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沖縄の決意。2017年10月22日の選挙結果を振り返る。

 2017年10月22日、第48回衆議院選で、日本のこれからはどのように決定されたのか。
 確かに、暗澹たる気持ちは沸き起こる。
 しかし、沖縄の決意は、少なくとも、人の営みで変えられるものがあることを示していると言える。
 私たちが、護憲と唱えながら下を向いて「よかった」と言ってきたこれまでを、またも繰り返しているのではないかという忸怩たる思いを抱きながらではあるが。
 琉球新報と沖縄タイムスは、沖縄の「決意」について、2017年10月23日、社説として次のように伝えた。


(1)琉球新報


 琉球新報は、「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設を拒否する民意の根強さを改めて証明した。安倍政権が県民の意思を今後も踏みにじることは許されない。」、とこの選挙を総括する。
また、琉球新報は、この選挙結果の意味を次のように指摘する。


(1)「前回2014年の全勝には及ばなかったものの、1~3区で辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力が当選、当選確実とした。辺野古新基地を容認する自民党は1議席を獲得したが、3氏は選挙区で落選した。沖縄選挙区の最大の争点である辺野古新基地建設に反対する民意が上回ったことは、安倍政権の強硬姿勢に県民は決して屈しないとの決意の表れである。」
(2)国土面積の0・6%の沖縄に、在日米軍専用施設の70・38%が集中していることはどう考えても異常である。米軍基地を沖縄に押し込めることは、沖縄差別以外の何物でもない。国は迷惑施設の米軍基地の国内移設を打ち出せば、反対運動が起きると懸念しているにすぎない。それをあたかも普天間飛行場の返還には、辺野古新基地建設が唯一の解決策であるかのように偽装している。県民の多くはそれを見透かしている。」
(3)普天間飛行場の一日も早い返還には『辺野古移設が唯一の解決策』とする安倍政権への県民の怒りが選挙結果に表れたといえよう。」
(4)安倍政権が民主主義を重んじるならば、沖縄選挙区で自民党は1人しか当選できなかった現実を真摯(しんし)に受け止め、新基地建設を断念するのが筋である。それでも新基地を造るなら安倍首相はこの国のリーダーとして不適格だ。憲法25条は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と明記する。この権利を県民は享受できていない。米軍基地から派生する騒音被害や墜落事故、米軍人・軍属の事件事故が後を絶たないためだ。それを改善するのが国の務めであり、政治家の果たすべき役割である。だが、安倍政権は明らかに逆行している。」
(5)「国の移設計画は老朽化した普天間飛行場の代わりに米軍に最新鋭の基地を与えるものでしかない。米軍機は県内全域を飛行し、深夜・早朝にかかわらず訓練する。新基地建設は沖縄の負担強化につながるだけで、負担軽減になることは一切ない。」
(6)沖縄選挙区で自民党候補が当選したのは2012年衆院選以来、5年ぶりである。その時は3氏が当選したが、普天間飛行場の県外移設を求めていたことが大きい。」


 琉球新報の主張は、安倍晋三政権と沖縄の自民党候補に、厳しく向けられる。


①「沖縄にとって真の負担軽減とは何か。自民党は沖縄選挙区でなぜ苦戦を強いられているのか、安倍政権は自らに問う必要がある。」
②「自民党候補も沖縄の政治家としての在り方を考えるべきだ。沖縄の将来を見据えて党の政策を変えさせるのか、それとも党の方針に従うのか。政治姿勢が厳しく問われていることを自覚してほしい。」


(2)沖縄タイムス


 沖縄タイムスは、「第48回衆院選は22日、投開票された。希望の党の突然の旗揚げと失速、民進党の合流と分裂。振りかえってみればそれがすべてだった。今回ほど政治家と政党に対する不信感が広がった国政選挙はない。その責任は重大である。」、と総括する。
この上で、沖縄1区選挙区について、「前回2014年の衆院選に続く『オール沖縄』の勝利は、安倍政権の基地政策や強引な国会運営に対する批判にとどまらない。不公平な扱いに対する強烈な異義申し立てが広く県民の間に共有されていることを物語っている。とりわけ象徴的なのは、大票田の那覇市を抱える1区は、共産前職の赤嶺政賢氏(69)が接戦の末に自民、維新の前職らを制したことだ。共産党候補が小選挙区で当選したのは全国で沖縄1区だけである。翁長雄志知事のお膝元での勝利は知事の求心力を高めることになるだろう。」、と指摘する。
 沖縄タイムスは、沖縄選挙区を次のように概観する。


