政府は「働き方」関連法案を提出。そもそも高プロは導入されてはいけない。(1)

 東京新聞は2018年4月7日、政府が「働き方」関連法案を国会に提出したことについて、「政府は六日、「働き方」関連法案を国会に提出した。長時間労働を助長すると批判された裁量労働制の対象拡大を削除するなどの修正をしたが、残業時間の罰則付き上限規制の導入や、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」の創設が盛り込まれ、過酷な労働を招きかねない点や、実効性が疑わしい内容が目立つ。対案を準備している野党側と激しい論戦になりそうだ。」、と報じた。
 また、この「働き方」関連法案の問題について、次のように指摘する。


(1)「法案は、労働基準法や労働契約法など計八本の改正案の一括法案。施行日は残業時間規制や残業代ゼロ制度、正社員と非正規社員との間で賞与や手当などで不合理な差別を禁止する『同一労働同一賃金』など内容ごとに異なり、労務体制が弱い中小企業は大企業より一年遅くなるものが多い。」
(2)「残業時間規制は一九四七年の労働基準法制定以来、初めて設ける。年間の上限は七百二十時間。繁忙期では月百時間未満、二~六カ月は平均八十時間以内とする。長時間労働が特に問題視される建設、運輸、医師は五年間適用を猶予する。」
(3)「月百時間未満の残業は、厚生労働省が脳・心臓疾患を労災認定する目安で『過労死ライン』と呼ばれる水準。百時間に達しないケースでは、労災認定が難しくなる恐れがある。立憲民主党の対案は月八十時間未満とする方針だ。」
(3)「残業代ゼロ制度は、年収千七十五万円以上の金融ディーラーや研究開発職など一部専門職を労働時間規制から除外。残業代だけでなく、休日や深夜の割増賃金も支払われなくなる。野党の対案は同制度を盛り込んでいない。」
(4)「法案は、終業から再び始業するまでに一定の休息時間をおく『インターバル規制』も設けるが、『制度の普及に努める』として努力義務にとどめた。立民の対案や、民進、希望両党の対案は義務化する方向だ。」
(5)「残業時間規制について『東京過労死を考える家族の会』の中原のり子代表は『法案の内容では過労死は防げない』と指摘。インターバル規制に関し、労働問題に詳しい上西充子法政大教授は『法案に明記されることは歓迎したい』としながら『努力義務では実効性に乏しい』と話す。」
(木谷孝洋)


 さらに、東京新聞は2018年4月7日、このことについて、「働き方法案 これでは過労死防げぬ」、と社説で論評した。
 東京新聞の主張は次のものである。
まず、東京新聞は、安倍晋三政権の姿勢そのものに、「肝心の働く人々が置き去りにされている。」、と根本的な問題として批判を加える。


(1)「働き方改革関連法案は閣議決定され国会で本格的な論戦が始まる。その前に言っておきたい。これまでの法案を巡る政府の対応は不適切、不誠実だった。肝心の働く人々が置き去りにされている。」
(2)「安倍政権が『働き方改革』を掲げる狙いは、経済界が望む裁量労働制の対象拡大と労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)創設の規制緩和策を実現しアベノミクスを推し進めることではないのか。それに差し障りのある情報は隠したい。その姿勢が論議を混乱させている。」
(3)「野村不動産の社員が、裁量労働制の対象外なのに違法に適用され自殺していた。長時間労働による過労が原因で労災認定もされた。政府は不適切な運用をする企業を特別指導した実績例としてこのケースを説明した。指導の事実は会見まで開いて公表したのに、過労自殺の事実は公表しなかった。だが、違法に適用され犠牲者まででていたことの方が指導の成果より重要である。公表しなかった点などを国会で野党に追及されても納得できる説明はないままだ。」
(4)一般の労働者の労働時間よりこの制度で働く人の方が少ないと強調しようと不適切なデータを利用していたこともそうだが、健康を害しかねない働き方だとの印象を与えたくなかったのではないか。不適切データ問題で裁量労働制の対象拡大は法案から削除された。だから説明する責任はないと政府は考えるべきではない。」


 また、東京新聞は、次のことを指摘する。


(1)「労使であらかじめ労働時間と賃金を決める裁量労働制は、労働者に業務量の調整に裁量があるとは言い難く、長時間労働を助長すると指摘されている。今、改善策が要るのはあきらかである。」
(2)「ところが、働く人の健康を守る手だても法案から削られてしまった。新入社員のような裁量を発揮できない人を対象外にする要件を設け、終業から始業までの休息時間の確保や有給休暇の付与などの対策を企業に義務付ける内容で、必要な対策だった。」


 さらに、スーパー裁量労働制高プロ」について、「高プロは法案に盛り込まれた。野党から『スーパー裁量労働制』だと批判もでている。法案は国会論議を通し再考すべきだ。」、と批判を加える。
東京新聞は、最後に、「残業時間の上限規制など働く人を守る規制強化と、官邸主導で進めてきた規制緩和を同時に進めることは矛盾する。多くの人は仕事への強い責任感がある。そこにつけこんだような制度をつくり働かせていいはずがない。制度のありようは、働く人の命にかかわると政府は自覚すべきだ。」、と断ずる。   


 確かに、この「働き方」関連法案の根本的問題は、「肝心の働く人々が置き去りにされている。」、ことにある。
 また、一括法案という安倍晋三政権の常套手段は、「残業時間の上限規制など働く人を守る規制強化と、官邸主導で進めてきた規制緩和を同時に進めることは矛盾する。」(東京新聞)、というものでしかない。

 あらためて、安倍晋三政権は、政治が人の命を預かっていることを肝に銘じなければならない。




by asyagi-df-2014 | 2018-04-07 10:12 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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