社説、論説から。~秋田魁新報20171028~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。




 秋田魁新報は2017年10月28日、「今冬のクマ猟解禁 生息数の把握急ぎたい」、とその社説で論評した。
中山間地での生活を営むものとして、猪や鹿の害獣被害に臨んでいる者としては、クマの問題は、より深刻に捉えざるを得ない問題である。
 秋田魁新報は、この問題の経過を次のように説明する。


(1)「相次ぐ人里へのクマ出没で、県内では今年、ツキノワグマの有害駆除が頻繁に行われ、既に県が設定する年間の上限捕殺数(122頭)を大幅に上回っている。そんな中、県は今冬の狩猟解禁(11月15日~2月15日)を決めた。狩猟の上限は58頭。クマの生息域が人間の生活圏に広がっている上、生息が確認されていなかった地域で目撃が相次いでいることなどを受けた対応だ。」
(2)「県はこれまで生態系に配慮し、捕殺数が推定生息数の1割を上回った場合、県猟友会に猟の自粛を求めてきた。県内で今年に入って捕殺されたクマは9月末時点で過去最多の533頭に上り、県が推定する生息数1013頭(4月時点)の半数以上を占める。狩猟解禁の基準は到底満たされておらず、県外の自然保護団体からは、有害駆除とともに冬季のクマ猟の中止を求める要望書が県に提出されている。」


 問題は、秋田県がツキノワグマの有害駆除として今冬の狩猟解禁(11月15日~2月15日)を決めた、ということであった。
 秋田魁新報は、この狩猟解禁の問題点について、次のように把握する。


(1)「確かに現在の推定生息数に対する捕殺数からすれば、捕殺が過剰ではないかという見方にも一理ある。一方、県は狩猟解禁の基となる推定生息数が、実際の生息数と大きく乖離(かいり)している可能性が高いとみる。」
(2)県が狩猟解禁理由に挙げるのは、まず目撃数が今年に入ってから1233件(県警調べ、26日現在)に上り、過去最多を更新していることだ。加えて▽市街地や公園、学校などの周辺での出没が増え、県民生活に支障が生じている▽捕獲実績や目撃情報などから生息域は現行の県管理計画の1・5倍に拡大していると推定される▽農作物被害は果樹を中心に約3割増加している―ことなどを挙げる。」
(3)「ただ、推定生息数はあくまで『推定』の域である。センサーカメラを使った新たな手法による生息数把握の取り組みは始まったばかり。把握は容易ではないだろうが、捕殺自体への反対意見があることも踏まえ、県にはより実態に近い推定値の算出を急いでもらいたい。」
(3)「クマの出没増加は有害駆除の担い手不足という現実も浮き彫りにしている。県猟友会の会員はピークの1975年が約8千人だったのに対し、現在は約1500人まで減っている。高齢化も進み、60代以上の占める割合は7割に上る。現場の疲弊ぶりは深刻で、市町村から有害駆除の出動依頼が激増し悲鳴に近い声が上がっているという。狩猟を解禁しても、肝心の狩猟者が激減・高齢化しているというのは皮肉なことだ。」


 この上で、この問題について、秋田魁新報は、「重要なのは狩猟解禁に踏み切るという判断の背景を、県民がしっかり共有することではないだろうか。人里へのクマの出没は、里山の手入れができなくなったこと、集落の人影がまばらになったことの裏返しでもある。過疎化や山の荒廃の問題は、すぐには解決できないということを受け入れながら、関係者任せにせず今できることを戦略的に考えていきたい。」、と提起するのである。


 どうやら、このことについては、次のことが言えそうだ。


Ⅰ.やはり、「県は狩猟解禁の基となる推定生息数が、実際の生息数と大きく乖離(かいり)している可能性が高いとみる。」、という秋田県の根拠が正しいものかどうかの検証が必要である。
Ⅱ.「人里へのクマの出没は、里山の手入れができなくなったこと、集落の人影がまばらになったことの裏返しでもある。」、という日本社会の構造的問題は、該当地域は骨身にしみているのであるから、重要なのは、日本という国が政策としてこのことの解決策を打ち出すことができるのか、本当の意味で問われている。




by asyagi-df-2014 | 2017-11-06 09:09 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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