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広島高等裁判所の四国電力伊方原子力発電所3号機の運転差止を命じる仮処分を決定を考える。(3)

 広島高等裁判所は、2017年12月13日、四国電力伊方原子力発電所3号機の運転差止を命じる仮処分を決定した。
 このことに関して、大分合同新聞は2017年12月14日、「伊方原発運転禁止 重い、高裁判断」、と論説で評した。
この「論説」を基に考える。
大分合同新聞は、次のように押さえる。


(1)「四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを、広島市などの住民4人が求めた仮処分申請の即時抗告審で、広島高裁は13日、認める決定をした。これまで、地裁段階の原発運転差し止め判決を高裁がひっくり返したことはあったが、逆のケースは初めて。」
(2)「広島高裁の決定は、火山活動を最大の理由にしている。阿蘇カルデラは伊方原発から約130キロの位置にあり、約9万年前に大爆発を起こしている。『この際、火砕流が伊方原発に到達する可能性が十分小さいことを四国電力は評価できていない』と指摘している。」
(3)「伊方原発は1973年、1号機の設置許可取り消しが提訴され、日本で初の原発裁判となった。当初、原発に関する知識、情報はほとんど被告国側が握っており、原告住民側とは決定的な差があるとみられていた。しかし、原発の安全性に疑問を持つ、学者や弁護士などの支援で数々の問題点が明るみに出た。約20年後の92年、最高裁が上告を棄却し、住民側の敗訴が確定した。後に続いた原発訴訟も、最高裁判決が裁判官の判断のよりどころとなり、大半が住民側敗訴となった。」
(4)「この流れが福島第1原発事故(2011年)を食い止められなかったといえる。三権分立の意義を失い、司法の存在意義が問われた。」
(5)「3月末、広島地裁の裁判長は、全国で原発の差し止めを求める仮処分が申請されていることから、『同じ原発なのに、違う判断が出るのは望ましくない』と見解を提示。新基準の合理性を認めた九州電力川内原発(鹿児島県)1、2号機を巡る福岡高裁宮崎支部決定を踏襲した。この判断が続くと思われていただけに、広島高裁の判断は原発裁判史上画期的だ。伊方原発1号機に対する提訴から、44年後に初めて伊方周辺住民側の主張が認められたことになる。」
(6)「このほか、基準地震動も争点になった。四国電力は最大650ガルと設定。これに対し、住民側は『基準地震動は過小だ』と訴えた。伊方原発は南海トラフ地震の震源域上に位置し、『中央構造線断層帯』が近いなど特別なリスクがあると強調した。全国の原発の中で、浜岡(静岡県)、伊方両原発は特に危険視されていた。『申請時には活断層の研究があまり進んでいなかった。安全審査をやり直したら、こんなに中央構造線に近い場所に原発を建設できなかった』との指摘もある。しかも中央構造線断層帯が、大分県内陸部の別府―万年山(はねやま)断層帯まで続いているとする調査結果を政府の地震調査研究推進本部がまとめたことがわかった。活断層が長いほど、大きな地震を起こすと考える地震学者もいる。」
(7)「被爆地広島での高裁決定とあって、訴えるものは大きい。しかも、伊方原発以外の各原発も爆発の影響を受ける恐れのある範囲内の火山をそれぞれ抱えている。広島高裁は運転禁止期間を来年9月30日までとした。住民側はこの時まで伊方原発の運転差し止めを求める裁判が終わっていない場合、改めて差し止め処分の申請をする方針。」
(8)「大分地裁での仮処分審理は、広島高裁の決定を待って、日程を遅らせており、影響するのは必至である。」


 確かに、広島高裁が判断した「火山のリスク」に加えて、大分合同新聞が指摘する「住民側は『基準地震動は過小だ』と訴えた。伊方原発は南海トラフ地震の震源域上に位置し、『中央構造線断層帯』が近いなど特別なリスク」が、大分地裁での今後の裁判闘争の大きな課題となる。




by asyagi-df-2014 | 2017-12-27 07:22 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人