菊池事件の再審拒否に対して、元患者が熊本地裁に国賠提訴を起こす。

 毎日新聞は2017年8月30日、標題について次のように報じた。


(1)ハンセン病患者とされた熊本県の男性が殺人罪などに問われ、無実を訴えながら裁判所外の隔離された特別法廷で死刑判決を受けて執行された「菊池事件」で、元ハンセン病患者6人が29日、無罪となるべき男性について検察が再審請求しないため精神的苦痛を受けたとして、国を相手取って1人当たり10万円の慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を熊本地裁に起こした。
(2)訴状によると、元患者らは2012年11月、検察に菊池事件について再審請求するよう要請したが、検察は17年3月に再審請求しないことを決めた。この決定は検察官に課せられた再審請求権行使義務に違反しており、元患者らは特別法廷で助長されたハンセン病患者らに対する差別や偏見を解消する被害回復請求権を侵害されたとしている。
(3)男性の公判は、憲法が定めた裁判の公開原則に反する特別法廷で審理され、裁判官や検察官、弁護人が白衣を着て証拠品を箸で扱うなど差別的な取り扱いをした。さらに凶器とされる短刀が被害者の全ての傷を説明できないことなどを示した新証拠の法医学鑑定書などから無実は明らかとしている。その上で、ハンセン病に対する差別と偏見を恐れる遺族は再審請求ができないため、検察官が再審請求権を行使しないのは違法と主張している。
(4)特別法廷を巡っては16年4月、最高裁が1960年以降の違法性を認めて元患者らに謝罪。最高検も今年3月に特別法廷に関与した責任を認め謝罪したが菊池事件についての再審請求には応じなかった。
【野呂賢治】
(5)-ハンセン病問題に関わってきた識者は国賠訴訟をどう見るのか。:特別法廷に関する最高裁の有識者委員会で座長を務めた井上英夫・金沢大名誉教授は「検察は国民への説明責任を果たしていない」と厳しい。「関係者のプライバシー」を理由に、再審請求しない理由を一切明らかにしないからだ。
 同委は2016年4月、患者の隔離・収容の場で行われた特別法廷の裁判が「裁判の公開原則」を満たしていたか否かについて「違憲の疑いはぬぐいきれない」と指摘し、違憲性を認めなかった最高裁の調査報告書を問題視した。しかし、検察も今年3月、この調査報告書を引用し、開廷を知らせる張り紙や傍聴人がいた記録があるとして違憲性を否定する見解を示している。
 井上氏は「検察が最高裁の見解を安易に引用したのは問題で、独自に調査すべきだった。検察は冤罪(えんざい)ではないとするなら合理的な根拠を示すべきだ。できなければ自ら再審を請求しなければいけない」と語り、国賠訴訟で事態が進むことを望む。
 国のハンセン病問題検証会議で副座長を務めた内田博文・九大名誉教授は「憲法を擁護すべき裁判所や法曹がハンセン病の人を別扱いするという人権侵害を引き起こしたのが特別法廷の本質だ。患者・家族全体が被害者であり、実質的な審理をすべきだ」と指摘する。【江刺正嘉】


 今、なされなければならないことは、「内田博文・九大名誉教授は『憲法を擁護すべき裁判所や法曹がハンセン病の人を別扱いするという人権侵害を引き起こしたのが特別法廷の本質だ。患者・家族全体が被害者であり、実質的な審理をすべきだ』と指摘する。」(毎日新聞)、ということである。




by asyagi-df-2014 | 2017-09-01 06:01 | ハンセン病 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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