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沖縄-辺野 高江-から-2017年10月15日

「在沖米海兵隊は『復旧チームが全ての放射性材料を、適切に安全に取り除くことができた。事故現場では、すでに全ての放射性の危険は取り除かれた』とし、健康に害を及ぼすほど大量ではないとしている。」、と琉球新報。
 いつも聞かされる原因を作った側からの強弁である。
 このことの検証もまた、原因を作った側の都合でしかなされない。
その結果の一つが、「現場には東村役場の職員も2人いた。職員は『放射性物質について報道でしか聞いていないので不安はある』と話す。沖縄防衛局や米軍側から放射性物質に関する説明は一切ないとした。」、という事実。



 沖縄で起こっていること、その現場の事実をきちんと確認すること。
 2017年も、琉球新報と沖縄タイムスの記事を、「沖縄-辺野古-高江-から」を、報告します。

 2017年10月15日、沖縄-辺野古-高江の今を、沖縄タイムス、琉球新報は次のように表した。


(1)琉球新報-放射性物質「取り除いた」 米軍、高江のヘリ炎上事故で回答-2017年10月15日 06:00


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「沖縄県の東村高江で不時着し、炎上した米軍CH53E大型輸送ヘリコプターの一部に放射性物質が使われていた問題で、在沖米海兵隊は現場から放射性物質を既に除去したことを明らかにした。14日までに琉球新報の取材に回答した。一方、沖縄防衛局は13日に続き14日も事故現場周辺で、放射性物質の飛散がないかどうかを調べ、人体に影響を与えるような値は観測されていないとした。」 
②「在沖米海兵隊は『復旧チームが全ての放射性材料を、適切に安全に取り除くことができた。事故現場では、すでに全ての放射性の危険は取り除かれた』とし、健康に害を及ぼすほど大量ではないとしている。在沖米海兵隊によると、放射性物質が使われていたのは、CH53Eヘリのインジケーター(指示器)。インジケーターは飛行中のヘリの回転翼に氷結などによる亀裂や劣化といった異常がないか検出する計器。CH53Eでは、ブレードの根元付近にそれぞれ、放射性物質のストロンチウム90が収められた容器が取り付けられ、ブレード内の圧力を検知している。」
③「沖縄防衛局は測定結果について『両日の測定では、一般環境中と比べても差異はない』と発表した。詳細な分析結果は出次第、情報提供するとしている。」
④「一方、矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授は14日午前、機体の西約300メートルの地点3カ所で放射線調査を実施した。その結果、ベータ線が平均で81ベクレル平方メートルが測定されたとした。矢ヶ崎名誉教授は『事故機体のストロンチウム90が飛散し、ベータ線を出していると考えられる」と述べ、風下の人に対し、マスク着用などを呼び掛けた。ただ、この調査結果について放射線関連学会の専門家は「通常の自然界の放射能レベルで、高いとは言えない。人体に影響ないと考えていいと思う」と述べた。定点的に放射線の値を観測し、数値の変動を見ていく必要があるとも指摘した。」


(2)琉球新報-消防隊員らの被ばく検査未定 ヘリ炎上事故「不安と緊張、続く」-2017年10月15日 06:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「沖縄県東村高江で米軍の大型輸送ヘリコプターCH53が不時着、炎上した事故を受け、国頭地区行政事務組合消防本部の辺土名朝英消防長は14日、琉球新報の取材に対し「事故後、隊員の精神的な不安や緊張が持続している」と語った。事故当日の11日、現場で消火作業にあたった消防隊員らに対し、米軍から放射性物質に関する情報提供はなかった。」
②「11日午後6時半ごろ、国頭消防が消火活動を開始したが、午後7時すぎに機体から300メートル以上離れるよう米軍から指示があった。機体に燃料が大量に残っていたため、爆発の恐れがあったという。消防隊員は防火衣と空気呼吸器を着けて消火活動にあたった。辺土名消防長は『今後、隊員の(被ばく)検査をすることになるが、まだ具体的には決まっていない』と答えた。」
③「現場には東村役場の職員も2人いた。職員は『放射性物質について報道でしか聞いていないので不安はある』と話す。沖縄防衛局や米軍側から放射性物質に関する説明は一切ないとした。」
④「2004年の米軍ヘリ沖国大墜落事故では、ヘリに放射性物質が存在したため米軍の消防隊員は消火活動直後に放射能検査を実施したが、日本側の消防隊員には実施されなかった。国頭消防は米軍ヘリの火災原因などの調査義務があるが、米軍側から14日現在、許可が出ていないため、調査ができていない。」


