各紙社説から2018年を。①-沖縄タイムス・琉球新報-

 2018年が始まりました。
 昨年度、度々参考にさせてもらった十社の新聞社の1月1日付け社説は、次のようになっています。


(1)沖縄タイムス社説-[2018 新年に]戦争起こさない努力を
(2)琉球新報社説-新年を迎えて 自己決定権が試される
(3)信濃毎日新聞社説-暮らしの中で 人と在ることの大切さ
(4)高知新聞社説-【岐路の年】世界 分断の深まりを超えて
(5)西日本新聞社説-「ポスト平成」へ 平和こそ次世代への遺産
(6)北海道新聞社説-激動を越えて 分断から寛容への転換を
(7)京都新聞社説-新しい年に  世界とヒトの秩序が揺れる
(8)朝日新聞社説-来たるべき民主主義 より長い時間軸の政治を
(9)毎日新聞社説-論始め2018 国民国家の揺らぎ 初めから同質の国はない
(10)東京新聞社説-年のはじめに考える 明治150年と民主主義


 これを並べてみただけで、2018年の日本が進まなければならない方向が見えてくるではしょうか。
今回は、沖縄タイムスと琉球新報の決意から、2018年を考えます。
 それぞれの社説をまとめると次のようになります。


Ⅰ.新聞社としての主張、決意

(沖縄タイムス)
(1)観光は平和産業である。ひとたび武力衝突の事態になれば沖縄観光は吹っ飛ぶだろう。米同時多発テロの経験からも明らかである。
(2)沖縄の切実な声よりも米軍の運用上の都合が優先される現実は復帰前も復帰後も基本的に変わっていない。困難な時代の新年に当たって「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」(憲法前文)ことを改めて決意したい。


(琉球新報)
(1)新年を迎えた。2018年の沖縄は、自己決定権が試される年になるだろう。
(2)明治改元から150年の節目の年でもある。この間の歴史を顧みる時、改元から11年後の1879年に日本政府が「処分」と称して琉球を併合し、主権=自己決定権を奪ったことに留意したい。


Ⅱ.沖縄の歴史

(沖縄タイムス)
(1)立法院(現在の県議会)は復帰前の1965年、憲法が適用されていないにもかかわらず、5月3日の憲法記念日を「祝祭日」とすることを全会一致で決めた。平和憲法への強い願望の表れだった。後に琉球大学学長になる金城秀三氏は同年5月3日の本紙に「憲法記念日にあたって」と題し評論を寄せた。
(2)「戦後日本の経験した二つの大きな政治的変革、日本国憲法の制定及(およ)び平和条約の締結のいずれについても沖縄住民は日本国の主権者たる国民の資格において主体的に参加することができなかった」「沖縄の住民はいまだかつて自らを主権者とする民主主義政治を享受する機会を与えられたことはなかったと言わなければならない」
(3)住民に重大な影響を及ぼす政策決定であるにもかかわらず、沖縄の民意はしばしば無視されてきた。1971年11月17日。屋良朝苗主席が「復帰に関する建議書」を手にして上京した日に衆院の特別委員会は沖縄返還協定を強行採決した。県民の思いを盛り込んだ建議書が国会で取り上げられることはなかった。復帰に伴って制定された公用地暫定使用法も、沖縄にのみ適用される特別法にもかかわらず、憲法に定められた住民投票は実施されなかった。


(琉球新報)
(1)50年前の1968年2月1日、アンガー高等弁務官は11月に行政主席を直接選挙で決めると発表した。米国は当初、主席公選を実施する計画だったが、52年に突然無期限に延期した。公選にすれば、強い個性と魅力のある政策を持ち、米国の言いなりにならない候補者が当選することを懸念した。それで自らの代表を自ら決める自己決定権を封じた。以来、高等弁務官に任命された行政主席らは、自らの立場を「緩衝地帯」(比嘉秀平氏)、「代行機関」(当間重剛氏)、「主権在米」(大田政作氏)と自嘲気味に表現した。それでも県民は自治権の拡大の象徴として主席公選の実現を訴え続け、米国の政策を変更させた。この歴史を忘れてはならない。
(2)68年の初の主席公選は「即時無条件全面返還」を訴えた沖縄教職員会会長の屋良朝苗氏が当選した。有権者は基地のない沖縄、平和憲法下の日本へ直ちに帰るという屋良氏の主張に賛同した。しかし、その民意は日米両政府の沖縄返還交渉の中で無視され、日本復帰後もほとんどの米軍基地は残った。今でも国土面積の0・6%の沖縄に米軍専用施設の70・38%が集中する。これは不平等だ。
(3)今年の干支(えと)、いぬ年の1946年1月、連合国軍総司令部(GHQ)は、北緯30度以南の南西諸島を政治上、経済上、日本から分離すると発表した。この年の4月、米海軍少佐がこう発言した。「沖縄の軍政府はネコで沖縄はネズミである。ネズミはネコの許す範囲でしか遊べない」。軍政の実態を端的に表している。同じ年の11月、日本国憲法が公布された。日本と切り離された沖縄住民は、戦争の放棄を掲げる条文を知り、平和憲法に憧れたという。


