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沖縄タイムスの【教科書のいま】を読む。(3)

 宜野湾海浜公園で、2007年9月29日、復帰後、最大規模の大会になった「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が、11万6千人(主催者発表)が参加し開催された。
 この日から、10年がたった。
 沖縄タイムスは、「2006年度の教科書検定で、高校日本史の沖縄戦『集団自決(強制集団死)』を巡り、日本軍の加害性の記述が大幅に薄められた。11万6千人(主催者発表)が参加した07年9月29日の県民大会を経て、記述はある程度回復したものの、『軍の強制』は認められていない。国の歴史観と、県民の『記憶』とのせめぎ合いが続く『教科書のいま』に焦点を当てる。」、と特集の連載を始めた。
 この沖縄タイムスの特集を読む。
第3回は2017年9月27日、「【教科書のいま・3】「慰安婦」記述に強まる圧力 学校に抗議続々、教科書会社倒産も」(社会部・鈴木実)。
 沖縄タイムスは、今の「現場」の様子を伝える。


(1)今年夏。昨年度から使われている歴史教科書を巡り、関西の名門中学校に組織的とみられる大量の抗議はがきが送りつけられていることが発覚した。「『反日極左』の教科書」「なぜ採択したのか」などと書かれ、採択の理由を問いただす政治家からの電話も同校にあったとされる。
(2)標的となったのは、新規参入の「学び舎(しゃ)」の教科書。沖縄戦や沖縄の基地問題に関する記述が手厚く、中学校の教科書としては唯一「慰安婦」について取り上げたことでも話題になった。執筆者の一人は「教科書そのものに対する批判や提言は受け止めるが、採択した学校への『圧力』は見過ごせない。教育の自由がゆがめられる」と懸念する。
(3)「慰安婦」を巡っては、金学順(キム・ハクスン)さんが1991年に名乗り出たのをきっかけに、90年代の一時期には全ての中学校歴史教科書が取り上げた。一方、90年代半ばに発足した自由主義史観研究会や「新しい歴史教科書をつくる会」は、こうした記述を「自虐的」として矛先を向ける。教科書会社は、次第に及び腰になった。
(4)中学の歴史分野の大手だった日本書籍はこの年、深刻な経営危機に襲われる。ほかの教科書が「慰安婦」記述を控える中、従来通り掲載した同社は集中砲火を浴び、採択を控える教育委員会が相次いだためだ。結局、同社は数年後に倒産。中学校教科書から「慰安婦」の記述が途絶えた。
(5)10年以上の時を経て、再び「慰安婦」に触れたのが学び舎の教科書だった。「河野談話」を紹介する文脈であり、「強制連行を直接示すような資料は発見されていない」という政府見解も載せていたが、「反日」と決め付けられた。
(6)高嶋伸欣琉球大学名誉教授は「国内有数の進学校にも選ばれたため、『つくる会』系の勢力が焦りを感じたのだろう。不当なレッテルを貼ることで『慰安婦』を削除させ、ほかの教科書会社にも記述が広がらないよう牽制(けんせい)する意図があるのでは」とみる。
(7)インターネット上に掲載された文章で、抗議はがきを受けた校長は「多様性を否定し、一つの考え方しか許されないような閉塞(へいそく)感の強い社会」に強い憂慮を示した。国の歴史観に従わせようとする「圧力」が、教育現場や教科書会社を覆っている。


 教育現場の実態は、実は日本の言論の自由や基本的人権の実態である。、
それは、「多様性を否定し、一つの考え方しか許されないような閉塞(へいそく)感の強い社会」、ということである。
この『閉塞』社会を変えることこそ、「大人」の責任である。





by asyagi-df-2014 | 2018-04-12 12:21 | 侵略戦争・戦後処理 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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