(3)琉球新報-漂着ごみ深刻、生態系破壊 世界遺産候補の西表島、汚染リスクも-2017年10月15日 07:30


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「世界自然遺産候補地の沖縄県竹富町西表島のマングローブ湿地水域に大量の海洋漂着物が長年蓄積し、周辺環境に影響を与えていることが、県海岸漂着物等対策推進協議会座長で山口晴幸防衛大名誉教授の調査で明らかとなった。」
②「網やロープがマングローブの根茎に絡まり生育の妨げになっているほか、プラスチックや発泡スチロールなど化学物質のごみの腐食や分解が進むと有害物質が溶け出し、湿地汚染に発展する恐れもある。」
③「山口氏はマングローブ湿地水域は国の天然記念物イリオモテヤマネコの貴重な生息域でもあるとした上で『遺産登録も見据え、実効性ある対策が急務だ』と警鐘を鳴らす。」
④「山口氏は西表島における海岸漂着物の実態把握を目的に2004年から17年春まで、仲間川およびユツン川の河口域と、ピナイ川河口船浦西海岸域の3カ所のマングローブ湿地水域を対象に計32回調査し、9万8502個のごみを回収した。ごみの種類別ではペットボトル・容器などプラスチック類の比率が突出している。調査開始時の04年は全体の46・9%だったのに対し、17年は81・5%と約1・7倍に増大した。」
⑤「支柱根や呼吸根など独特な根茎が群生するマングローブ群落にとって、海から押し寄せる大量の漂着廃棄物は天敵だ。入り組んだ根茎にいったんロープや網が絡めば自然にほどけることができず、生育被害を引き起こすという。ごみ量が最も深刻なユツン川河口など島北岸部の海岸域はイリオモテヤマネコの生息地でもあるため、有害化学物質が懸念される漂着廃棄物が溶け出せば生物補食を介した食物連鎖による汚染リスクの可能性も高まる。」
⑥「山口氏はマングローブ群落の役割について『陸域からの土砂や汚水などの流出を食い止める巨大な生態系保全バリアーであり、多様な生物の生態系を支える重要な食物連鎖の場所だ』と指摘する。その上で、世界的にも希少な自然環境を維持するためには巡回による実態把握と迅速な回収撤去のシステム構築が喫緊の課題だと強調した。近年、特に離島は韓国や中国からの越境漂着ごみが深刻で、県も専門家を迎えた委員会を設置するなど、対策事業を強化している。」(当銘千絵)


(4)沖縄タイムス-米軍ヘリ炎上の現場、沖縄の「高江」 集落囲む6つのヘリパッド-2017年10月15日 05:20


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「米海兵隊CH53Eヘリ炎上事故の現場となった東村高江の住民は、米軍北部訓練場の一部返還に伴う新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設に強く反対してきた。集落を取り囲むように六つのヘリパッドを造る計画に対し、『集落に住めなくなる』と事故の危険性や騒音被害を訴えてきた。」
②「日米両政府は北部訓練場7543ヘクタールのうち、約4千ヘクタールの返還条件として、返還部分のヘリパッドを残余部分に移設することで合意。日本政府は環境調査を実施後、2007年7月に着工し、09年2月までに六つすべてを完成させる計画だったが、住民たちが現場に座り込むなど抗議活動を展開し、作業は難航した。14年7月までに二つがようやく完成したが、残り四つは未着工のまま、膠着(こうちゃく)状態が続いた。政府は16年7月、最大800人の警察機動隊を動員し、抗議活動を排除する形で工事を強行。同年12月に六つのヘリパッドの完成を確認し、返還式典を開いた。」
③「北部訓練場には新たな六つを加え、21カ所のヘリパッドがある。1970年代までベトナム戦争でのゲリラ対策としてジャングル戦闘訓練に使われていた。現在は、敵の軍用施設やゲリラ拠点への強襲、対テロ戦などを想定した訓練にヘリパッドが利用されるため、危険な飛行訓練も行われているという指摘がある。」
④「高江の住民たちが、集落に近いヘリパッドの使用中止と撤去などを粘り強く求める中での事故となった。」


