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社説、論説から。~東京新聞20171129~

 東京新聞は、017年11月29日、「悪質クレーム 人の不寛容が気になる」、と社説で論評した。
 どういうことなのか。
 労働組合「UAゼンセン」が、百貨店やスーパーマーケットなどで働く組合員を対象に実施したアンケートにでてくる実例である。
 それは、次の実態である。
 ①「商品の返品時に『おまえはバカか』などと暴言」
 ②「総菜の価格確認に行こうとしたら『待たせるな』と三時間、従業員を拘束」
 ③「不良商品の返金の際、土下座で謝罪を要求」
 東京新聞は、このことについて、「立場の弱い者へのストレスのはけ口にも見える。人への不寛容が社会の中に広がっていないか。」、と指摘するのである。
東京新聞は、このアンケートやその他の実態について、次のように伝える。


(1)「74%が被害に遭ったことがあると回答している。複数回答による被害内容で多かったのは暴言だ。それ以外にも説教、脅迫、長時間拘束、セクハラ、金品の要求、土下座の強要まであった。」
(2)「約五万人が回答し、うち三百五十九人は迷惑行為で精神疾患にかかったという。商品や対応に問題がなくてもクレームをつけたり、少しのミスに過剰な謝罪を求めることが現場を疲弊させている。UAゼンセンがその対応策をまとめたガイドラインでは、クレームの特徴に高学歴、高所得だったり、社会への不満を持つ人が多いのではないかと分析している。」
(3)「鉄道会社の駅員への暴力行為も以前から問題になっている。国土交通省によると二〇一五年度の発生件数は八百七十三件で、一二年度から件数はほぼ横ばい状態だ。加害者の約六割が飲酒していた。」


 東京新聞は、こうした日本現状を、「もちろん商品やサービスに不備や要望があれば、それを客が企業に伝えることは当然である。企業も、クレームは商品・サービスを向上させるための有益な情報であるとの認識は前提だ。ただ、こうした迷惑な行為に共通するのは、自分より立場の弱い人たちに不満の矛先を向けていることだ。日常のストレスを発散しているのだろうか。格差拡大などの社会問題が背景にあるようにも見える。現場の従業員が安心して働けない深刻な事態ならば、既に企業に対応を義務付けているセクハラ対策のように働く人を守る手だてを取ることも必要だろう。」、と指摘する。
 また、「東日本大震災などの災害時に、深刻な被害に遭いながら助け合う被災者たちの姿は海外からも称賛された。弱い者いじめにも見える行為の広がりは、社会からこの力を削(そ)ぐことになりはしないか。」、とも。 


 まさしく、日本は「不寛容」の時代であると言える。
 東京新聞は現状について、「迷惑な行為に共通するのは、自分より立場の弱い人たちに不満の矛先を向けていることだ。日常のストレスを発散しているのだろうか。格差拡大などの社会問題が背景にあるようにも見える。」と指摘するのだが、そこにあるのは、自らの現状への不満を、差別という行為や表現で「不寛容」を装い、他者を一方的に貶めることによって自己救済を求めるしかないという日本という国の現状「構造」そのものではないのか。
ではどうすれば。
 まずは、日本国憲法が謳う基本的人権そのものを捉え直すということではないか。




by asyagi-df-2014 | 2017-12-11 08:41 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人