民主主義国家なら、政治的意見の表明は保障されなければならないし、日本の安全保障を考え直す時期なのだ。

 どういうことが起こったのか。
 沖縄タイムス(以下、「タイムス」。)は、「名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前に、抗議行動を排除するため、新たな柵が設けられた。人目をはばかり、闇夜に紛れて、突然始まった作業。工事のやり方もその中身も、奇っ怪としか言いようのないものだった。国道329号に面した工事用ゲートの前は、市民が抗議の座り込みを行っていた場所である。沖縄防衛局は、大人の腰ぐらいの高さのポリタンク状の交通規制材を国道の道路脇に設置し、これまで使っていた高さ約4メートルの柵は、国道側に移動させた。そうやって交通規制材と柵との間に幅約1メートルのわずかな通り道を設け、通行用として確保したのである。」、と。
 また、琉球新報(以下、「新報」。)は、「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、沖縄防衛局が深夜に、米軍キャンプ・シュワブの工事車両用ゲート前に新たな柵を設置した。高さ3~4メートルの既存の柵を車道側に張り出し、全長は40メートルに及ぶ。歩行者用の通路は確保しているが、座り込みができるスペースがほとんどなくなった。設置作業は3連休前の深夜に実施された。市民の目が届きにくい時間帯で、夜陰に乗じた行為と言える。」、と。
 ただ逆に、今回もまた示されたの安倍晋三政権の強硬手法は、沖縄の抗議の意味を再確認させるもでもある。


 このことについて、「タイムス」は2018年7月17日、琉球新報(以下、「新報」。)は2018年7月16日、「[辺野古ゲートに柵]そこまで強行にやる」「辺野古に新たな柵 表現の自由を保障せよ」、との社説を掲げた。
まず、この問題の本質を「タイムス」は次のように指摘する。


(1)「8月17日の土砂投入をにらんで、座り込み行動を封じる狙いがあるのは明らかだ。奇っ怪な柵の設置作業を通して、新基地建設の本質が浮かび上がったというべきだろう。」
(2)「沖縄防衛局が守ろうとしているものは米軍の権益であり、失われようとしているのは、住民の『声を上げる権利』である。」。憲法や国際人権規約(自由権規約)は、集会・結社・言論その他一切の表現の自由を最も重要な権利として保障している。平たく言えば『声を上げる権利』のことである。」
(3)「沖縄防衛局は『歩行者と車両の安全のため』だと説明するが、県や環境団体の指摘を無視した強引な新基地建設は他府県では考えられない。県民は声を上げる権利すら奪われようとしているのだ。」


 また、「タイムス」は、日本政府の手法に批判を続ける。


(1)「政府は、警察や海上保安官を動員し、ゲート前や海上で抗議行動を続ける市民を強制的に排除し、時にけがを負わせてきた。芥川賞作家の目取真俊さんは、基地侵入の意図がないにもかかわらず米軍に身柄を拘束され、弁護士の面会も許可されずに8時間も監視下に置かれたあと、海上保安庁に引き渡され、逮捕された。」
(2)「制限水域での県の立ち入り調査要求は認められず、工事の中止申し入れも一切、顧みられることがなかった。」
(3)「環境影響評価(アセスメント)の最初の段階からそうだったが、政府は、なんやかやと理由をつけて情報開示を渋り、説明責任を果たしてこなかった。行方不明の1頭のジュゴンは、どうなったのか。軟弱地盤に関する土質調査のデータも明らかにされないままだ。」
(4)「工事を中止して現況調査を実施すべきなのに、政府は強行一点張りである。」


 同様に、「新報」も政府の手法について、次のように批判する。


(1)「市民の抗議活動を抑えようという狙いは明白だ。だが、抗議活動は憲法で認められた正当な権利である。政府は市民が表現の自由を行使できるよう十分に保障すべきだ。」
(2)「抗議活動の裏をかく沖縄防衛局の卑怯(ひきょう)なやり方は、何度も見せつけられてきた。」
(3)「2011年の年末には、仕事納めの日の午前4時に環境影響評価書を県庁の守衛室に運び込んだ。13年3月の埋め立て申請は、県北部土木事務所の別の課に書類を置いて去った。14年7月のシュワブへの資材搬入は午前2時すぎ、トラック42台での不意打ちだった。15年1月にも仮設桟橋用資材を夜間に運び込んだ。不意を突き県民を出し抜く手法は沖縄防衛局の常とう手段になっている。国家として恥ずべき行為だ。」
(4)「今回の柵設置は、8月17日の土砂投入に向けて、政府が焦っている表れだろう。」


 したがって、「タイムス」及び「新報」は、次のように主張せざるを得ない。

Ⅰ.「タイムス」
(1)「埋め立て承認の際の留意事項はほんとうに守られているのだろうか。」
(2)「反対派住民は好き好んで座り込み行動を続けているわけではない。翁長雄志知事も政府との対決を望んでいるわけではない。政府との裁判の過程で終始、話し合いを求めたのは県であり、裁判で決着を図り新基地建設を一気に進めようと企てたのは政府である。」
(3)「公正公平な基地負担はどうあるべきか、国民全体で議論すべき時だ。」
Ⅱ.「新報」
(1)「琉球新報が昨年9月に実施した世論調査では80%が普天間飛行場の県内移設に反対している。民意を無視した政府の新基地建設強行は到底許されるものではない。」
(2)「抗議活動は憲法21条に保障された表現の自由の行使である。ビラや集会、デモ行進、座り込みといった一切の言論・表現の自由を、憲法は前提条件なしに保障している。市民が異議を申し立てる最低限の政治手法でもある。非暴力である以上、規制されるべきではない。」
(3)「国際基準でも同様だ。国際人権規約の21条は『平和的な集会の権利は認められる』とし、他者の権利や自由の保護のために必要なものを除いて、いかなる制限も課すことができない、と定めている。」
(4)「国連人権理事会は市民の抗議活動を制限する際のガイドラインを定めている。座り込みなどによる『救急車の通行や経済が深刻に阻害される場合以外の交通の阻害』『渋滞や商業活動への損害』などは許容されなければならない、としている。」
(5)「新基地への抗議活動に対する安倍政権の強権的手法は、国際基準からも逸脱している。民主主義国家なら、政治的意見の表明は保障されなければならない。抗議の声を押しつぶすことは許されない。」


 確かに、安倍晋三政権のこうしたやり方は、沖縄県民固有の「声を上げる権利」を奪うものでしかない。
 何故なら、憲法21条に保障された表現の自由の行使や国際人権規約(自由権規約)21条が、集会・結社・言論その他一切の表現の自由を最も重要な権利として保障しているにもかかわらず行われているからである。
あわせて、国連人権理事会は市民の抗議活動を制限する際のガイドラインは、「座り込みなどによる『救急車の通行や経済が深刻に阻害される場合以外の交通の阻害』『渋滞や商業活動への損害』などは許容されなければならない」、と規定されているにもかかわらずである。
 しかも、今回も透けてみえるのは、「沖縄防衛局が守ろうとしているものは米軍の権益であり、失われようとしているのは、住民の『声を上げる権利』である。」(沖縄タイムス)という日本の「構造的沖縄差別」である。
 さらに、それは「8.17」という強行手段をよりやり安くするためにという狡猾な考えの基に行われた「抗議活動の裏をかく沖縄防衛局の卑怯なやり方」(「新報」)でしかない。



by asyagi-df-2014 | 2018-07-23 05:22 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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