人気ブログランキング | 話題のタグを見る

沖縄の軍事要塞化は許してはいけない。-沖縄タイムス・琉球新報社悦20180228から-

 沖縄タイムスと琉球新報は、2018年2月28日付けの社説で、「沖縄タイムス社説-[日米「不適切発言」]苦しむ県民に追い打ち」「琉球新報社説-本島にミサイル部隊 過敏な対応は危険を招く」、とそれぞれ論評した。
 実は、琉球新報は2018年2月28日、「沖縄本島と宮古島間の海域を中国海軍の艦艇が頻繁に通過しているとして、陸上自衛隊が運用する12式地対艦誘導弾(SSM)の新たな部隊を沖縄本島に配備する方向で検討していることが27日、関係者への取材で分かった。防衛省は射程を伸ばす研究開発を進めている12式改良型を石垣島など沖縄に配備することも検討している。過重な米軍基地負担に加え、自衛隊の基地機能強化が進んでおり『基地負担軽減』に逆行する。」、と伝えている。
 このことについて、沖縄タイムスは「沖縄で自衛隊増強の動きが急だ。沖縄の負担軽減を目的としたSACO(日米特別行動委員会)合意と、かけ離れた『軍事要塞(ようさい)化』が進んでいるのである。」、琉球新報は「南西諸島の軍事基地化を推し進める危険な計画だ。検討する必要は一切ない。」、と批判する。
 二社の「主張」等は、次のものである。


Ⅰ.沖縄タイムス


(1)「地上から艦艇に対処するため、政府が陸自の地対艦誘導弾(SSM)のミサイル部隊を新たに沖縄本島へ配備を検討していることが分かった。中国海軍の艦艇が沖縄本島-宮古島間を頻繁に航行するようになっているからだという。」
(2)「公海を通過しても国際法上の問題はないが、2008年11月に中国海軍の駆逐艦など4隻が同海域を初めて通過して以来、中国海軍の艦船や軍用機の飛行が常態化している。」
(3)「自衛隊の新設計画はこれだけではない。」
(4)「離島奪還作戦の専門部隊で日本版海兵隊といわれる陸自の『水陸機動団』が3月末に陸自相浦駐屯地(長崎県)を拠点に2個連隊、約2100人態勢で発足する。離島有事を想定した部隊だ。3個連隊目は20年代前半、在沖米海兵隊約9千人がグアムに移転する計画があることから、米軍キャンプ・ハンセンへの配備が取りざたされている。」
(5)「建設中の那覇空港の第2滑走路は増加する観光客に対応するためだけではない。空自那覇基地はF15戦闘機部隊を1個飛行隊から2個飛行隊の約40機に倍増。第9航空団を編成しており、F15戦闘機部隊の増強にも対応しているのである。那覇基地には尖閣諸島などを監視する早期警戒機(E2C)を運用する飛行隊も新設され、活動している。」
(6)「防衛省は南西地域の防衛態勢の強化を着々と進めている。17年3月に与那国島に、航空機や艦船をレーダーで監視する沿岸監視部隊(約160人)を配置した。宮古島では地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊、警備部隊(計700~800人)の配備に向けた工事に着手している。石垣島でも同様の部隊(計500~600人)を配備する計画である。奄美大島では18年度末の部隊(計約550人)配備に向け、工事が進んでいる。」
(7)「沖縄本島へ配備検討されている地対艦誘導弾は、最大射程百数十キロ。沖縄本島と宮古島は約300キロの距離があり、双方に置けば、同海域全体をカバーすることができ封鎖することも可能になる。緊張感が高まるのは間違いない。」
(8)「防衛省は年末までに策定する防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画(中期防)に沖縄本島への地対艦誘導弾の新たなミサイル部隊を書き込むことも想定しているという。防衛省は宮古島、石垣島への自衛隊配備についてもそうだが、住民への情報開示が不十分なまま進めようとしている。」


Ⅱ.琉球新報


(1)「政府が地対艦誘導弾の新たなミサイル部隊を沖縄本島に配備する方向で検討している。宮古島市では700~800人規模の警備部隊と地対空・地対艦ミサイル部隊の配備を進めている。沖縄本島-宮古島間の公海を中国海軍の艦艇が頻繁に通過する現状を踏まえ、中国をより強くけん制する必要があると政府は判断した。大いに疑問である。」
(2)「沖縄本島、宮古島へのミサイル部隊配備は中国との緊張を高める効果しかない。軍事拠点は攻撃対象となり、地域に危険しかもたらさない。中国を刺激するミサイル部隊配備計画は全面撤回すべきだ。」
(3)「各国の沿岸から12カイリの領海や200カイリまでの排他的経済水域(EEZ)以外の海域は公海である。1982年に採択され、日本も批准している国連海洋法条約が根拠になっている。条約では各国が公海の領有権を主張できず、他国の利益を考慮する限り、全ての国が自由に使用することができる『公海自由の原則』を定めている。公海を通る中国海軍艦艇を敵視することは『公海自由の原則』に明らかに反する。日中関係のさらなる停滞を招きかねない。」
(4)「政府が配備を検討しているのは、射程が百数十キロのミサイルである。沖縄本島と宮古島は約300キロ離れている。宮古島からだけではカバーできないが、沖縄本島と宮古島に置けばカバーすることが可能になるとの考えである。あまりに危険すぎる。」
(5)「米太平洋軍のハリス司令官は下院軍事委員会の公聴会で、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島を実効支配している中国が3千メートル級の滑走路やレーダー施設の整備を進めていて『新たな七つの軍事基地』を保有していると指摘した。ハリス氏はさらに高性能な防衛装備を将来、中国が配備する可能性があるとし、中国の海上戦力強化に強い警戒感を示している。中国が進める南シナ海の軍事拠点化は目に余るものがある。だが、軍事に軍事で対抗することは愚かとしか言いようがない。」
(6)「与那国島では陸上自衛隊の沿岸監視隊が2016年に発足した。防衛省は今後、宮古島や石垣島のほか、奄美大島にもミサイル部隊と防空を任務とする地対空ミサイル部隊、警備を担当する部隊を配備する計画だ。それに加えて沖縄本島にもミサイル部隊を配備するとなれば、南西諸島は「要塞の島」と化し、標的にされかねない。」
(7)「沖縄本島-宮古島間では2008年11月以降、中国海軍の往来が徐々に常態化してきている。だが、公海通過は国際法上問題はない。過敏な対応は危険を招く恐れがある。」


 確かに、はっきりしていることは、「与那国島では陸上自衛隊の沿岸監視隊が2016年に発足した。防衛省は今後、宮古島や石垣島のほか、奄美大島にもミサイル部隊と防空を任務とする地対空ミサイル部隊、警備を担当する部隊を配備する計画だ。それに加えて沖縄本島にもミサイル部隊を配備するとなれば、南西諸島は『要塞の島』と化し、標的にされかねない。」(琉球新報)、ということである。
 まさに、「自衛隊の増強計画と米軍の新基地建設が同時並行的に進んでいる。かつてなかった事態だ。」(沖縄タイムス)、という事態を迎えている。
 今日本で、「沖縄の負担軽減を目的としたSACO(日米特別行動委員会)合意と、かけ離れた「軍事要塞(ようさい)化」が進んでいるのである。」(沖縄タイムス)、ということが起こっていることを改めて痛感させられる。
 また、『辺野古が唯一の選択』を振りかざす安倍晋三政権の思惑が、「自衛隊の増強計画と米軍の新基地建設が同時並行的に進んでいる。かつてなかった事態だ。」、ということで改めて証明されることになる。




by asyagi-df-2014 | 2018-03-07 06:39 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人