社説、論説から。~琉球新報・沖縄タイムス20171115~

 沖縄タイムスは、沖縄が辺野古新基地建設の新局面を迎えたについて、「前日の13日に国頭村・奥港でダンプカー約50台分の石材を積み込んだ台船が、大浦湾北側の『K9』と呼ばれる埋め立て護岸に接岸し、石材が荷揚げされた。」、と伝える。
2017年11月15日日付けの沖縄の二紙の社説を通して、このことを考える。


Ⅰ.沖縄タイムス社説(「[辺野古石材 海上搬入]工事停止し協議進めよ」2017年11月15日 )から


 沖縄タイムスはまず、このことについて、「公有水面の埋め立てを巡って、免許権者である県知事の意向がこれほど無視され、強引に工事が進められてきた事例が過去にあっただろうか。」、と指摘する。
 また、「防衛局は従来通り、キャンプ・シュワブゲートからも資材搬入を進めており、今後、陸路と海路の両方から資材を運び入れる考えだ。埋め立て工事を一気に加速させる狙いがある。」、と分析する。
 さらに、沖縄タイムスは次のように押さえる。


 
(1)「県は、海上搬入のため『K9』護岸を使って石材を海上搬入することは環境保全図書の中では予測されていないと指摘し、協議がまとまるまで海上搬入をしないよう防衛局を行政指導していた。」
(2)「だが、防衛局は『護岸自体の設計内容を変更するものではない』と、県の指導に応じていない。なぜ、これほどまでして工事を急ぐのか。埋め立てを既成事実化することによって県民の中に『もう引き返せない』という意識を植え付け、『辺野古はもう済んだこと』だという主張を掲げて来年の名護市長選、県知事選を有利に進める-というのが政府の狙いである。」


 したがって、沖縄タイムスは、政府に向けて「国と県の考えに隔たりがある以上、工事を停止し、話し合い協議を進めるのがまっとうな道である。強硬一点張りで基地を押しつけるようなことがあってはならない。」、と指摘する。
 一方で、沖縄タイムスは、今回の件にかかる沖縄県側の問題点について、こう続ける。


(1)「沖縄防衛局は、海からの資材搬入のため、奥港だけでなく本部港や中城湾港も利用する考えだ。」
(2)「奥港の使用を許可したのは実は県である。「辺野古阻止を主張しながら、海上搬入のための港の使用を認めたのはなぜか」-抗議行動を展開してきた市民の中には、県の判断に対する疑問と不信感が広がっている。港使用を許可しなかった場合、『裁判を起こされたときに県は負ける』というのが県の言い分だ。それで反対派住民が納得するだろうか。」
(3)「使用許可は『港湾施設使用許可にかかる審査基準』に照らして妥当な判断だったのか、県は県議会与党や反対行動を担ってきた市民団体に丁寧に説明する必要がある。最高裁判決に基づいて埋め立て承認取り消しを取り消したときもそうだったが、重要な決定を下す際の事前調整や県民への説明が不十分だ。」


 実は、沖縄タイムスは、沖縄がかってないほどの状況に追い込まれていることについて、「嘉手納基地に暫定配備された最新鋭ステルス戦闘機F35Aによる爆音禍で嘉手納町議会は14日、米空軍や外務省沖縄事務所などを訪ね窮状を訴えた。爆音禍は尋常でない。この日、伊江島補助飛行場では強襲揚陸艦の甲板に摸した着陸帯の舗装作業が始まった。完成すれば海兵隊のF35Bとオスプレイの訓練が活発化するだろう。」、と報告している。
 沖縄タイムスは、最後に、こうした状況を克服するために、次のように提起する。


 「負担軽減とは真逆の、機能強化のための動きが一斉に表面化しているのだ。時機を失することなく、日米合意の見直しを求める新たなうねりをつくり出す必要がある。」


Ⅱ.琉球新報社説(「新基地石材海上搬入埋め立て承認撤回の時だ」2017年11月15日 )から


 琉球新報は、まず最初に、このことが、「かけがえのない自然環境の破壊に続く暴挙である。住民生活の破壊をもいとわない国に強く抗議する。」であると表明する。
 琉球新報は、静穏な生活を壊すものとして、今回のことについて次のように抗議する。


(1)「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う新基地建設工事で、沖縄防衛局は石材の海上搬入を開始した。積み出し港がある国頭村奥では砕石を積んだ多くの大型トラックが行き交った。189人が暮らす奥は4割が高齢者。普段は車の往来も少ない静かな集落である。大型トラックが頻繁に走れば、住民生活に多大な影響が出ることは目に見えている。」
(2)「実際、88歳の住民はこれまでミカン畑に行く際、軽トラックでゆっくり走っていたというが『ダンプカーが通るから、もう危なくて畑も行けない』と話している。85歳の住民は大型トラックの多さを挙げて『家を出るなということか。年寄りは死ねということか』と目に涙をためて憤っている。」
(3)「奥港はかつて陸上交通が不便だった国頭村の中で、住民生活に欠かせない海上交通の要だった。那覇や与那原、与論島などへ材木、まき、木炭などを運び、復路は日用雑貨や食料品、家畜が運ばれた。」