(1)「1区の選挙情勢は、赤嶺氏にとっては、マイナスの要素が多かった。高齢者に比べ若者には基地容認の傾向があること、保守層の中に根強い共産党アレルギーが存在すること、『オール沖縄』の一翼を担ってきた那覇市議会の新風会が割れたこと、などである。1月の宮古島市、2月の浦添市、4月のうるま市の市長選で『オール沖縄』系候補が立て続けに敗れたことも、退潮傾向を印象づけた。」
(2)「マイナスの要素を抱えながら、『オール沖縄』が1、2、3区の議席を死守することができたのはなぜか。普天間飛行場など多くの米軍基地を抱える2区では、社民前職のベテラン照屋寛徳氏(72)が早々と当選を決め、北部の演習場が集中する3区では、無所属前職の玉城デニー氏(58)が当確を決めた。いずれも危なげない勝利だった。」
(3)「名護市安部で起きたMV22オスプレイの大破事故と、東村高江で起きた米軍ヘリCH53Eの炎上事故は、いずれも民間地で発生した『クラスA』の重大事故だった。沖縄ではヘリ事故はどこでも起こりうる、という現実が浮き彫りにされたのである。」
(4)「安倍晋三首相は、北部訓練場の約半分の返還を負担軽減の大きな成果だと主張するが、住民の苦境を考慮しない一面的な見方である。訓練場の『不要な土地』を返還する条件として、東村高江の集落を取り囲むように、6カ所のヘリパッドが建設された。周辺住民からすれば基地被害の増大にほかならないのである。」


 また、沖縄タイムスは、安倍晋三政権への批判にとどまらず、沖縄の行政や政治家に向けて、次のように押さえる。


(1)「県議会は高江周辺のヘリパッドの使用禁止を全会一致で決議した。当選した議員は、県議会とも共同歩調を取って政府と米軍に働きかけてほしい。大事なことは、選挙公約を選挙の時だけの話に終わらせないこと、選挙で公約したことを軽々に破らないことだ。」
(2)「台風21号の影響で一部離島から投票箱を開票所まで移送することができなくなり、うるま市、南城市、座間味村の3市村は開票作業を23日に持ち越した。異例の事態である。公職選挙法第65条は『開票は、すべての投票箱の送致を受けた日、またはその翌日に行う』と規定している。うるま市の津堅島、南城市の久高島、座間味村の阿嘉島と慶留間島で投票箱の移送が不可能になったことから、これら3市村の開票作業が翌日に延びたというわけだ。4区は無所属前職の仲里利信氏(80)と自民前職の西銘恒三郎氏(63)が激しく争っている。大票田の南城市の開票作業が翌日に延びたため、午前零時半になっても当落の判定ができない、という事態が生じてしまった。台風への対応が適切だったかどうか、県選挙管理委員会をまじえて早急に対応を検証し、台風マニュアルを整備してもらいたい。」


 確かに、改めて、次の視点を確認する。


Ⅰ.「憲法25条は『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と明記する。この権利を県民は享受できていない。米軍基地から派生する騒音被害や墜落事故、米軍人・軍属の事件事故が後を絶たないためだ。それを改善するのが国の務めであり、政治家の果たすべき役割である。だが、安倍政権は明らかに逆行している。」(琉球新報)
Ⅱ.「安倍晋三首相は、北部訓練場の約半分の返還を負担軽減の大きな成果だと主張するが、住民の苦境を考慮しない一面的な見方である。訓練場の『不要な土地』を返還する条件として、東村高江の集落を取り囲むように、6カ所のヘリパッドが建設された。周辺住民からすれば基地被害の増大にほかならないのである。」(沖縄タイムス)




by asyagi-df-2014 | 2017-10-24 06:34 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人