沖縄タイムスが伝える【もう飛ばないで 米軍ヘリ落下物】④⑤⑥。

 沖縄タイムスは、【もう飛ばないで 米軍ヘリ落下物】の連載を2017年12月15日から始めた。
沖縄タイムスは15日の連載の始めに、「13日、宜野湾市の普天間第二小学校に米軍CH53E大型ヘリの窓が落下した。緊急着陸、墜落、炎上…。米軍機関連の事故が頻発する危機的状況を考える。」、とその意図を明確にしている。
 
 どうして、「もう飛ばないで」なのか。
 やはり、じっくり話を聞こう。


Ⅰ.異例の抗議 議会中断、宜野湾全市議が行動【もう飛ばないで 米軍ヘリ落下物・4】-2017年12月19日 12:00


(1)「13日午前11時35分ごろ、保護者や報道陣らで騒然とする普天間第二小学校に宜野湾市のバス1台が横付けされた。降りてきたのは、宜野湾市議約20人。開催中だった12月定例会一般質問を議長の権限で急きょ休会にし、全員で駆け付けた。足早に正門へと急ぎ、一様に険しい表情の議員たち。学校関係者に案内されるまで、窓が落ちた100メートルほど先の運動場をじっと見据えていた。」
(2)「体育の授業中に校庭に重さ7・7キロの窓が落ちた今回の事故。『受けた衝撃はあの時と同じ。大惨事だ』。同日午後に市役所で沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長と外務省沖縄事務所の川田司大使に向き合った上地安之副議長は、2004年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故と重ねて強い憤りを表した。」
(3)「7日には市野嵩の緑ヶ丘保育園で落下事故があったばかり。大城政利議長は『許せない。しっかり取り組まないと子どもの安全な教育環境が守れない』と憤った。市民に広がる不安と怒りを背景に市議会の動きは早く、議会日程の変更を含め異例ずくめだった。」
(4)「事故翌日の14日に基地関係特別委員会が抗議決議案の提案を決め、15日に本会議を開き全会一致で可決した。その日のうちに行った日米関係機関への抗議要請に参加したのは25人の市議全員。沖国大ヘリ墜落時以来13年ぶりのことだ。宜野湾市議会だけではない。18日までに抗議決議可決は少なくとも12市町村議会に広がった。CH53Eヘリは米軍普天間飛行場所属だが、飛行は宜野湾市に限らない。安全であるべき学校で命が脅かされたことと、相次ぐ落下事故への危機感はほかの自治体も同じ。中城と北中城の両村議会は、飛行ルートに村内が含まれることを挙げ、それぞれ『全ての米軍機の飛行停止』と『住宅地上空での飛行訓練禁止』を求めた。」
(5)「嘉手納町議会も当事者としての怒りを表した。CH53Eはたびたび嘉手納基地に飛来し、住宅地上空を低空で飛ぶ。町民が巻き添えに遭う危険を挙げ、同基地への飛来禁止と住宅地上空の飛行禁止を要求。『普天間基地の一日も早い閉鎖・返還と5年以内の運用停止の実現』を盛り込んだ。」
(6)「基地対策特別委員会の當山均委員長によると嘉手納基地以外の基地の閉鎖に言及するのは初とみられる。『町民にとって人ごとではない』と語気を強めた。」      (中部報道部・勝浦大輔、下地由実子、溝井洋輔)


Ⅱ.「想定外の早さ」沖縄県警、異例の基地内調査の舞台裏【もう飛ばないで 米軍ヘリ落下物・5】-2017年12月20日 19:05


(1)「『24時間たたずに回答がきた。想定外の早さだ』。CH53E大型輸送ヘリの窓が普天間第二小学校に落下した事故から一夜明けた14日午前。沖縄県警は普天間飛行場内で異例の基地内調査を実施した。調査への協力要請への米軍の返答は事故当日の13日にあり、県警幹部は驚きを隠さなかった。舞台裏には、事態を重くみた日本政府から米側への働き掛けもあった。昨年末、普天間所属のオスプレイが名護市の海岸に墜落。今年10月には東村高江に不時着したCH53Eが炎上し、今月7日にはCH53Eの部品が宜野湾市内の保育園に落下したとみられる事案も発生した。米軍機事故が立て続けに起こり、今回は窓の落下地点と児童の距離がわずか十数メートルという『人命を脅かす重大な事案』(県警幹部)。一部報道機関のカメラに落下の一部始終が映るなど米軍の関与も明らかで、別の県警幹部は『調査協力を得られるよう、外務省や官邸も今まで以上に米側に働き掛けた』と明かす。」
(2)「県警は搭乗員への事情聴取も求めているが、米軍からの回答はないという。業務上過失致傷や航空法違反容疑を視野に入れた調査を進めるが、鍵となる聴取ができなければ立件は困難を極める。運動場にいた4年男児は落下による風圧で飛んできた物が当たり痛みを訴えていた。だが目立ったけがはなく、捜査関係者は『窓落下と物が当たったことの因果関係を立証するのは難しい』と漏らす。」
(3)「航空機から物の投下を禁じる航空法第89条は故意を前提とするほか、日米地位協定に伴う『航空法特例法』で米軍機は89条の対象外。容疑が固まらず、令状による捜査もできない現状に県警幹部は『他に当てはまるものが見当たらない』と頭を抱える。」
(4)「9月、オランダ航空機のパネルが落下し、大阪市内の国道を走っていた車に直撃。茨城県の会社敷地内では全日空機から脱落したパネルが見つかった。航空機事故に詳しい東海大学の池田良彦客員教授は部品落下事故について「法律の新設や法解釈の変更は難しいが、それらを含めた多角的な議論をする必要はある」と指摘する。」
(5)「窓落下が公務中の事故と判断されれば、第1次裁判権は米側にある。池田教授は『国内法で裁けない可能性がある以上、政治的決着が合理的道筋。たまたま人身被害がなかっただけ。政府は危険性除去を最優先に対応する必要がある』と強調した。」 
(社会部・新垣卓也、嘉良謙太朗)


