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「異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている」と原因企業チッソの後藤舜吉社長が暴言。

 朝日新聞は2018年5月1日、表題について次のように報じた。


(1)「水俣病の公式確認から62年を迎えた1日、水俣病犠牲者慰霊式が熊本県水俣市の「水俣病慰霊の碑」前で営まれた。参列した原因企業チッソの後藤舜吉社長(83)が式後の取材に対し、水俣病被害者救済法(特措法)に盛り込まれた事業子会社JNC株売却要件の一つである『救済の終了』について『異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている』と述べた。」
(2)「現在も患者認定を求める人がおり、訴訟も続いていることから患者・被害者団体からは『加害企業としてあるまじきことだ』と批判の声があがっている。」
(3)「後藤社長は、JNC株の売却について『ぜひやりたいと思っています』と意欲を示した。チッソはこの株を売却した後、会社の清算が可能になるため、補償の主体が消えるとの懸念が患者・被害者団体にある。」
(4)「水俣病の『最終解決』を掲げる特措法では『市況の好転』と『救済の終了』を条件に、環境相の承認を得てJNC株を売却できる手続きが盛り込まれている。今回の発言を受け、中川雅治環境相は『現時点で救済の終了とは言いがたい』との見解を示した。」
(5)「後藤社長は昨夏、最高顧問から社長に異例の復帰を遂げ、7年ぶりに慰霊式に出席。取材に『救済とは特措法(水俣病被害者救済法)による救済という意味。あたうかぎり(可能な限り)広く救済したわけです』と答えた。特措法に基づく救済策は2014年に対象者の判定が終わっている。後藤社長は現在も続く訴訟の原告らを念頭に『いろいろ紛争がありますけども、その広い範囲の救済にもかからなかった人たちですから』とも述べた。」
(6)「原告らが所属する水俣病不知火患者会の元島市朗事務局長は『被害者が救済を求めて裁判を続ける現実を見ていない。被害者に対する冒瀆(ぼうとく)だ』と批判した。水俣病被害者互助会の谷洋一事務局長は『自分たちが水俣病で何をしたのか理解していない』と述べた。」
(田中久稔、奥正光)


 加害者が被害者に向けて、「異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている」、と言い放つことを許す「構造」が日本にはあることがわかる。
 こうしたことを許してきたのは、戦争責任を曖昧にしてきた日本のあり方そのものに由来する。
 こんなことを許しては、被害者は救われないし、未来の被害者を生むことにも繋がる。




by asyagi-df-2014 | 2018-05-03 06:42 | 水俣から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人