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玄海原発が再稼働されたことを受けて。(1)

 西日本新聞は2018年3月20日、運転差し止めの仮処分申し立ての佐賀地裁の判決について、次のように報じていた。


「九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを周辺住民ら73人が求めた仮処分申し立てについて、佐賀地裁(立川毅裁判長)は20日、『新規制基準の合理性に疑いはなく、玄海原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に看過しがたい欠落はない』として住民側の申し立てを却下した。九電は23日にも3号機の再稼働に踏み切る見通し。住民側は決定を不服とし福岡高裁に即時抗告する方針。」


 また、西日本新聞は、次のように解説していた。


(1)「原発の運転差し止めを巡っては、2011年の東京電力福島第1原発事故以降、全国で裁判が相次いだ。昨年12月には広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、約130キロ離れた阿蘇カルデラ(熊本県)の危険性を理由に、高裁レベルで初めて運転差し止めを決定。玄海原発も阿蘇カルデラからほぼ同じ距離にあるため、同地裁の判断が注目された。」
(3)「地裁決定では、九州全域に火砕流が及ぶような阿蘇カルデラの破局的噴火について『少なくとも地下10キロより浅くに破局的噴火を起こすような大規模なマグマだまりはないと確認されている」として危険性を否定。広島高裁決定と同様に新規制基準の安全対策指針『火山影響評価ガイド』を厳格に運用すれば、危険が認められるとの住民側の主張を退けた。
(4)争点となった避難計画についても『(国の)原子力防災会議で合理的と了承され、九電が今後も実効性の向上に努めるとしており、不適切とは言えない』と判断。『避難計画の作成範囲を30キロ圏内に限るのは実効性はない』という住民側の主張は認めなかった。」
(5)「福島事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準については『福島事故を受けて調査分析され、現在の科学技術水準を踏まえて策定された』として合理性を認めた。立川裁判長は昨年6月、玄海3、4号機の再稼働を巡り、別の住民団体による運転差し止めの仮処分申し立ても却下していた。」


 こうした状況の中で、九州電力は、2018年3月23日の午前、玄海原発3号機(出力118万キロワット)を再稼働させた。
 この玄海3号機の稼働は定期検査で運転を停止した2010年12月以来、約7年3カ月ぶりである。
西日本新聞は、2018年3月23日朝、「玄海原発再稼働 安全対策に終わりはない」、と社説で論評した。
この、再稼働を西日本新聞社の社説で考える。
西日本新聞社は、この再稼働が、「東京電力福島第1原発事故後に作られた原子力規制委員会の新規制基準下での再稼働は5原発7基目となる。九電管内では川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機に続き3基目だ。」、と説明するとともに、「住民の懸念や不安を解消するためにも、九電は正確で迅速な情報公開に努め、安全性を最優先する姿勢を忘れないでもらいたい。」、と指摘する。


 また、次のように問題点をあげる。


(1)「佐賀県と立地自治体の玄海町から同意を得たとはいえ、周辺自治体や住民の懸念は根強い。地元範囲をどう設定すべきか。合意手続きは現状のままでいいのか。積み残された課題は少なくない。」
(2)「避難計画の実効性を高めることも玄海原発では大きな課題になっている。緊急防護措置区域の半径30キロ圏内に福岡、長崎両県を含む3県8市町が入り、有人離島は国内の原発では最多の20に上る。避難計画の対象は計26万人を超す。
(3)「避難計画の策定は基本的に自治体任せになっているのが現状だ。海路に頼る離島住民の迅速な避難など訓練で浮かんだ具体的な課題の解決を急ぎたい。隣接県との広域的な調整も含めて国がもっと積極的に関わるべきではないか。」


 あわせて、広島高裁の判決との整合性についても指摘する。


「原発を巡っては、広島高裁が昨年12月、熊本県の阿蘇カルデラの噴火リスクを理由に四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)3号機の運転差し止めを命じた。一方、阿蘇からの距離が伊方とほぼ同じ約130キロの玄海3、4号機については、佐賀地裁がリスクを認めず、運転差し止めの仮処分申し立てを却下した。相反する裁判所の決定をどう受け止めるべきなのか。


 西日本新聞は社説の最後を、九州電力の玄海原発の再稼働に対して、「私たちは東日本大震災で想定外の災害が起こり得ることを思い知らされた。その教訓を生かすためにも、原発の安全性追求には終わりがないことを再認識したい。幾つもの重い宿題を抱えて、玄海原発は再稼働する。国や電力会社は、あの『3・11』で原発の『安全神話』とは決別したことを改めて肝に銘じ、不断の安全対策に取り組むよう求めたい。」、と結ぶ。


 確かに、『3.11』は、原発の「安全神話」に決別をしたはずだったのだ。
今、このことを忘れるわけにはいかない。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-24 08:48 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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