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沖縄タイムスの『沖縄・基地白書』を読む。(12)

 沖縄タイムスは、「国内の米軍専用施設面積の70・4%が集中する沖縄では、名護市辺野古の新基地建設以外にも騒音や墜落の危険性などの問題を抱えている。国防や外交の視点ではなく、住民の暮らしの目線から沖縄の米軍基地問題を検証する。」、と『沖縄・基地白書』の連載を始めた。
 今回は、第11回-「沖縄・基地白書(11)「パパパパパパッ」飲食店に響く銃声 複合的被害、救済されず」(2018年3月15日)から。
 今回の話は第1部 被害 名護市シュワブ周辺。
 「名護市の東海岸にある飲食店内に『パパパパパパッ』と乾いた重機関銃の音が断続的に響いていた。」、と始まる。
沖縄タイムスは、沖縄の基地被害を、次のように伝える。


(1)「名護市の東海岸にある飲食店内に『パパパパパパッ』と乾いた重機関銃の音が断続的に響いていた。」
(2)「『山の向こう側に射撃場があり、いつもは鳥や虫の声が聞こえるが、演習が始まるとこんな感じ。この音を聞きながらのランチは他の店ではできない』。40代の女性店員が自嘲気味に教えてくれた。『慣れたとしても気持ちいいものではない。弾が向かって来ないか、不安』。
(3)「名護市の面積の約1割を占める米軍キャンプ・シュワブには実弾射撃場が点在する。在沖海兵隊の歩兵や強襲揚陸、偵察など各部隊のほか、時には空軍兵士も、機関銃や機関砲の使用方法を学び、訓練する。」
(4)「たびたび事故も起きている。2002年7月、シュワブ内からM2重機関銃の発射した弾が、名護市数久田のパイナップル畑で作業していた男性の2メートル先に落ちた。演習場のフェンスから300メートル、レンジ10と呼ばれる発射場所から約4・5キロの距離だった。M2の最大射程は6・5キロだ。なぜ演習場外の畑に着弾したのか、その理由が明らかにされないまま、射程範囲に入る住民は、万が一の不安を抱える。」
(5)「演習場内の着弾地に近い名護市辺野古の女性(80)は『訓練の日は、日常が戦場に変わる』と表現した。39年前からこの家に住む。」
(6)「シュワブには戦車揚陸艦(LST)の揚陸用ランプ(斜面)やそのための訓練海域があり、水陸両用車を使った強襲揚陸演習ができる。地上部隊を支援する攻撃ヘリや輸送機オスプレイなど航空機が加わる複合的な訓練も多い。ただ、航空機騒音と砲撃音は別々に評価される。名護市内で防衛省の防音住宅工事対象世帯はゼロだ。例えば名護市の測定で、16年辺野古の63デシベル以上の航空機騒音は1166回、80デシベル以上の米軍訓練による爆発音は498回に及ぶが、それぞれの基準で対象外だ。」
(7)「名護市議会の軍事基地等対策特別委員長として、防衛省に測定器設置や調査などを求めた大城敬人市議(77)は『防衛省は木で鼻をくくったような対応で、被害の実態を調べようとしない』と批判する。名護市辺野古の新基地建設で、辺野古、久志、豊原の3区に防衛省から市を通さない直接交付金が交付されていることを引き合いに、こう指摘した。『新基地のために金を出すが、実際の被害には紋切り型の対応しかしない。新基地が完成すればどうなるか、容易に想像できる』
(「沖縄・基地白書」取材班・福元大輔)
(8)[メモ]被害の実態調査 名護市など要求:「県内では、米軍航空機、実弾射撃、廃弾処理に伴う爆発などの複合的な騒音被害を受ける地域が多い。一方、防衛省の住宅防音事業では、航空機騒音で嘉手納基地と普天間飛行場の周辺に限られる。本土では沖縄の県道104号越え実弾砲撃訓練の受け入れを背景に、矢臼別など自衛隊の11演習場周辺で1997年に防音事業を開始。県内では防衛省の定める騒音レベルに達する可能性がないという理由で調査すら実施されていない。名護市や市議会は測定器を設置し、キャンプ・シュワブ周辺の複合的被害の実態を調査するよう求めているが、実現していない。」


 この二人の声を、肝に銘じよう。


『慣れたとしても気持ちいいものではない。弾が向かって来ないか、不安』。
『訓練の日は、日常が戦場に変わる』


 そして、この「ただ、航空機騒音と砲撃音は別々に評価される。名護市内で防衛省の防音住宅工事対象世帯はゼロだ。例えば名護市の測定で、16年辺野古の63デシベル以上の航空機騒音は1166回、80デシベル以上の米軍訓練による爆発音は498回に及ぶが、それぞれの基準で対象外だ。」(沖縄タイムス)、という事実を掘り下げよう。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-22 08:49 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人