Ⅲ.「約束守ったことない」日米合意に不信感【もう飛ばないで 米軍ヘリ落下物・6】-2017年12月21日 14:06


(1)「『学校の上を飛ばないと米軍は言うが、口では何とでも言える。彼らは約束を守ったことがない』。CH53ヘリが飛行を再開した19日の午後4時すぎ、落下物の恐怖を味わった宜野湾市野嵩の緑ヶ丘保育園。6歳の娘と3歳の息子を迎えにきた父親(34)は、子どもと手をつなぎ、淡々とした口調にやるせなさをにじませた。」
(2)「同じころ普天間第二小から約300メートル離れた市新城の住宅地。60代男性は『米軍にはウチナーンチュの気持ちが伝わっていない』と吐き捨てるように語った。」
(3)「米軍は学校の上を『最大限飛ばない』と言い、日本政府は容認した。しかし基地周辺に住む人で、その“口約束”を信じる人は少ない。ルールを守らない運用を肌で感じているからだ。」
(4)「沖縄国際大学へのヘリ墜落後の2007年合意で飛行経路から外れたはずの普天間第二小と緑ヶ丘保育園に落下物があった今回の事故。ルールが破られていることをはからずも証明した。12年にオスプレイが配備される前『住宅密集地は極力飛ばない』と合意された。だが『極力』との逃げ言葉を盾に住宅地上空の飛行は常態化する。なぜ米軍の合意違反がまかり通るのか。前泊博盛沖国大教授は合意の趣旨をねじ曲げる『逃げ言葉』の問題点を挙げる。配備後に合意違反と指摘されると『可能な限り』に変わった。前泊教授は『合意違反の飛行を正当化するための布石、追及をかわすための曖昧な逃げ言葉で、今回の発言とも重なる』と指摘。『合意違反に対する毅然(きぜん)とした抗議姿勢、罰則規定がない限り再発防止はできない』と強調した。」
(5)「午後10時〜翌朝6時まで米軍機の飛行が制限されるはずの1996年の日米合意は骨抜きにされている。嘉手納基地の滑走路延長線上にある、うるま市栄野比。兼島兼俊さん(73)は午前0時〜午前6時の爆音を記録する。爆音訴訟で司法が違法認定しても日米合意があっても増すばかりの被害を告発するためだ。今年3月にたたき起こされたのは30回。午前3時台の20分間に3回続いた日もあった。兼島さんは『これでどうやったら眠れるのか。米軍が言う『最大限飛ばない』はうそっぱちとしか言えない』。自らの睡眠を削りながらも記録を続け、不条理が続く現状を多くの県民に知ってほしいと願う。」(中部報道部・比嘉太一、溝井洋輔、大城志織、社会部・松田麗香)



 どうして、「もう飛ばないで」、と言わなければならないのか。
 気づかされることは、「日米地位協定に伴う『航空法特例法』で米軍機は89条の対象外」というやりきれない壁が、常に沖縄側からは見えていることだ。
 そして、この言葉は、日本人がどれぐらいこのことについて自覚しているのか、ということへの「異論」でもあるのだ。
 果たして、「目下の同盟」を必死に守ろうとする日本政府は、「窓落下が公務中の事故と判断されれば、第1次裁判権は米側にある。池田教授は『国内法で裁けない可能性がある以上、政治的決着が合理的道筋。たまたま人身被害がなかっただけ。政府は危険性除去を最優先に対応する必要がある』」、ということに気づくのか。
 実は、『学校の上を飛ばないと米軍は言うが、口では何とでも言える。彼らは約束を守ったことがない』『米軍にはウチナーンチュの気持ちが伝わっていない』、という言葉が、「目下の同盟」を必死に守ろうとする日本政府を試している。
 何故なら、「目下の同盟」を必死に守ろうとする日本政府自身が、これまでも、『最大限飛ばない』が『可能な限り』にしか意味がないようにしてきたのだから。




by asyagi-df-2014 | 2018-01-09 07:28 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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