(5)沖縄タイムス-首相の事故対応指示、公表は異例 しかし飛行再開判断は米側に-2017年10月14日 21:42


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄案件は菅義偉官房長官任せで「関心が薄い」といわれる安倍晋三首相だが、東村高江で米軍ヘリCH53が炎上した事故では対応が違った。『詳細な情報提供、原因究明、再発防止について米側に申し入れ、米側任せにすることなく、防衛省・自衛隊の知見も最大限活用して対応すること』。直後に出した指示の内容を明らかにしたのは異例だった。」
②「政府関係者は『衆院選のタイミングだからだ。党首討論直前に事故が起こり、見解を問われるのは分かっていたので強めに対応した』と解説する。辺野古新基地建設や北部訓練場のヘリパッド建設を進める安倍政権にとって、負担軽減策のアピールは欠かせない。特に北部訓練場約4千ヘクタールの返還は『目に見える負担軽減の象徴』で、事故によって負担が変わらないと指摘されるのは避けたい。」
③「民放番組で、事故が相次ぐ中、真の負担軽減につながっているかを問われた安倍首相は『(本土復帰後)最大の基地返還をした』と強調。返還の条件だった新設ヘリパッドの運用開始後、高江周辺で訓練が激増した点には触れなかった。」
④「一報を受け、防衛省に戻った小野寺五典防衛相に、幹部らが『確定』『未確定』と分別しながら情報を報告し、対応を検討した。『原因究明、再発防止について、米側任せにすることなく』という首相指示を受け、小野寺防衛相は翌日、同系統機を運用した自衛隊が、米側と安全確認をすることを在日米軍のシュローティ副司令官に要請。米軍機の事故現場に初めて自衛官を派遣することを決めた。」
⑤「防衛省関係者は『かなり強く求めて実現した。これも日米関係が良好だからだ。はじめの対応はうまくいった』と胸をなで下ろす。しかし、事故調査や飛行再開を判断するのは米側で『米軍の機体を自衛隊が触ることを許容されるのは極めて難しい。事故調査という米軍の確立された手続きがあり、可能な範囲で自衛隊側が参画し情報収集できる部分を探る。事故調査に日本が加わるのは非常に困難だ』(関係者)というのが実情だ。だが、過去にない対応を取ることは、沖縄に対する誠意と同時に、政権と米国の親密さをアピールするチャンス。関係者は『同盟国なんだから、米側にもなんとか融通してもらいたい』と期待を込めた。」(東京報道部・上地一姫)


