米軍普天間飛行場所属のCH53大型ヘリが東村高江で炎上大破。-琉球新報及び沖縄タイムスの社説から-

 表題について、琉球新報及び沖縄タイムスは、「江米軍ヘリ炎上 海兵隊の撤退求める」、
「[米軍ヘリ炎上大破]政府は飛行停止求めよ」、とそれぞれ社説で論評した。
 この二社の社説から、大事なものを受け取る。
まず最初に、琉球新報。
琉球新報は、今回の事故を受けて、「米軍普天間飛行場所属のCH53大型輸送ヘリコプターが東村の県道70号沿いの民間地に不時着し、炎上した。最も近い住宅から200メートルしか離れていない。一歩間違ったら大惨事になっていた。事故を起こしたヘリと同型機は、2004年に宜野湾市の沖縄国際大学に墜落している。昨年12月に名護市安部で発生した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落から1年もたたない。」、とした上で、次の三点を要求する。


Ⅰ.「事故原因が究明されるまでの事故機と同型機の飛行中止を求める。」
Ⅱ.「同時に海兵隊機が使用する名護市辺野古の新基地建設断念と米軍北部訓練場に整備された六つのヘリパッドの使用禁止」
Ⅲ.「県民の命と財産に脅威となり続ける在沖米海兵隊の撤退を強く求める。」


 当然ながら、あわせて、「今回の衆院選は辺野古新基地過重負担が主要な争点になる。有権者はしっかり判断してほしい。」、と日本という国に投げかける。


 なぜこの結論にたどり着くのか。
 10月11日の報道ステ-ションでの安倍晋三首相のなぜか得意げな言い訳-安倍政権下がはじめて沖北部訓練場の返還を成し遂げた-に対して明確に反論するものでもある。
 琉球新報は、次のように説明する。


(1)CH53ヘリが炎上した現場は北部訓練場近くの牧草だ。日米両政府は、北部訓練場の過半を返還する条件として、東村高江集落を取り囲むように6カ所のヘリパッドを新設した。その過程で建設に反対する住民に対して昨年、県外から機動隊を投入し、力ずくで押さえ込んだ。そして昨年12月の北部訓練場過半の返還を記念した式典で、菅義偉官房長官は「今回の返還は日本復帰後最大の返還であり、沖縄の米軍施設の約2割が返還され、沖縄の負担軽減に大きく寄与する」と強調した。しかし、菅氏の言う「負担軽減」の結果、高江集落で騒音が増大し、住民生活に重大な影響を与えている。今回はヘリまで炎上した。これが現実だ。安倍政権にとっての「負担軽減」とは「負担強化」の言い換えにすぎない。
(2)海兵隊は今回の事故について「飛行中に火災が発生し緊急着陸した」と発表した。映像や写真を見ても「緊急着陸」と表現するのには無理がある。昨年の名護市安部のオスプレイの墜落を「緊急着水」と情報操作したことと重なる。
(3)憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記している。同13条は環境権(幸福追求権)を定め、前文は生命や健康が危険にさらされない平和的生存権を認めている。しかし、これらの権利が、沖縄では施政権返還後も著しく侵害され続けている。
(4)児童を含む17人が死亡した1959年6月の沖縄本島中部の石川市(現うるま市)宮森小学校ジェット機墜落事故をはじめ、68年にはベトナムに出撃するB52戦略爆撃機が嘉手納基地で離陸に失敗して墜落した。
(5)沖縄県の統計によると、72年の沖縄返還以降も米軍機の墜落事故は48件(16年末)に上る。単純計算で年に1件のペースで米軍機が墜落する都道府県が全国のどこにあるだろうか。


 確かに、琉球新報の指摘-①「安倍政権にとっての『負担軽減』とは『負担強化』の言い換えにすぎない。」、②憲法25条及び同13条の権利が「沖縄では施政権返還後も著しく侵害され続けている。」、③「単純計算で年に1件のペースで米軍機が墜落する都道府県が全国のどこにあるだろうか。」-は、琉球新報が要求する三点の要求こそが解決の道に近づく。


