防衛戦略の南西シフトがもたらす南西諸島の「戦場化」は許されない。

 八重山毎日新聞(以下、八重山)は2017年9月9日、「軍拡は平和への道ではない」、と社説で説いた。
 この八重山の社説で考える。
 八重山は、「南西シフトのきな臭さ」と指摘する中で、Ⅰ.「防衛予算編成への懸念」、Ⅱ.「島の『戦場化』想定を憂う」、Ⅲ.「オスプレイが島を飛ぶ日」、の三点からこの結論を導き出す。
八重山は、具体的に次のように指摘する。


Ⅰ.「防衛予算編成への懸念」


(1)防衛省はこのほど、18年防衛予算の概算要求を決定した。17年比2.5%増、6年連続増となる5兆2551億円。過去最大の軍拡路線だ。報道によれば北朝鮮ミサイル防衛(MD)など地上配備型の「イージス・アショア」の関連経費を含んでいないため、要求額はさらに膨れ上がることになる。
(2)このうち南西諸島への自衛隊配備計画は総額552億円で、駐屯地整備が始まる宮古島が260億円、用地取得を見込む石垣島で136億円を計上している。いずれも配備計画に多くの住民が反対する中、なし崩しに進めようとしているのが実態ではないか。
(3)宮古では未解決だった弾薬保管庫について、地対空、地対艦ミサイルの弾薬庫や射撃訓練場等の配備先を城辺保良の採石場とする方向で年内にも決定するという。また、施設整備に合わせ18年度末に宮古警備隊約380人を配備することも決定した。


 八重山は、「防衛戦略の南西シフトが一段と進められる。南西諸島にきな臭さが漂う。」、と指摘する。


Ⅱ.「島の『戦場化』想定を憂う」


(1)さらに、恐るべき防衛戦略も明らかになっている。
(2)要求予算のうち目につくのが、初めて計上された「島しょ防衛用高速滑空弾」だ。外国軍に占領された島を奪還するために、標的に近い島から攻撃するための技術研究に100億円を計上している。すでに自衛隊が保有するミサイルよりも長い射程で超音速をめざし、飛行経路を予測しにくくするため滑空させるというもの。新型ミサイルである。
(3)その前提は、18年3月に発足する水陸機動団が担う離島奪還作戦だ。県内のほとんどの離島は住民避難計画が策定されておらず、住民に多大な犠牲がでることが懸念される。例えば石垣から与那国間は約250㌔。かみ砕いていえば、与那国が占領された場合、石垣島から高速滑空弾で攻撃し、水陸機動団が強襲上陸するシナリオになる公算が大きい。
宮古から石垣を攻撃する、あるいはその逆のシナリオも当然考えられる。南西諸島防衛計画には、私たち住民の存在がまったく配慮されていないとしかいいようがない。


 八重山は、「私たちの住む島が外国軍に占領され、しかも自衛隊によって攻撃される想定のおぞましさ。島々の『戦場化』を意味する。言語道断、声を上げる時だ。」、と訴える。


Ⅲ.「オスプレイが島を飛ぶ日」


(1)また予算要求には、これも「南西諸島への攻撃に備える」ため、水陸機動団と連動する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ4機の取得経費457億円も含まれた。これにより中期防衛計画で定めた17機すべての取得費を確保したこととなる。
(2)先の離島奪還作戦は、水陸両用の機動団が海上から強襲上陸するとともに、オスプレイによる兵員輸送が確実視されている。墜落相次ぐ機体が島々の上空を飛ぶ日が刻々と近づいている。
(3)先月末、岩国基地から普天間基地に帰還するオスプレイがエンジンから出火、大分空港に緊急着陸しエンジン交換など修理しており、やはり欠陥機だ。


 八重山は、日本全土に向けても、「かつて日本の防衛戦略が北海道「局地戦」を想定した対ソ連シフトだったことを思えば、『南西諸島シフト』は、戦闘を日本本土から遠く離れた南西諸島、特に先島での『局地戦』に閉じ込めておきたい思惑が透けてみえる。その島々に住む私たちは、その存在を防衛戦略に無視されていいのか。」、と問いかける。


 八重山は、最後に、「予算編成にみる防衛戦略が指向するものは、「北の脅威」や「尖閣危機」など環境変化を利用した「島しょ防衛」の名のもとの軍拡である。軍拡は決して「平和への道」ではない。」、と結ぶ。


 この八重山の指摘を受けて、次のことが言える。


Ⅰ.予算編成にみる防衛戦略が指向するものは、「北の脅威」や「尖閣危機」など環境変化を利用した「島しょ防衛」の名のもとの軍拡であること。それは、自衛隊の拡大・強化である。
Ⅱ.こうした防衛戦略の南西シフトが一段と進められるなか、南西諸島には、かってないきな臭さが漂う。それは、この防衛戦略が、南西諸島が外国軍に占領され、しかも自衛隊によって攻撃されることを想定していることによる。このことによって、住民に多大な犠牲がでることが懸念されているにもかかわらず、住民の存在がまったく配慮されていない。
Ⅲ.結局、防衛戦略における南西諸島シフトとは、南西諸島が「戦場化」されることを意味する。
Ⅳ.また、そこには、沖縄戦がそうであったように、戦闘やその被害を日本本土から遠く離れた南西諸島、特に先島での「局地戦」に閉じ込めておくという日米両政府の強い意志が背景にある。
Ⅴ.今、日本人が問われていることは、南西諸島に住む人々が、再び、その存在を防衛戦略に無視されてもいいのか、ということである。それは、日本人ひとり一人が、「沖縄でよかった」と考えることをやめることができるかということでもある。


 確かに、軍拡は決して「平和への道」ではない。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-16 12:29 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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