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沖縄県が、「承認の撤回」を行ったこと。(2)

 沖縄県は、名護市辺野古の新基地建設を巡り、2018年8月31日、埋め立て承認を撤回する通知書を沖縄防衛局に提出した。
このことがどのような意味を持つものなのか。
 実は、「沖縄県が、『承認の撤回』を行ったこと。(1)」で、次のような把握をした。


Ⅰ.沖縄県は、「違法な状態を放置できないという法律上の行政原理の観点から承認の撤回が相当」、と判断したこと。
Ⅱ.この判断に基づき、「防衛局から聴聞を実施し、調書の内容と報告書、主宰者の意見を参酌して、不利益処分を検討したところ、庁内の決裁手続きをへて、聴聞通知書を提出」、との行政手続きを行ったこと。
Ⅲ.この判断の根拠は次のものであること。
(1)日本政府は、「本件埋立承認については、留意事項に基づく事前協議を行わずに工事を開始したという違反行為があり行政指導を重ねても是正しない」、ということ。
(2)軟弱地盤、活断層、高さ制限及び返還条件などの問題が承認後に判明したこと。
(3)承認後に策定したサンゴやジュゴンなどの環境保全対策に問題があり環境保全上の支障が生じることは明らかと認められたこと。
Ⅳ.前知事による埋め立て承認は、次の瑕疵を犯していること。
(1)公有水面埋立法4条1項1号で規定する『「国土利用上適正且つ合理的なること』の承認要件を充足しないことが明らかであること。
(2)留意事項1に違反していること。
(3)公有水面埋立法4条1項2号で規定する『環境保全及び災害防止に付き十分配慮せられたるものなること』の承認要件を充足しな いことが明らかであること。


このことをより一層理解するために、2018年9月1日付けの朝日新聞、沖縄タイムス、琉球新報、信濃毎日新聞、北海道新聞、神戸新聞、の各社説からこのことを考える。 まず、この六社の社説の表題とその主張のいくつかを取りあげる。一覧にすると次のようになる。


(1)朝日新聞社説-辺野古工事 全ての自治体の問題だ
①「基地建設の当否をひとまず置いたとしても、あまりに沖縄県民を、そして地方自治を愚弄した態度ではないか。」
②「民間の業者だったら、とっくに事業中止や原状回復の命令が出ていて当然の振る舞いだ。」
③「撤回に至った事情、そして今後を、『わがこと』としてとらえ、考え続ける必要がある。」


(2)琉球新報社説-県が辺野古承認撤回 法的対抗措置やめ断念を
①「これによって承認の法的根拠が失われ、工事はストップする。」
②「沖縄に矛先を向けるのではなく、米国政府と真正面から向き合って、県内移設を伴わない普天間飛行場の返還を提起すべきだ。」
③「対抗措置をやめ、新基地建設を断念することこそ取るべき選択だ。」


(3)沖縄タイムス-[「辺野古」承認撤回]工事強行の瑕疵明白だ
①「新基地建設に向けた国の瑕疵(かし)は明白である。」
②「問われているのは日本の地方自治、民主主義が機能しているかどうかである。」


(4)信濃毎日新聞社説-辺野古撤回 国は真摯に受け止めよ
①「政府は反対の声を顧みようとしない。普天間飛行場の危険除去のため辺野古移設が唯一の解決策だと繰り返し、工事をごり押ししてきた。既成事実を積み上げることで諦めさせる狙いだろう。あまりにも不誠実な対応だ。」
②「普天間の代わりに新たな基地を造るのでは、沖縄の負担は減るどころか、ますます重くなる。強硬姿勢を続ければ、県民の分断が深まるばかりだ。地方に対して政府が取るべき態度ではない。」


(5)北海道新聞社説-辺野古承認撤回 国は立ち止まり対話を
①「安倍晋三政権は『辺野古移設が唯一の解決策』とし、強権的な手法で工事を進めてきた。沖縄の反対の声を無視し、地方自治を踏みにじる姿勢と言える。それを踏まえれば、撤回はやむを得ない。」
②「承認撤回により、移設工事の法的根拠は失われる。国は再び法廷闘争を繰り返すのではなく、移設反対の声に耳を傾け、対話を通じて解決の道を探るべきだ。」
③「今回の承認撤回は、県が取り得る残り少ない対抗手段だったと言える。」


