人気ブログランキング | 話題のタグを見る

旧優生保護法下で、不妊手術を強制された宮城県の60代女性が、個人の尊厳や自己決定権を保障する憲法に違反するとして、国に1100万円の支払いを求める訴訟を起こした。(2)

 毎日新聞は2018年1月30日、「1948年から96年まで半世紀近く続いた旧優生保護法下で、不妊手術を強制された宮城県の60代女性が30日、個人の尊厳や自己決定権を保障する憲法に違反するとして、国に1100万円の支払いを求める訴訟を仙台地裁に起こした。同法に基づいて強制手術を受けた人は全国に1万6475人いるが、国家賠償請求訴訟は初めて。女性側は、被害者救済に必要な立法措置を怠った国の責任について追及する。」、と報じている。
 このことに関して、、毎日新聞は2018年2月20日、「57年、国が「優生手術」増要請 都道府県に、予算消化促す」、とこの問題への国の関与の実態を次のように指摘した。


(1)「国家予算で障害者への不妊手術を強制した旧優生保護法(1948~96年)をめぐる問題で、厚生省(当時)が57年、手術件数の少ない県を暗に批判した上で、手術実施に伴う費用が国の予算を下回っていることを理由に各都道府県に件数を増やすよう求める文書を送付していたことが判明した。前年の56年は、それまで増加傾向にあった全国の強制手術件数が初めて減少に転じていた。専門家は文書が送付された背景に『予算枠を減らしたくない役所の論理』があったと指摘している。」
(2)「文書は手書きの計2枚で、旧厚生省公衆衛生局精神衛生課が57年4月27日に作成。同課の課長名で差し出され『各都道府県衛生主管部(局)長』宛てになっている。同省と都道府県の担当者間で交わされた書簡の一つとみられ、京都府立京都学・歴彩館(公文書館)に保管されていた現物の写しを毎日新聞が入手した。」
(3)「文書はまず『例年優生手術の実施件数は逐年増加の途を辿(たど)っているとはいえ予算上の件数を下回っている』と懸念を示している。その上で、56年に各都道府県が同省に報告した強制手術件数をまとめた一覧表を添付し、『実施件数を比較してみますと別紙資料のとおり極めて不均衡である』と都道府県の件数格差を指摘。『手術対象者が存在しないということではなく、関係者に対する啓蒙(けいもう)活動と貴殿の御努力により相当程度成績を向上せしめ得られるものと存ずる次第』『本年度における優生手術の実施につきまして特段のご配意を賜りその実をあげられるよう御願い申し上げる』などとし、手術件数を増やすよう求める内容だ。」
(4)「旧厚生省の衛生年報などによると、強制手術を受けた数は全国で55年に1362件とピークを迎えた後、56年に1264件と減少に転じた。文書が送付された57年も全国的な減少傾向に歯止めはかからなかったが、山形▽宮城▽愛知▽長野▽徳島▽福岡▽鹿児島など10県以上は57~58年にかけて増加に転じていた。」
(5)「同法が改定された後の母体保護法を所管する厚生労働省の担当者は「原本が(手元に)なく、どういう経緯で出されたのか把握できないためコメントできない」と話している。」     
【遠藤大志】




by asyagi-df-2014 | 2018-02-20 12:05 | 人権・自由権 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人