『目下の同盟』ということの実態。

 琉球新報は2018年3月26日、「米軍訓練空域が大幅拡大 沖縄周辺、民間機を圧迫 「臨時」が常態化」、と報じた。
 どういうことなのか。
 また、私たちには知らされていないことが起きている、ということである。
琉球新報の報道は、次のものである。


①「沖縄周辺で民間航空機の通航を制限して米軍が訓練する空域がこの2年間で大幅に広がっていることが25日までに分かった。既存の訓練空域に加え、米軍が必要に応じて使う臨時訓練空域『アルトラブ(ALTRV)』を新設する形式だが、実際は常時提供状態となっている。臨時空域の範囲は沖縄周辺の既存米軍訓練空域のほとんどを内包している。航空関係者によると、これらはほぼ毎日「有効」として発令され、民間機の通航を規制している。だが「臨時」名目のため、米軍の訓練空域を示して県などに情報提供される地図(チャート)には載っていない。米軍が訓練に使う空域面積は、既存空域の合計と比べ、少なくとも6割程度広がったとみられる。」
②「国土交通省はこれらを自衛隊用空域の名目で設定。航空自衛隊は当初『米軍が使ったことはない』と否定していたが、後に『米軍と共同で使用することはある。米軍が単独で訓練を実施しているかは答える立場にない』と修正した。複数の航空関係者によると米軍はこれらの空域を日常的に使用している。」
③「新たな臨時訓練空域の設定日は2015年12月。米軍は過去にもアルトラブを設定してきたが、既存の訓練空域を包むほど広大な範囲を設定するのは異例。米空軍嘉手納基地が16年12月28日付で作成した資料『空域計画と作戦』は、沖縄周辺の訓練空域『見直し』によって、これらの空域は米軍が使用する『固定型アルトラブ』に設定されたと明記している。」
④「嘉手納基地はこれら空域をアルトラブに設定している事実は認めたが、使用の頻度は『保安上の理由から訓練の詳細は言えない』とした。資料で言及した訓練空域『見直し』の時期や内容は『日米合意のためコメントできない』とした。」
⑤「一方、管制関係者やパイロットが参照する航空情報は、この臨時訓練空域で『米軍の活動』が行われることを使用期間と併せて明記している。」
⑥「空域を管理する国交省はこの空域を米軍が使っているかは『把握していない』としていたが、その後の取材に『米軍が使う許可は出している。内側で誰が何をしているかは把握していないという意味だ』と訂正した。国交省の関係者は『民間航空の関係者からは、航行の安全のために訓練空域を削減するよう要請を受けてきた。それと逆行する動きだ』と指摘した。」
(島袋良太、仲村良太)


 このことについて、沖縄タイムスは2018年3月27日、「運用の名の下の『米軍優先』 公表せず秘密裏に訓練空域が拡大」、と次のように解説する。


①「【解説】米軍の臨時訓練空域『アルトラブ』が、既存の訓練空域の範囲を大幅に越える形で設定されていることが明らかになった。あくまでも『臨時』であることを盾に、一般に公表されることはなく、事実上、秘密裏に米軍の訓練空域が拡大されていた。」
②「県のまとめでは、県内には米軍訓練のための空域、水域が計49カ所設定されている。設定を公表しているのは、航路への航空機、船舶の接近を避け、危険を回避するためだ。」③「今回のアルトラブは一部の航空関係者への公表にとどまり、国土交通省も設定範囲を『把握していない』としている。非公表での訓練空域の拡大は、日米両政府が進める日米安全保障政策への不信感を増幅させるものと言える。」
④「アルトラブを定めたのは、1975年5月の『航空交通に関する日米合意』だ。米国が軍用機を運用する際、日本側へ空域使用要請を申し出、日本は『便宜を図る』と取り決めている。」
⑤「日本側は、米側の申し出に応じ、アルトラブを設定した。だが、現在でも沖縄周辺には広大な訓練空域が設定されており、なぜ追加的な空域指定が必要なのか一切明らかにしていない。そもそも日米合意は『便宜を図る』であり、申請を無批判に認めるものではない。使用目的さえ公表せず臨時空域を認めることは運用の名の下の『米軍優先』であり、米国への従属の形の表れと言える。」                       (政経部・大野亨恭)


 確かに、ここに、私たちに知らせれていないか、私たちが知ろうとしなかったことがある。
 しかし、次のことが明確になった。


Ⅰ.「米軍の臨時訓練空域『アルトラブ』が、既存の訓練空域の範囲を大幅に越える形で設定されていること」が明らかになったこと。
Ⅱ.このことは、日米両政府の中で、あくまでも「臨時」であることとされていること。Ⅲ.しかも、このことは、一般には公表されることはないこと。
Ⅳ.したがって、事実上、秘密裏に米軍の訓練空域が拡大されていたこと。
Ⅴ.今回のアルトラブは一部の航空関係者への公表にとどまり、国土交通省も設定範囲を『把握していない』としていること。
Ⅵ.この『アルトラブ」を定めたのは、「1975年5月の『航空交通に関する日米合意』だ。米国が軍用機を運用する際、日本側へ空域使用要請を申し出、日本は『便宜を図る』と取り決めている。」(沖縄タイムス)であったこと。
Ⅶ.この『航空交通に関する日米合意』は、「便宜を図る」ことが目的であり、申請を無批判に認めるものではないことから、現在行われている「使用目的さえ公表せず臨時空域を認めること」は、「運用の名の下の『米軍優先』であり、米国への従属の形の表れ」(沖縄タイムス)でしかないこと。  


 どうだろうか、今回の両社の指摘は、まさしく日本政府の『目下の同盟』のあり方を暴くものになっているではないか。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-28 07:07 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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