(6)神戸新聞社説-辺野古承認撤回/法廷闘争を繰り返しても
①「国の主張が通っても、多くの県民が埋め立てに納得していない事実は残る。政府は不毛な法廷闘争を繰り返すより、県民の理解が得られる形で基地負担軽減を目指すべきだ。」
②「県は撤回の理由に、辺野古新基地が完成しても条件次第では普天間が返還されない可能性も指摘した。防衛相も昨年、国会答弁で認めている。その通りなら、基地負担は軽減するどころか、今より増すことになる。」


 こうした社説から伝わることは、辺野古新基地建設を「唯一の選択」とし、沖縄県民の民意を無視した強攻策を譲らない、日本政府、安倍晋三政権への「否」の見解である。
このことに関して、各紙の社説を再掲して、まとめてみる。
 まず、現在の状況について、朝日新聞は「基地建設の当否をひとまず置いたとしても、あまりに沖縄県民を、そして地方自治を愚弄した態度ではないか。」、信濃毎日新聞は「政府は反対の声を顧みようとしない。普天間飛行場の危険除去のため辺野古移設が唯一の解決策だと繰り返し、工事をごり押ししてきた。既成事実を積み上げることで諦めさせる狙いだろう。あまりにも不誠実な対応だ。」、と批判する。
 次に、沖縄県による「承認の撤回」について、北海道新聞は「今回の承認撤回は、県が取り得る残り少ない対抗手段だったと言える。」、北海道新聞は「安倍晋三政権は『辺野古移設が唯一の解決策』とし、強権的な手法で工事を進めてきた。沖縄の反対の声を無視し、地方自治を踏みにじる姿勢と言える。それを踏まえれば、撤回はやむを得ない。」、と断ずる。
 また、神戸新聞は、「県は撤回の理由に、辺野古新基地が完成しても条件次第では普天間が返還されない可能性も指摘した。防衛相も昨年、国会答弁で認めている。その通りなら、基地負担は軽減するどころか、今より増すことになる。」、と批判する。
 さらに、朝日新聞は沖縄県の「違法な状態を放置できないという法律上の行政原理の観点から承認の撤回が相当」との判断に関して、「基地建設の当否をひとまず置いたとしても、あまりに沖縄県民を、そして地方自治を愚弄した態度ではないか。」「民間の業者だったら、とっくに事業中止や原状回復の命令が出ていて当然の振る舞いだ。」、と評価する。
この上で、本来、日本政府が取るべき方策について、明快な批判を加える。
 沖縄タイムスは「問われているのは日本の地方自治、民主主義が機能しているかどうかである。」、琉球新報は「沖縄に矛先を向けるのではなく、米国政府と真正面から向き合って、県内移設を伴わない普天間飛行場の返還を提起すべきだ。」「対抗措置をやめ、新基地建設を断念することこそ取るべき選択だ。」、と。
 また、北海道新聞は「承認撤回により、移設工事の法的根拠は失われる。国は再び法廷闘争を繰り返すのではなく、移設反対の声に耳を傾け、対話を通じて解決の道を探るべきだ。」、信濃毎日新聞は「普天間の代わりに新たな基地を造るのでは、沖縄の負担は減るどころか、ますます重くなる。強硬姿勢を続ければ、県民の分断が深まるばかりだ。地方に対して政府が取るべき態度ではない。」、神戸新聞は「国の主張が通っても、多くの県民が埋め立てに納得していない事実は残る。政府は不毛な法廷闘争を繰り返すより、県民の理解が得られる形で基地負担軽減を目指すべきだ。」、と
 あわせて、朝日新聞は、私たち自身に問われていることについて、「撤回に至った事情、そして今後を、『わがこと』としてとらえ、考え続ける必要がある。」、と指摘する。


 こうした一連の社説を見る時、沖縄県の行った「承認の撤回」の正当性が確認できるではないか。




by asyagi-df-2014 | 2018-09-03 06:35 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人