の捜査関係者への取材で判明した。県警は発見現場を写真撮影するなど、初期捜査で必要な客観証拠を収集した。空軍兵の身柄は米軍の捜査機関にあるため、県警は今後、米軍に捜査協力を求める方針。」(社会部・山城響、豊島鉄博)
②「日米地位協定では米兵の犯罪が『公務中』であれば第1次裁判権が米側にあるが、『公務外』なら日本側にあると規定。ただ、公務外でも米側が先に逮捕している場合は原則、起訴されるまで日本側への身柄の引き渡しは行われていない。起訴前の引き渡しは殺人などの重大事件に限られている。」
③「県警刑事企画課などによると、事件は6日午後3時35分ごろ、米軍側から『米軍空軍兵1人が行方不明になり、拳銃を所持している疑いがある』と通報を受けて覚知。県警本部や沖縄署などが警戒態勢をしいた。捜索にあたる警察官らは発砲に備え、防弾用の装備品を着用した。」
④「発覚から約2時間後の午後5時45分ごろに憲兵隊が脱走兵を確保し、直後に県警本部に通報。県警が現場に到着したのは午後6時ごろだった。空軍兵の捜索について米軍は沖縄タイムスが7日に問い合わせるまで沖縄防衛局に連絡しておらず、周辺自治体にも伝わっていなかった。一方、県警は米軍からの情報を広報しなかった理由について『拳銃所持の【疑いがある】との段階で、県民にむやみに不安を与える可能性があり、場所も不明だったため』としている。」
⑤「拳銃を所持した米軍嘉手納基地所属の脱走兵が読谷村内で米軍に逮捕されたのを受け、石嶺傳實村長は8日、『またしても、過重な基地負担があるがゆえの事件事故が起き非常に憤っている。村議会とも連携し、週明けにも米軍当局に抗議する』と述べた。再発防止のほか『日米地位協定を抜本的に改定しない限り事件事故は続く』として地位協定の改定も求める考えという。」


 またもや、人の命を脅かす事件である。
 このことについて、沖縄タイムス(12月10日)と琉球新報(2018年12月11日)日の社説、「[銃所持の脱走兵逮捕]ずさんな武器管理露呈」「銃所持米兵脱走 県民を危険にさらすな」、とそれぞれの社説で次のように批判する。


1.事実経過の把握

(「タイムス」)
(1)嘉手納基地所属の空軍兵の男が拳銃を所持したまま基地内から一時脱走し、米軍が読谷村宇座の集落で逮捕した。男が時間になっても出勤してこなかったため捜索を開始。3時間以内に発見した。車内のかばんの中に拳銃を所持。拳銃には実弾が15発入っていたが、発砲した形跡はないという。拳銃と実弾を持ち出し、ゲートをすり抜けて基地外に出ていることから脱走との見方をしているようだ。
(2)米軍によると、職務中に武器の点検を受け、武器は米軍の管理下に戻されなければならないにもかかわらず、それを逃れていた可能性が高い。


(琉球新報(以下、「新報」))
(1)米空軍嘉手納基地所属の空軍兵が拳銃を所持して基地外に脱走し、逮捕される事件が起きた。幸いにも被害はなかったが、兵士が脱走して逮捕されるまでの一時期、民間人の生命、財産が脅かされる危険な状態にあった。そのことを深刻に受け止めなければならない。
(2)脱走した兵士は嘉手納基地に拠点を置く米空軍第353特殊作戦群に所属していた。6日午後3時35分ごろ、米軍から県警に「空軍兵1人が行方不明となり、拳銃を所持している疑いがある」との通報があった。約2時間後の午後5時45分ごろ、米軍憲兵隊が読谷村内で車に乗っていた兵士を発見し逮捕した。


2.問題点の指摘

(「タイムス」)
(1)米軍の武器管理のずさんさを露呈したというほかなく、米軍は銃や実弾の出し入れなど武器管理をどのようにしていたのか、説明を求めたい。
(2)沖縄の米軍基地は民間地と隣接していることが特徴である。男が身柄を拘束された残波岬周辺は観光施設やホテルが立ち並び、住宅地も続く。
(3)嘉手納基地は脱走の動機や拳銃を持ち出した理由を明らかにしていない。男の脱走が続いていれば、地域を不安に陥れ、不測の事態が起きることも懸念されたはずである。
(4)日米地位協定では軍人・軍属が「公務中」に起こした犯罪であれば第1次裁判権は米側に、公務外であっても米側が先に身柄を確保すれば原則として起訴までは日本側に引き渡されない。身柄引き渡しで日米合同委員会は「殺人、強姦(ごうかん)などの凶悪事件」に限らず、「日本政府が重大な関心を持ついかなる犯罪も排除されない」と取り決めている。県警は公務外とみて銃刀法違反容疑で捜査協力を求める方針だが、身柄引き渡しを要求し、厳格に取り調べるべきである。


