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人種差別撤廃委員会の総括所見に対する日弁連会長の声明を読む。

 日本弁護士連合会の家長は、2018年9月7日、人種差別撤廃委員会の総括所見に対する会長声明(以下、「声明」)を発表した。
 この「声明」で、人種差別撤廃委員会の総括所見を考える。
 「声明」は、次のように日弁連の見解を論じている。

 
(1)国連の人種差別撤廃委員会は、2018年8月30日に人種差別撤廃条約の実施状況に関する第10回・第11回日本政府報告に対し、同年8月16日及び17日に行われた審査を踏まえ、総括所見を発表した。総括所見で委員会は、45項目に及ぶ懸念を表明し、又は勧告を行った。
(2)とりわけヘイトスピーチとヘイトクライムについて、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律が2016年6月に施行されたこと等を歓迎する一方、同法の適用範囲が極めて狭く、施行後もヘイトスピーチ及び暴力の扇動、インターネットとメディアにおけるヘイトスピーチ並びに公人によるヘイトスピーチ及び差別的発言が続いていることなどに懸念を表明した上で、人種差別禁止に関する包括的な法律を採択することなどの勧告を行った(13、14項)。また、パリ原則に則った国内人権機関の設置を勧告し(9、10項)、個人通報制度についても、受諾宣言をするよう奨励している(43項)。
(3)さらに、在日コリアンや長期間滞在する外国籍の者等が公務員の地位にアクセスできるようにすること(22項、34項(e))など多くの勧告をした。
(4)その上で、これらの勧告のうち、国内人権機関の設置(10項)及び技能実習制度の政府による適正な規制及び監視(32項)について、日本政府に対し、1年以内に勧告の履行に関する情報を提供するよう求めるとともに(46項)、ヘイトスピーチとヘイトクライム(14項)、在日コリアンの地方参政権・公務就任権・朝鮮学校に対する高校無償化制度からの排除に関する問題(22項)及び外国籍住民に対する権利の確保(34項)についての勧告を、いずれも日本政府が特に注意を払うべき重要な勧告と位置付け、次回定期報告ではこれらの問題について詳細な情報を提供するよう要請した(47項)。
(5)日本政府は、条約の批准国の義務として、また国際社会において日本が名誉ある地位を占めるにふさわしい人権状況の国内実現のため、委員会が表明したこれらの懸念、勧告、要請を真摯に受け止め、検討すべきである。


 「声明」は、「当連合会もまた、日本政府との建設的対話を継続し、これらの課題の解決のために尽力する所存である。」、と日弁連の立場を表明した。


 確かに、ヘイトクライム、ヘイトスピーチが、依然として日本という国の大きな課題であることと、日本政府のこのことへの対応が不十分であることがわかる。そしてこのことが世界常識になってしまっていることも。




by asyagi-df-2014 | 2018-10-06 07:53 | 人権・自由権 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人