沖縄タイムスの『沖縄・基地白書』を読む。(22)

 沖縄タイムスは、「国内の米軍専用施設面積の70・4%が集中する沖縄では、名護市辺野古の新基地建設以外にも騒音や墜落の危険性などの問題を抱えている。国防や外交の視点ではなく、住民の暮らしの目線から沖縄の米軍基地問題を検証する。」、と『沖縄・基地白書』の連載を始めた。

 今回は、第21回-「沖縄・基地白書(21)駐機場再使用、裏切られた町民の『悲願』 運用を優先させる米軍」(2018年5月7日)から。
 今回の話は、第1部 被害 嘉手納町(4)
沖縄タイムスは、「嘉手納基地周辺に住み、基地と折り合ってきた人々からも『最近の運用実態や騒音は度を超している』と批判の声が強まっている。『日米合意の範囲内』などと意に介さない米軍の態度も怒りを増大させている。我慢に我慢を重ねる住民と、運用や既得権を優先させる米軍との認識には大きなズレが生じている。」、と報告する。
 また、「『海軍駐機場の移転は嘉手納町民の悲願であった』。昨年6月、當山宏町長は県庁での記者会見で声を荒らげていた。嘉手納町屋良の住宅地域から県道をはさんで50〜60メートルしか離れていない海軍駐機場は、昼夜を問わないエンジン調整の騒音や排ガスの悪臭などで周辺住民を苦しめてきた。」、と沖縄タイムスは続ける。
 どいうことが起こっているのか。
その実態を次のように指摘する。


(1)「行政機関の騒音測定は70デシベル以上の航空機騒音を対象にしている。離着陸の一時的な騒音と違い、エンジン調整は断続的で、70デシベルを超えなくても不快感を生む。漂う悪臭には健康被害が頭をよぎり、窓を閉める生活を余儀なくされてきた。」
(2)「住民らは『玄関前に大型バスが常に停車しているような状態』『「心がかきむしられる』と被害を訴えた。要請を続け、移転が決まったのは1996年の日米特別行動委員会(SACO)の最終報告。それから約20年後の昨年1月、ようやく移転が実現した。」
(3)「全てが解決したわけではないが、住民らは『鳥やカエルの鳴き声が聞こえるようになった』とわずかな変化を喜んだ。」
(4)「しかし、米軍は移転から20日もたたないうちに旧駐機場を再使用したのだ。さらに反対の声を押し切る形で、同5月にも在韓米軍の偵察機が駐機した。」
(5)「『完全に期待を裏切られた』。當山町長の落胆は大きかった。」
(6)「駐機場は日本側が157億円を支出し、基地内の沖縄市側へ移転した。桑江朝千夫市長も『厳しい現実を抱えながら、嘉手納町の負担軽減のための移転と理解していた。いとも簡単に約束がほごにされたと考えている』と、米軍の傍若無人な振る舞いを非難した。」
(7)「移転後の駐機場跡地は舗装されたままだ。在日米空軍は2009年の日米合同委員会で再使用に合意していると主張。『移転は悲願』という町民の思いをよそに、日本政府は『騒音を発生させない格納庫や保管庫、倉庫などでの使用』を追認している。」


 沖縄タイムスは、最後をこのようにまとめる。


「いつでも後戻りできる状態にある旧駐機場。屋良に26年間住む町議の花城勝男さん(61)は『旧駐機場に芝を張るなど、はっきりと使えないようにしてほしい』と強調。従来の米軍の姿勢から『騒音を発生させないと言っても信用できない。有事になれば自由使用するのは目に見えている』と嘆いた。」
(「沖縄・基地白書」取材班・福元大輔)=日〜火曜日掲載


[メモ]日本予算で増設 負担軽減と逆行
 1996年のSACO最終報告には「沖縄県民の負担を軽減し、それにより日米同盟関係を強化する」と狙いを定めている。その中の一つが、嘉手納基地の海軍駐機場の移転だ。
 地元住民は移転後の旧駐機場を使用しないと認識してきたが、日米はそれを否定する。日本の予算で駐機場を増設したことになりかねず、負担軽減と逆行している。當山宏嘉手納町長、桑江朝千夫沖縄市長、野国昌春北谷町長は一斉に反発。「SACOが破綻する」と憤っている。


 嘉手納基地の海軍駐機場の移転は、SACO合意による「沖縄の負担軽減」の成果であるとことあるごとに、日本政府は利用してきたのではなかったか。
 もはやSACOも、沖縄の負担軽減策も破綻している。




by asyagi-df-2014 | 2018-05-12 05:52 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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