(6)沖縄タイムス-ヘリ炎上現場、沖縄県は立ち入り調査できず 所有者は汚染危惧-2017年10月14日 16:00


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県東村高江の民間牧草地での米軍輸送ヘリCH53E炎上事故から2日たった13日午後、沖縄防衛局や県は環境調査を実施した。だが日米間の調整が整わず、炎上地点近くに立ち入ることは認められず、約100メートル離れた内周規制線付近の土しか採取できなかった。牧草地を所有する西銘晃さん(64)は『すでに汚染されているかも』と不安をあらわにする。事故機は6月、久米島空港に緊急着陸していたことも判明。大田治雄久米島町長は『もう飛ばさないでほしい』と憤りをあらわにした。」
②「県環境部は13日朝から現場から30分以内の場所に職員6人を待機。昼前に防衛局から『県も一緒に入れるよう調整します』との電話が入ったのを受け、調査がどの程度認められるかは不透明だったが、降雨などの懸念もあり『できる時にできることをやる』(県)と現場に急行した。」
③「午後4時すぎから、約2時間かけて調査を実施。当初は機体が炎上した周辺5地点で土壌採取を計画していたが、内周規制線内に入れなかったため規制線沿い『ぎりぎり』(同)で3地点のみの採取を余儀なくされた。なぜ入れないのか防衛局や県警、米軍から具体的な説明はなかったという。」
④「土壌汚染に詳しい環境総合研究所の池田こみち顧問は『複数カ所のデータを比べないと汚染の相対評価はできない』と指摘し、濃度が高いとみられる地点での調査に入る必要性を強調する。」
⑤「所有者の西銘さんは、米軍が機体周辺の調査を事実上拒んでいること以上に、11日の事故発生直後に放射能汚染の危険を伝えなかったことに憤る。機体近くで消火活動を見守っていた西銘さんに、米軍側が放射能の危険性を伝えてきたのは消火を終えた約2時間後だった。『もし放射能が漏れていたら、あれだけ近くにいて手遅れかもしれない。いまさら言われても遅い』と不安の表情を浮かべた。」
⑥「事故機は6月に、飛行中の警告灯の点灯が原因で久米島空港に緊急着陸していたことも判明。大田町長は『同じ機体とは初耳。トラブルを繰り返すのは欠陥機。6月の不具合を調べきれず、放っていたのではないかとさえ疑う』と米軍の管理体制を疑問視した。」


(7)琉球新報-高江ヘリ炎上に200人抗議 全基地撤去訴え東村で集会-2017年10月15日 13:29


 琉球新報は、「【東】米軍普天間飛行場所属のCH53Eヘリが不時着し炎上したことに対する抗議集会が15日正午から、事故現場に近い東村高江の米軍北部訓練場メーンゲート前で開かれた。ヘリパッドいらない住民の会とヘリパッド建設反対現地行動連絡会の主催。約200人(主催者発表)が参加し『基地があるゆえの事故。全基地を撤去させよう』と訴えた。」、と報じた。
 また、「抗議声明では「命を守るため、二度と同じようなことが起きないよう、米軍と国に抗議する」と強調し、北部訓練場の全面返還などを求めた。参加者は肩を組んで『「沖縄を返せ』などを歌い、ガンバロー三唱でこぶしを突き上げた。」、と伝えた。


