社説、論説から。~琉球新報20180106~

 琉球新報は、「県民生活に配慮しない姿勢が改めて浮き彫りになった。強く抗議し、改善を求める。」、と日本政府に突きつける。
どういうことなのか。
 2018年1月6日付けの社説は、「合意破り前提の運用 日本政府の姿勢に起因」、と次のように告発する。
 まず最初に、「騒音規制措置(騒音防止協定)を破ることを前提とした米軍嘉手納基地の運用実態が明らかになった。本紙が入手した欧州の米空軍基地と、嘉手納基地の基地司令官らが出した騒音軽減措置指示書とでは、看過できない大きな違いがある。」、と指摘し、その違いを示す。


(1)「イタリア・アビアノ米空軍基地の指示書は、イタリアの国内規制よりも前後に1時間ずつ長い午後10時から午前8時を騒音規制時間に設定している。深夜・早朝や週末に飛行する場合は、基地の管理権を持つイタリア軍の許可が必要とする。米空軍は、外来機の飛来時に常駐機の運用に規制をかけるなど、厳しく騒音を規制している。」
(2)「ドイツのラムシュタイン米軍基地は、深夜・早朝の騒音規制時間中の離着陸やエンジン調整を認める特例は、大統領指示による緊急性の高い任務や急患搬送などとし、限定列挙方式で制限している。」
(3)「レイクンヒース空軍基地などがある英国では、米軍機の深夜・早朝の規制時間は地元での訓練を目的とした滑走路の使用を禁止している。」


 この上に、日本の実態を「日米合同委員会は1996年3月、嘉手納基地の飛行制限を午後10時から午前6時までとする内容で合意した。だが嘉手納基地の指示書では、夏場には午前0時までの飛行を認めている場合もあった。」、と指摘する。
 結局、この違いは何故生じたのか、ということになる。
 琉球新報は、次のように結論づける。


(1)「欧州に駐留する米空軍はその国と国民を尊重し、自ら騒音を軽減する姿勢がある。これがあるべき姿だ。傍若無人な在沖米軍と対照的である。」
(2)「なぜ、在沖米軍は県民を尊重しないのか。その要因は、イタリア政府などと日本政府の主権に対する姿勢が決定的に違うことにあろう。」
(3)「米軍がやりたい放題の訓練をしても、米軍機が民間地に墜落して米軍が現場を封鎖しても問題視せず、墜落事故を起こした同型機の飛行再開を即座に追認する。こんな政府が米軍から甘く見られるのは当然である。」
(4)「沖縄の米軍基地問題は米側に対し、断固とした姿勢で改善を強く要求しない政府の姿勢に起因する。政府の対米追従姿勢の被害を最も受けるのは県民である。政府はいつまでそんな状態に県民を置くつもりなのか。」
(5)「そもそも沖縄側は、午後7時から午前7時までの米軍機の飛行制限を求めたが無視された。しかも『運用上必要』『できる限り』『最大限の努力』などの文言が並び、米軍が恣意(しい)的に運用できる内容である。今こそ、抜け道のない新たな騒音防止協定を締結すべきだ。」


 最後に、琉球新報は、「米軍に都合のいい騒音防止協定になったのは、合同委の米側代表を在日米軍副司令官が務め、米側委員6人のうち5人を軍人が占めていることも背景にある。米占領期の異常な状態が今も続いていることに、日本側は異議を唱えるべきである。」、と重要な指摘をする。


 確かに、常に、『運用上必要』『できる限り』『最大限の努力』と聞かされてきた。今こそ、その原因を明確にし、変えなければならない。
 実は、その答えの一つを琉球新報は前日(1月5日)の「日米合同委見直し 『異常』な体制 是正を」との社説で示していた。
それは、次のものである。


(1)「1972年5月の沖縄の日本復帰を機に、在日米国大使館が日米合同委員会の代表権を軍部から大使館の公使に移すことを国務省に提起していたことが、米国公文書で明らかになった。しかし、米軍の抵抗に遭い、軍部主導の枠組みは温存された。日本占領期を起源とする合同委が、沖縄の基地問題の解決を阻んでいる。対等な日米関係であるために、日本政府は合同委の米国政府代表を外交官に変更するよう強く働き掛けるべきだ。」
(2)「合同委は現在、基地の管理・運用などを定めている日米地位協定の実施に関する両政府の協議機関として位置付けられる。米側委員6人のうち5人を軍人が占める。米政府代表を務める在日米軍副司令官は「米国防総省や米軍のみならず、米政府全体を代表する」立場にある。さらに合同委の場で「米側を代表する発言または行動を認められた唯一の人物」と位置付けており、現在も米軍が強大な権限を持っている。」
(3)「地位協定という条約の運用を外交官ではない軍人が政府代表の立場で取り仕切っているのはおかしい。米国大使館で返還交渉の責任者だったスナイダー氏は、この状態を『極めて異常』と指摘している。外交上も文民統制の観点からも問題である。」
(4)「72年5月にインガソル駐日米国大使が国務省に宛てた公電は『沖縄返還を機に合同委の在り方を再検討する必要がある。制服の軍人が日本政府と直接やりとりし、大使館は対応方針に異論を唱える余地がない状況になるまで素通りされている』と不満を示し、見直しを提起した。大使館側は合同委について『大使館が設置される以前、通常の主権国家との関係を築く以前の占領期に築かれた』と主張している。当時、大使館で沖縄返還交渉の法律顧問を務めたチャールズ・シュミッツ氏は本紙に対し『法律家として、合同委という占領の遺物に対処する時期だと考えた』と証言している。」
(5)「沖縄側が求める地位協定の抜本的改定が進まないのは、合同委で『軍の論理』が優先されるからだ。合同委の議事内容は日米の合意がない限り公表されない。密室で秘密の取り決めができる。在沖米軍基地の『自由使用』を認めた『5・15メモ』や、米軍犯罪に関して日本側が重大な事件を除き一次裁判権を放棄する密約も交わされた。」
(6)「看過できないのは、米国公文書が合同委の見直しについて『日本側から変更を求める兆候もない』と指摘している点だ。日本側から変更を求めない限り事態は変わらない。翁長雄志知事は『日米地位協定の改定や日米合同委員会の在り方を変えるべきだ』と指摘している。」
(7)「見直しは日本が主権国家であるかどうかを確認する『試金石』である。」


 日本という国の根本問題として横たわっているのは、「日米は真の意味で対等な関係にあるのだろうか。」との琉球新報の投げかけが意味するもの、つまり、日本は本当に主権国家なのか、という疑問なのである。




by asyagi-df-2014 | 2018-01-14 07:27 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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