 次に、沖縄タイムス。
沖縄タイムスの要求は、次のものである。


Ⅰ.「沖縄はいつまで米軍ヘリ墜落の不安を抱えながら生活しなければならないのか。同型機の飛行停止を強く求める。」
Ⅱ.「飛行訓練が激化するばかりの高江集落周辺の六つのヘリパッド、宜野座村城原のキャンプ・ハンセン内のヘリパッドの使用禁止を強く求める。」
Ⅲ.「やはり日米地位協定の抜本的な見直しが必要である。」


 あわせて、沖縄タイムスは、こうした事故の背景を、「なぜ米軍機事故は止まらないのか。米軍機が事故を起こしても、原因究明、再発防止策がおざなりのまま飛行再開を容認する日本政府の姿勢が背景にある。政府はその自覚が弱いのではないか。」、と指摘する。
 沖縄タイムスは、沖縄に課された現実を、次のように告発する。


(1)米軍普天間飛行場所属のCH53大型ヘリが東村高江の民間の牧草地で炎上大破した。もはや異常というほかない。米海兵隊や防衛省によると、ヘリは訓練中に出火し、緊急着陸。機体は炎上大破した。事故原因はわからない。目撃者がツイッターに投稿した動画からは機体が火を噴き上げ、もうもうと黒煙が上がる様子が確認できる。乗組員7人の生命に別条はないという。付近には県道70号が走り、民家もある。一歩間違えれば、大惨事になるところだった。
(2)米軍北部訓練場の約半分の返還に伴い、東村高江集落を取り囲むように六つのヘリパッド(着陸帯)が完成し、米軍に提供されている。炎上したのがオスプレイでなく、場所がヘリパッドでないからといって無関係というわけにはいかない。むしろどこでも墜落する危険性があることを示すものだ。
(3)政府は事あるごとに負担軽減を強調するが、実際に起きているのはその逆である。
オスプレイが配備されてから5年。高江区では、米軍機による60デシベル以上の騒音回数が過去5年間で12倍超に激増。夜間の騒音も16倍超に跳ね上がっている。加えて今回の炎上大破事故である。どこが負担軽減なのか。
(4)普天間を飛び立ったCH53大型ヘリが2004年8月、隣接する沖縄国際大に墜落、炎上した。人的被害が出なかったのが奇跡的といえるほどの重大事故だった。あれから13年。「最後の警告」といわれたが、その後も米軍ヘリの墜落事故は相次いでいる。
沖国大の墜落事故では民間地であるにもかかわらず、日本警察の捜査権は及ばず、米軍が規制線を引いた。昨年12月には普天間所属のオスプレイが名護市安部の民家に近い浅瀬に墜落、大破した。沖国大での墜落事故後、日米は基地外における米軍機の事故に関するガイドライン(指針)を策定した。事故機に近い「内周規制線」は日米共同で、「外周規制線」は日本側が統制することになったが、実際は事故機を米側が管理することに変わりはないのである。安部の墜落事故では米軍は指針を守らなかった。


 しかし、沖縄の状況は、この日の在沖米海兵隊のヘリ事故だけに留まらない。
 沖縄タイムスは、「米軍はこの日、うるま市の津堅島訓練場水域でMC130特殊作戦機からパラシュート降下訓練をした。キャンプ・ハンセンでは実弾射撃訓練で山火事が発生している。炎上事故と降下訓練、山火事の関連はまだはっきりしないが、それにしても事故の発生頻度は尋常ではない。」、と伝えるのである。


 確かに、沖縄タイムスの「なぜ米軍機事故は止まらないのか。米軍機が事故を起こしても、原因究明、再発防止策がおざなりのまま飛行再開を容認する日本政府の姿勢が背景にある。政府はその自覚が弱いのではないか。」、との指摘は、政治の不作為の罪を問うものなのである。




by asyagi-df-2014 | 2017-10-23 06:25 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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