広島高等裁判所の四国電力伊方原子力発電所3号機の運転差止を命じる仮処分を決定を考える。(1)
2017年 12月 24日
広島高等裁判所は、2017年12月13日、四国電力伊方原子力発電所3号機の運転差止を命じる仮処分を決定した。
このことに関して、NPO法人原子力資料情報室は2017年12月13日、「伊方原子力発電所は危険である-伊方原発3号機、広島高裁運転差止仮処分決定について-」との「声明」を発表した。
この「声明」は、まず、「私たち原子力資料情報室はこの決定を歓迎し、伊方原子力発電所の危険性を訴えて闘った原告団、弁護団、そしてその運動を支えた広島の市民の皆さんに敬意を表します。」、とする。
この上で、この仮処分について、次のように分析する。
(1)「伊方原子力発電所のおよそ100km圏内(広島市、松山市)の住民は、被爆地ヒロシマが再び被ばくすることを恐れ、原発の具体的危険性や新規制基準の合理性を問う闘いとして広島地方裁判所に運転差止の仮処分を申請した。しかし広島地裁は申立を却下したため、住民側が抗告したものである。」
(2)「広島高裁の決定は、運転差止の期間を平成30年9月30日までとしている。」
(3)「特に火山事象の影響による危険性について、伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理としている。」
(4)「一方で、新規制基準は合理的であり、伊方原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断も合理的と認めている。その上で、本仮処分が証拠調べの手続きに制約があるということから、現在係争中の広島地方裁判所の訴訟に判断を委ねて期限を付している。仮処分についてのこのような対応は、市民に理解されにくいのではないだろうか。」(5)「決定にあるように、住民らの生命身体に具体的危険の存在が事実上推定されるならば、伊方原子力発電所の危険性に、期限などないことは自明である。」
NPO法人原子力資料情報室は、「声明」の最後で、「私たち原子力資料情報室は、広島の市民をはじめ四国、九州、中国地方の多くの市民とともに、今後も伊方原子力発電所の危険性を広く世論に訴えていく、また、広島地方裁判所での本訴ではより明解な判決が出ることを期待する。」、とまとめる。
この広島高裁の運転差止仮処分決定について、今後の課題となることもあるが、最近の情勢の中での運転差止をまずは喜びたい。