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京都地裁は、原発避難訴訟で国の責任を認定する。

 毎日新聞は2018年3月15日、「国の責任認定は前橋地裁、福島地裁判決に続いて3件目」、と表題について次のように報じた。


(1)「東京電力福島第1原発事故に伴い、福島、茨城、千葉各県などから京都府に自主避難するなどした57世帯174人が国と東電に計約8億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁(浅見宣義裁判長)は15日、国と東電に対し、賠償するよう命じた。原発避難者の集団訴訟で国の責任を認めたのは、昨年3月の前橋地裁、同10月の福島地裁判決に続いて3件目。」
(2)「原発避難者の集団訴訟は、全国で約1万2000人が約30件起こしている。判決は前橋地裁を皮切りに、千葉、福島、東京各地裁に続いて5件目(東京地裁は被告が東電のみ)。千葉地裁は国の責任を認めていなかった。」
(3)「京都訴訟原告の事故当時の居住地は、福島市やいわき市など東電が賠償対象とする福島県内の『自主的避難区域』が143人で、同区域外の福島県や茨城、千葉など他県が29人。他の2人は国の避難指示などが出た福島県内の区域に住んでいた。いずれも平穏な日常生活を奪われ、二重生活に伴う負担増を強いられたなどと訴え、原則1人550万円の賠償を求めていた。」
(4)「政府の地震調査研究推進本部は2002年、福島沖で巨大津波地震が起き得るとした『長期評価』を公表している。原告側は国の責任について『津波の危険性を予見できたのに有効な安全対策を怠った』と主張。一方、国は『長期評価からは地震を予見できず、規制権限の行使義務もなかった』と反論していた。」
(5)「16日に東京地裁、22日には福島地裁いわき支部でも集団訴訟の判決が予定されている。」
【飼手勇介】
(6)「国の責任、司法判断として定着しつつある」:淡路剛久・立教大名誉教授(民法・環境法)の話:「判決は、自主避難をせざるをえなかった原告の個別事情を踏まえ、避難の相当性を認めた。被害実態に必ずしも即していない中間指針に基づく賠償を司法的に是正する内容で、重要な判断だ。一方、東電からの賠償額で十分として請求を棄却された人がかなりおり、裁判所の損害認定額が低かったと感じる。国の責任は前橋、福島両地裁に続き、京都地裁でも認められ、司法判断として定着しつつある。国は賠償の基準や期間、さらには地域復興についても、政策のあり方を見直す必要があるのではないか。」
(7)「難の判断基準、司法がより具体的に示す」:除本理史(よけもとまさふみ)・大阪市立大大学院教授(環境政策論)の話:「避難が合理的かどうかの判断基準を、司法がより具体的に示した。中間指針で賠償対象となった区域の外でも、司法が独自に賠償を認定する流れが定着してきた点も注目すべきだ。ただ、放射性物質の汚染による不安が長く続いていることを考えると、避難の時期を12年4月1日までで区切ったのは短すぎる。」




by asyagi-df-2014 | 2018-03-17 12:56 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人