「水銀に関する水俣条約」が、2017年8月16日に発効。

 「水銀に関する水俣条約」が2017年8月16日に発効した。
 このことについて、毎日新聞は2017年8月16日、次のように報じた。


(1)水銀の環境への排出を防ぐための国際ルール「水銀に関する水俣条約」が16日に発効した。発効に伴い、水銀を含んだ蛍光灯や電池などの製品の製造や輸出入が2020年までに原則禁止されるほか、今後15年以内に水銀鉱山からの採掘もできなくなる。また途上国での零細小規模金採掘(ASGM)での水銀使用も減らすよう求める。条約事務局によると条約を締結したのは、14日現在で73カ国と欧州連合(EU)。
(2)国連環境計画(UNEP)によると、人為的に大気中へ排出されている水銀は年間約2000トン。半数以上が途上国でのASGMや、石炭など化石燃料を燃やすことによって排出される。UNEPなどは多量の水銀が排出されていることを問題視し、2009年から条約採択に向けた国際交渉を開始。13年10月に熊本県水俣市と熊本市で開かれた外交会議で採択した。
(3)採択に際しては、世界最大規模の有機水銀中毒事件「水俣病」の被害を繰り返さない決意を込めた日本の提案で、条約名に「水俣」の地名が冠された。【五十嵐和大、渡辺諒】
(4)水俣条約=骨子 :①化粧品や血圧計など水銀を含む製品の製造や輸出入を2020年までに原則禁止 。②輸出が認められた製品でも、輸入国の事前の書面同意が必要
・歯科用水銀合金使用を削減、③零細小規模金採掘は使用を削減。可能なら廃絶、④新規水銀鉱山の開発禁止。既存鉱山からの産出は発効から15年以内に禁止、⑤石炭火力発電所の水銀排出を削減


 熊本日日新聞は2017年8月16日、このことについて、「水銀による環境汚染や健康被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」が発効した。世界から水俣病のような水銀被害を根絶するための確かな一歩となることを期待したい。」と記し、「水俣条約発効 まず日本政府が被害直視を」、と社説を掲げた。
 熊本日日新聞は、その経過と意義について、次のようにまとめる。


 条約は2013年10月、水俣、熊本両市で開いた外交会議で採択された。35の条文と五つの付属書で構成し、採掘から廃棄まで全ての段階で規制措置を規定。水銀を使った製品は原則として20年までに製造・輸出入を禁止する。採択後、各国は国内法を整備して締結作業を進め、日本は16年2月に締結。
 今年5月、締結国が発効に必要な50カ国に達した。最大排出国の中国だけでなく、米国やEU、水銀を使用する小規模金採掘の従事者が多いブラジルなども締結国となった意義は大きいと言える。


 ただ一方で、「いまだに多くの人が健康被害や差別に苦しみ、訴訟も続いている現実がある」ことから、水俣病患者や支援者らの中には、「『水俣病が既に解決済みの問題として世界に誤解されてしまうのではないか』という懸念が強くある。」、と熊本日日新聞は押さえる。
 また、熊本日日新聞は、その懸念の理由を次のように指摘する。


(1)患者らが強く求めている不知火海沿岸住民の健康調査も実施されておらず、被害の全容は解明されていない。水銀を含む未処理の汚泥が封じ込められた水俣湾の埋め立て地の問題もある。
(2)公式確認から61年が過ぎても多くの問題がなお山積みの状態だ。そうした現状から目を背けたまま条約への対応を進めてきた日本政府に対し、患者らはもどかしさと割り切れなさを感じている。


 さらに、熊本の水俣病患者や支援者らの「声」や「思い」-「いずれも、条約発効が水俣病問題の幕引きに利用されることを警戒してのことだ。」-を、次のように届ける。


(1)7月1日、水俣市で一足早く開かれた発効記念行事。国連環境計画や環境省の関係者が顔をそろえる中、水俣病語り部の会の緒方正実会長は「水俣病は解決していない。公害が起きれば、人々は長い間向き合わなければならない」と訴えた。
(2)一般参加者として式典を見守った水俣病被害者互助会の佐藤英樹会長も「いまだに苦しんでいる被害者がいることを多くの人に知ってもらいたい」と注文した。
(3)胎児性患者の坂本しのぶさんは、9月にスイスのジュネーブで開かれる第1回締約国会議(COP1)に合わせて現地入りする。坂本さんの欧州訪問は、1972年にスウェーデンのストックホルムで開かれ、水俣病の存在を世界に伝えた国連人間環境会議以来45年ぶり。体調に不安を抱えながらもジュネーブ行きを決断させたのは、解決には程遠い水俣病の現実を再び訴えなければならないという使命感にほかならない。


 最後に、熊本日日新聞は、「条約の前文には『水俣病の教訓を認識し、水銀を適正管理することで健康被害を防ぐ』と記されている。条約が掲げる目的を達成するためには、まず日本政府が水俣病の現実を直視し、誠実に解決に取り組まなければならない。そこで得られる教訓こそ、世界の水銀被害防止にも役立つはずだ。」、と訴える。


 確かに、水俣病問題の本質は、「日本政府が水俣病の現実を直視し、誠実に解決に取り組まなければならない。」、ということにある。




by asyagi-df-2014 | 2017-08-17 05:41 | 水俣から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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