Ⅲ.沖縄の姿、日本の姿

(沖縄タイムス)
(1)年の瀬の那覇空港。リュックサックを背負った子どもたちの表情は晴れやかだ。帰省した家族連れを出迎えるおじいちゃん、おばあちゃん。暖かい沖縄で正月を過ごそうと観光客の姿も目立つ。航空便はほぼ満席である。クルーズ船に乗って近隣諸国・地域からも多くの観光客がやってきた。沖縄観光は国内外ともに絶好調で、県経済をけん引している。空港での風景は平和そのものである。しかし、沖縄にはもう一つの顔がある。華やかな観光の裏にあるのは、戦争準備としか思えないような米軍の激しい訓練と、県民の日常生活が脅かされている現実だ。
(2)沖縄学の父と呼ばれた伊波普猷は、絶筆となった「沖縄歴史物語」(1947年7月9日)で、「どんな政治の下に生活した時、沖縄人は幸福になれるか」と自問し、こう答えている。「帝国主義が終りを告げる時、沖縄人は『にが世』から開放されて、『あま世』を楽しみ十分にその個性を生かして、世界の文化に貢献することが出来る」。
 伊波の予言めいた言葉は逆の意味で的中してしまった。大国主義が台頭する東アジアは、不安定さを増すばかり。北朝鮮のミサイル・核開発、中国の海洋進出に対抗し、日本も防衛力強化の動きが顕著だ。2018年度予算案の防衛関係費は5兆円を超え、過去最大である。ミサイル防衛のための地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」、空自の戦闘機に搭載する長距離巡航ミサイルは北朝鮮のミサイル発射基地をたたく「敵基地攻撃能力」につながる。
(3)「専守防衛」という安全保障政策の基本方針が揺らいでいるのである。一方で、生活保護費は基準が見直され、最大5%の減額となる。今でもぎりぎりの生活を強いられている生活保護世帯にさらに追い打ちをかける。憲法25条がうたう「健康で文化的な最低限度の生活」が脅かされる事態だ。
(4)沖縄では辺野古新基地建設が進み、高江のヘリパッドが完成した。当初予算を大幅に超えたのは、建設に抗議する市民らを封じ込めるための警備費が増大したためである。南西諸島では自衛隊配備計画が着々と進む。日米一体の軍事要塞(ようさい)化に伴う沖縄の負担は計り知れない。


(琉球新報)
(1)今年は名護市長選、県知事選が実施される。名護市辺野古の新基地建設の是非が主要な争点になる。米軍普天間飛行場の危険性の除去を口実に、日本政府は辺野古に新基地建設を強行している。だが、昨年10月の衆院選は1~3区で新基地建設反対の候補が当選した。2016年の参院選沖縄選挙区、14年の名護市長選、知事選、衆院選も反対が明確に示された。再び民意が問われる。
(2)72年、沖縄は平和憲法の下に復帰した。しかし、米軍による事件事故、新基地建設強行にみられるように、今でも平和主義や基本的人権の尊重など憲法の基本理念がないがしろにされている。国会で改憲勢力が3分の2を占める中、今年は憲法改正が国民的な議論となるだろう。


 さて、琉球新報は、「新年を迎えた。2018年の沖縄は、自己決定権が試される年になるだろう。」、と2018年を予想する。このことは、沖縄だけの問題だけではなく、日本の岐路であるという意味で、日本にとって問われているのである。
それは、「72年、沖縄は平和憲法の下に復帰した。しかし、米軍による事件事故、新基地建設強行にみられるように、今でも平和主義や基本的人権の尊重など憲法の基本理念がないがしろにされている。国会で改憲勢力が3分の2を占める中、今年は憲法改正が国民的な議論となるだろう。」、との琉球新報の指摘通りであるからである。
まさしく、2018年は、「困難な時代の新年に当たって『政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないようにする』(憲法前文)ことを改めて決意したい。」、との沖縄タイムスの決意を、日本人一人一人が求められる時代になる。




by asyagi-df-2014 | 2018-01-04 07:17 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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