 だから、琉球新報は、政府に対して、「その生活の港が、住民を犠牲にして新基地建設のための石材積み込みに使われることは断じて認められない。」、と断ずるのである。
さらに、琉球新報はこの問題の核心について次のように指摘する。


(1)「憲法25条は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』とし、国にその実現を求めている。13条で保障された幸福追求権は『公共の福祉に反しない限り、最大の尊重を必要とする』と明記されている。沖縄だけに過重な基地負担を押し付けることは、明らかな差別である。抑止力どころか、米軍基地が存在していることで、沖縄は北朝鮮ミサイルの標的にされているのである。新基地を含め、在沖米軍基地が『公共の福祉』であるはずがない。」
(2)「懸念されるのは、石材の海上運搬を目的とした奥港の岸壁使用を許可した翁長雄志知事への批判がくすぶっていることである。県は『法律に基づいて判断すると、不許可にできる理由がなかった』としている。つまり、公約に反することにつながることであっても、行政は法律に従う以外にないということだ。県が恣意(しい)的に法律を解釈するようなことがあれば、岩礁破砕許可が切れたにもかかわらず『許可申請は必要ない』と強弁する国を批判することはできない。知事に対する批判が高まれば、国の強硬姿勢を勢いづかせることにもなりかねない。」
(3)「一方で、知事は新基地建設を阻止するためにも埋め立て承認の撤回を急ぐ必要がある。知事は8月の県民大会で『県の再三の要請にも行政指導にも応じず、工事を強硬に推し進める状況は、必ず埋め立て承認撤回につながっていく。撤回の時期を私の責任で決断する』と述べていた。決断する時期は既に来ている。埋め立て承認撤回の時だ。」


Ⅲ.沖縄の二紙を通して、


 沖縄が、辺野古新基地建設の新局面を迎えたとされる事態を受けて、二紙に共通する視点は、例えば、沖縄タイムスの「奥港の使用を許可したのは実は県である。『辺野古阻止を主張しながら、海上搬入のための港の使用を認めたのはなぜか』-抗議行動を展開してきた市民の中には、県の判断に対する疑問と不信感が広がっている。」が示す、沖縄県への不信感の広がりということである。それは、「それぞれが用いる方法は違っていてもも、目的で並ぶ」、という闘いのあり方に、かってないほどのほころびが生まれるのではないかという危惧感である。
 一方で、「辺野古が唯一の選択」として力任せに突き進む安倍晋三政権のあり方に対しては、「公有水面の埋め立てを巡って、免許権者である県知事の意向がこれほど無視され、強引に工事が進められてきた事例が過去にあっただろうか。」(沖縄タイムス)、「かけがえのない自然環境の破壊に続く暴挙である。住民生活の破壊をもいとわない国に強く抗議する。」(琉球新報)、と共通して強く批判する。
 琉球新報の「憲法25条は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』とし、国にその実現を求めている。13条で保障された幸福追求権は『公共の福祉に反しない限り、最大の尊重を必要とする』と明記されている。沖縄だけに過重な基地負担を押し付けることは、明らかな差別である。抑止力どころか、米軍基地が存在していることで、沖縄は北朝鮮ミサイルの標的にされているのである。新基地を含め、在沖米軍基地が『公共の福祉』であるはずがない。」との指摘は、まさしく正鵠を得ている。


 さて、状況は認識できた。
 それでは、問題は、このような状況をどのように克服していくのか、ということになる。
 沖縄タイムスは、「負担軽減とは真逆の、機能強化のための動きが一斉に表面化しているのだ。時機を失することなく、日米合意の見直しを求める新たなうねりをつくり出す必要がある。」、と提起する。
 琉球新報は、「知事は新基地建設を阻止するためにも埋め立て承認の撤回を急ぐ必要がある。知事は8月の県民大会で『県の再三の要請にも行政指導にも応じず、工事を強硬に推し進める状況は、必ず埋め立て承認撤回につながっていく。撤回の時期を私の責任で決断する』と述べていた。決断する時期は既に来ている。埋め立て承認撤回の時だ。」、と提起する。
 沖縄タイムスの「日米合意の見直しを求める新たなうねり」が、何を指すものであるかは定かではないが、どうやら、沖縄は「埋め立て承認撤回の時」を迎えているのではないか。




by asyagi-df-2014 | 2017-11-24 09:28 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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