(8)琉球新報-【新聞週間】高江米軍ヘリ炎上 その時、記者は 取材奔走、読者のために-2017年10月15日 15:01


 琉球新報は、表題について次のように報じた。


①「11日に東村高江で発生した米軍ヘリ炎上事故で、琉球新報は北部地域を担当する北部支社に加え、中部支社や本社からも記者が取材現場に走った。住民の命を脅かす過重な米軍基地負担があらためて浮き彫りとなった出来事だ。15日から始まった『新聞週間』に際し、11日夕から12日未明にかけての記者の動きを、記者が共有する『メーリングリスト』の内容を軸に振り返り、取材の裏側にある思いを紹介する。」
②「11日、那覇市天久の琉球新報本社編集局。朝刊の紙面構成を話し合うデスク会議終了後の午後5時52分、記者たちが情報を共有する『基地メーリングリスト』に一報が届いた。
 『高江でヘリが落ちたと連絡あり黒煙上がってらさあ。現場むかってます』。
 発信者は北部報道部で東村を担当する阪口彩子だ。『上がってるそう』とするのを慌てて打ち間違えた。」
③「『メール読みましたか』。本社編集局内にいた社会部厚生担当の池田哲平の声は上ずっていた。社会部デスクが立ち上がり、局内の記者たちに大声で伝えた。『高江でヘリが落ちたという情報がある』
 編集局内に緊張が一気に走った。締め切りの6時間前だった。」
④「事故の情報は名護市内の北部支社に寄せられた電話が情報源だった。部署や担当を問わず、本社や沖縄市にある中部支社の記者が高江へ急行した。本社に残った記者も情報収集に動いた。
 『機種や基地内外など詳細不明』(午後5時59分)
 『米軍ヘリという話や民間のセスナという話もあるそう』(午後6時1分)
⑤「政治部基地担当の仲井間郁江、社会部警察担当の当間詩朗ら複数の記者が取材ルートを通じて情報を集め、メールを送った。しかし、詳細は判然としない。警察情報として『墜落したのはオスプレイ』とメールを寄せた記者もいた。」
⑥「号外の大見出しは『高江米軍ヘリ墜落』。その後に入る複数の情報で『墜落』の表記が改まる。本社にいた社会部フリーキャップの古堅一樹は現場の阪口から連絡を受け、住民の目撃談として午後8時29分のメールで『不時着した後に炎上した。米兵が7人歩いてきた』と共有した。社会部警察班キャップの沖田有吾は午後8時42分と44分のメールで『県警幹部 落ちてはいない。降りた後に出火してる。現場からの報告でも』 『墜落と断定するのは危険な気がする。着陸後出火、とか?』と提起した。」
⑦「米側の発表は「緊急着陸」。編集局内で議論し、住民の目撃証言や各関係機関の情報を総合的に判断し、『不時着し、炎上した』と表記することを確認し、記者にメールで知らせた。時刻は午後10時を過ぎていた。」
⑧「規制線が張られる前の午後7時ごろ、現場近くに到着した阪口は、事故を撮影した男性の自宅に入り、話を聞いた。『大きな音がパーンと鳴って炎が2倍になった。オイル系の焼けた臭いがした』と聞いた。『できるだけ多くの人の声を集めないといけない。本当にけが人は出ていないのか』と怖くなった。『現場の規制線近くに着いた』。午後8時41分、社会部フリーの前森智香子がメールを送った。現場に近づこうにも事故機は規制線の向こうにあった。現場に集まった記者は高江集落で住民の声を集めた。『区民が不安に思っていたことが生活圏で起きた』。中部報道部の安富智希は午後9時47分のメールで仲嶺久美子高江区長の声をつづった。ショックで憔悴(しょうすい)しきった区長の顔を見た安富は『地元の安全すら守れない。この国の安全保障政策は変だ』と思わずにはいられなかった。」
⑨「那覇でも衝撃が広がった。翁長雄志知事の『ほんとに、とんでもない話だ』と怒りの声を政治部キャップの滝本匠は午後10時40分のメールに記した。」
⑩「北部報道部の友寄開は12日午前6時8分にメールで『「現場から一旦引き上げる』と送信した。社会部の池田と連携し、夜通しで監視を続けていた友寄。眠気と疲労が蓄積する中で『長丁場になる。休まないといけない。でも、何か起きた場合、そこにいられないのはもどかしい』と感じつつ、早朝から取材する記者たちに後を託し、いったん現場から離れた。朝日が昇り、明るくなった。現場に到着した北部報道部長の宮里努は『屋上から黒焦げのヘリがよく見える。兵士のほか県警も事故現場に』(午前6時47分)と送信した。」
⑪「午後2時、北部報道部の友寄、赤嶺可有、南部報道部の嘉数陽、社会部の前森らが現場を引き継いだ。『米軍が放射能チェッカー使い始めた』(午後3時12分)とメールで伝えた。」
⑫「東京の記者も情報収集を続けた。防衛省は12日午後、同型機の飛行停止を期限を付けずに要求したと説明した。しかし、米軍は飛行停止を96時間に制限することを同日午前で決め、日本にも伝えていたことが後で分かった。東京報道部で防衛省を担当する仲村良太は午後7時14分、メールで『防衛の飛行停止要求は茶番じゃないか』と送った。仲村は『米軍が決めたことには何も言えない日本政府に無力感を感じた』とする。」
⑬「14日午後5時現在、環境調査や機体がいつ運び出されるのかなど現場は予断を許さない状況が続く。琉球新報は輪番で記者を派遣し、取材している。」
⑭「11日午後5時50分ごろ、高江売店隣に住む高越史明さん(67)との電話を終えた。すぐに『高江でヘリがおちたと連絡あり黒煙あがってらさあ(るそう)』と、第一報を編集局の記者の大半に届くメールで伝えた。まだヘリが落ちたとは断定できない。『お願いだから間違いであってほしい』という思いは、7分後に消えた。各記者が『黒煙は間違いない』『集落に落ちた』と取材先から得た情報をどんどん送ってきた。胃のあたりが、ずしりと重くなるのが分かった。現場に向かうまでの間、高江の車集落に住む人の顔が頭に浮かんでいた。東村を担当して2年目。昨年も高江はヘリパッド建設で揺れた。高江の一軒一軒を訪ねてヘリパッドの賛否を問うアンケートを実施したので、約130人の思いは痛いほど分かっていた。あのとき、紙面で実名を取り上げるのは嫌がったが、ほとんどの人が家の中に呼び入れてヘリパッドに対する思いを話してくれた。『次は取材じゃなくて遊びに来なさいね』と言ってくれる人もいた。そんな人たちの心を、悲しみと怒りでズタズタにしているのが、米軍と日本政府だった。事故翌日、自民党の岸田文雄政調会長は現場を視察したが、ヘリが炎上した牧草地の所有者である西銘晃さん(64)とは会わなかった。政府は『北部訓練場の4千ヘクタールを返還し負担軽減が進んでいる』と繰り返すが、高江の人はそれを『まやかし』と言う。岸田氏が現場に向かっている時、晃さんの妻・美恵子さん(63)は『(負担軽減に)なってるか! 山返しても人住めないのに。もう少し別の道は考えられないのか』と吐き捨てるように言った。その言葉が頭にあったからか、東村役場で『原因の究明、再発防止』と同じ単語を繰り返す岸田氏に、釈然としないものを感じていた。政治家という立場があるにしても、その立場を超えたところに共通の痛みがあるのではないか。事故に衝撃を受けた高江の人の痛みが、政府の人間にどれだけ伝わったのだろうか。」
⑮「西銘夫妻は、マスコミに対し事故当日、家の中に入れて取材や出稿作業に協力した。ソファで記事を書いていると、お茶を出して『バナナ食べるかい』と言った。午後7時ごろから集まった報道陣が全員家を出たのは、午前0時近かった。帰り際、美恵子さんは『頑張りましょうね』と笑顔で言った。この笑顔を守っていきたいと思った。一睡もできなかった翌朝、美恵子さんの笑顔を思い出して『さぁ、頑張ろう』と自分に声を掛けていた。」
(阪口彩子)