(「新報」)
(1)車内からは拳銃と装塡(そうてん)されていない実弾15発が発見された。兵士が実弾を拳銃に装塡すれば、基地外で銃を自由に発砲できる状態にあった。民間人に銃を向ける危険性があったのだ。どうして兵士が基地外に拳銃と実弾を持ち出すことができたのか。極めて不可解だ。
(2)事件発生後の通報体制にも不備があった。米空軍は県警には当日に通報していたが、沖縄防衛局には事件翌日の夕方にしか連絡していない。
(3)日米両政府は1997年の日米合同委員会で、在日米軍の事件・事故の日本側への通報体制の新たな基準をまとめている。事件・事故が発生した場合、それに責任を有するか、察知した司令官が在日米軍司令部に情報伝達し、同時に地元防衛局に通報する。その後、防衛局が関係自治体に連絡するというのが通報体制の流れだ。今回、米軍が防衛局に連絡したのは、兵士の身柄が拘束されてから丸一日経過した後だった。これでは何の意味もない。迅速に連絡しなければ、日米合意はただの「絵に描いた餅」だ。
(4)今回、米軍が防衛局に連絡したのは、兵士の身柄が拘束されてから丸一日経過した後だった。これでは何の意味もない。迅速に連絡しなければ、日米合意はただの「絵に描いた餅」だ。


4.特に米軍の機能不全状態の実態

(「タイムス」)
(1)もう一つの問題は米軍の通報体制の機能不全である。日米合意は「公共の安全や環境に影響の生じる事案について速やかに地元に通報する」と定める。米軍は本紙が問い合わせるまで沖縄防衛局に連絡せず、周辺自治体にも情報が届いていなかったのである。防衛局が関係自治体に連絡したのは逮捕後だ。
(2)男の所属は第353特殊作戦部隊である。同部隊はパラシュート降下訓練などを津堅島訓練場水域や嘉手納基地で実施している。CV22オスプレイにも対応する。特殊作戦という任務の性格上、過酷な環境での訓練が想定される。こういった激しい軍務と関係がないのかも調査すべきである。


(「新報」)
(1)今年5月にも嘉手納基地所属の空軍兵が那覇空港で実弾1発を所持していたとして、銃刀法違反容疑で逮捕されている。昨年4月にも那覇空港で空軍兵が実弾2発、海兵隊員が実弾3発、3月に海兵隊員がライフル銃の実弾13発を所持していたとして逮捕されている。
(2)2014年には北谷町のキャンプ桑江で、海兵隊員がライフル銃を別の基地から民間地を移動して持ち込み、立てこもる事件も起きている。
(3)基地内では、兵士が拳銃や実弾をいつでも自由に持ち出せるというのか。米軍の武器、弾薬類の管理体制は機能不全に陥っているとしか思えない。こうした状況が続くなら、米軍基地を抱える沖縄県民はたまったものではない。


5.二紙の主張

(「タイムス」)
 北谷町の米軍キャンプ桑江内の民間地近くで2014年、海兵隊の男がライフル銃を持って自宅に立てこもり、自殺しようとした事件を覚えている人も多いだろう。男は別の基地で銃弾を盗みさらに別の基地でうそをつきライフルを入手した。男は精神的不調を訴えたが、アフガニスタンに派遣されていた。基地内の日本人従業員らが避難する事態になったが、北谷町に連絡が来たのは拘束後。町議会が抗議決議した。改善の跡がまるでみられないのである。米軍は武器管理と通報の在り方を徹底検証し、再発防止策を公表しなければならない。


(「新報」)
 武器管理と通報体制の不備を見ても、米軍組織の規律は大幅に緩んでいる。放置することなどできない。米軍は兵士が拳銃と実弾を基地外に持ち出せた理由を詳細に調査し、それを公表すべきだ。これ以上県民を危険にさらすことは許されない。


 この事件で、改めて考えさせられている。
 日本政府は、「日本国民を県民を危険にさらすことは許されない。」、との基本にまずは立たなければならない。
また、米軍の機能不全状態がこれ以上日本人の命を奪うことにならないよう、あらゆることを主権国家として、取り組まなければならない。



by asyagi-df-2014 | 2018-12-19 07:18 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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