玄海原発が再稼働されたことを受けて。(2)
2018年 03月 30日
表題について、東京新聞は2018年3月24日、「玄海原発再稼働 全島避難はできるのか」、と論評した。
東京新聞は、玄海原発再稼働を「九州電力玄海原発が再稼働した。関西電力大飯原発に続く矢継ぎ早の再稼働。噴火や避難に対する住民の不安はやはり、置き去りにしたままだ。誰のために急ぐのか。電気は足りているというのに。」、と批判する。
東京新聞は、問題点を次のように指摘する。
(1)「原発は、南北に長い日本列島に広く分布する。地勢や気象の条件も、立地によって大きく異なり、住民の不安のありようも、さまざまだ。」
(2)「玄海原発では、阿蘇カルデラの噴火リスクが、重大な不安要因として挙げられる。カルデラとは火山活動でできた巨大な窪地(くぼち)。破局的な噴火を起こす恐れが指摘されている。」
この指摘について、東京新聞は次のように続ける。
(1)「九州、山口五県の住民が『阿蘇山噴火の火砕流による重大事故の危険がある』として、玄海原発再稼働の差し止めを求めた仮処分申請を、佐賀地裁は二十日、『原発の運用期間中に破局的噴火を起こす恐れは極めて小さい』とする九電側の主張をいれて却下した。」
(2)「昨年末、広島高裁は『百三十キロ離れた原発に到達する恐れがある』として、愛媛県にある四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを命じている。」
(3)「楽観論に対しては『巨大噴火の時期や規模は予測不可能』とする地震学者の意見も根強く、原子力規制委員会の『火山影響審査』のあり方を疑問視する声もある。」
こうした状況を、東京新聞は、「関西電力大飯原発は十四日、地震の揺れの強さの『過小評価』を懸念する専門家の声を考慮せず、再稼働に踏み切った。拙速の構図は同じである。」、とする。
東京新聞は、「安全神話」の復活 と今回の玄海原発の再稼働については、次のように結論づける。
(1)「避難計画の実効性は、すべての原発に共通する課題である。その上、玄海原発は『離島リスク』を抱えている。玄海原発三十キロ圏には本土との間に橋のない十七の離島があり、一万九千人が暮らしている。もしもの時には、空路や海路に頼るしかない。荒天の場合はどうするか。放射線防護が付いた屋内避難施設も、『完備』というにはほど遠い。」
(2)「長崎県壱岐市は、島全体が四十キロ圏内に含まれる。」
(3)「福島原発事故の教訓に従えば、二万七千島民全員の島外避難が必要になる。そんなことができるのか。」
(4)「これでも九電側は避難計画の現状を『地域の実情を踏まえた詳細なもの』と主張し、規制委も司法も、これを受け入れた。「安全神話」が復活したというしかない。」
(5)「少なくとも、噴火リスクと離島リスクを払拭(ふっしょく)できない限り、玄海原発は動かせないはずなのだが。」
確かに、「長崎県壱岐市は、島全体が四十キロ圏内に含まれる。福島原発事故の教訓に従えば、二万七千島民全員の島外避難が必要になる。そんなことができるのか。」、という事実は、火山問題とともに、「噴火リスクと離島リスクを払拭(ふっしょく)できない限り、玄海原発は動かせない。」、ということなのだ。