(9)沖縄タイムス-米軍から放射性物質の報告なし ヘリ炎上「一歩間違えば二次被害」【深掘り】-2017年10月15日 19:50


 沖縄タイムスは、表題について次のように報じた。


①「沖縄県東村高江の民間地で炎上した米軍CH53ヘリに放射性物質が使われていた。だが、事故後、真っ先に駆けつけ消火活動に当たった国頭消防本部の隊員らには米軍からその事実は知らされていなかった。危険物が航空機に搭載されている場合は消防などへ情報を提供するとした、航空機事故に関する日米ガイドラインがまたもや機能せず、隊員らが危険にさらされた形だ。」
②「2004年の沖縄国際大への米軍機墜落事故を契機に策定されたガイドラインでは、救助や消火活動を阻害する危険な搭載物や兵器の量、種類に関し、米軍は『判明次第、提供する』ことを確認している。沖国大の事故で消火活動に当たった宜野湾市消防本部は放射性物質ストロンチウム90が搭載されている事実を知らされず、隊員は内部被ばくを防ぐマスクや防護服もなく、数メートルまで近づき放水していた。そのような危険な事態を招かないよう、ガイドラインで明文化したはずだが、機能しなかった。県によると国頭消防の隊員らは通常の装備で、機体の数メートルまで近づき放水した。米軍の消防が到着し、指揮権を米側へ渡したのは消火を始めてから約1時間40分後だったという。」
③「13日の県議会米軍基地関係特別委員会で謝花喜一郎公室長は、『消火する時点で消防隊員に情報があれば、防護服などの装備をした上で消火活動に当たれた』と指摘。渡久地修氏(共産)は『一歩間違えば消防隊員に二次被害を与えた。沖国大の教訓が生かされていない』と米軍と沖縄防衛局の対応を批判する。」
④「14日時点で、県にも米軍から情報はない。県幹部は『使命感をもって消火活動に当たる消防隊員が危険にさらされることはあってはならない。形骸化したガイドラインに意味はない』と問題視した。」(政経部・大野亨恭)




by asyagi-df-2014 | 2017-10-15 20:15 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人