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四国電力伊方原発運転差し止め訴訟の第5回口頭弁論を傍聴してきました。

 四国電力伊方原発運転差し止め訴訟の第5回口頭弁論・第8回審尋が、2017年7月20日14時30分より、大分地方裁判所で開催されました。今回も傍聴参加と報告集会に参加してきました。
これまでと同様に第1法廷で開催された裁判に、今回もまた、法廷をほぼ埋める人が集まりました。
  今回は、本訴訟に第二義訴訟の原告が初めて参加するものになりましたが、いつも通り25分ほどの時間で終了しました。
 本訴訟で毎回行われていた意見陳述が今後は難しくなるとの状況の中で、今回の口頭弁論では、第二次原告の工藤康紀さんが最後になるかもしれない意見陳述を行いました。
報告集会で、「伊方だけというよりは、日本の原発を止めたいという気持ちで裁判官に訴えた」、と語った工藤さんの意見陳述は、「大学、大学院で物理学を専攻し、県立高校で11年間、高等専門学校で25年間、教員をしていました。教員生活の最後の2年間は福島第一原発に近い福島高専におりました。今日は、原発を止めてほしいという思いから、この場を借りてお話しさせていただきます。」、から始まりました。
工藤さんの意見陳述の要約は次のものです。


(1)原発の運転に反対する気持ちもあり、一株主による反原発運動にも参加したりしていました。しかし、原発が事故を起こした場合の深刻さ、悲惨さは、今思えば十分に考えていなかったのだと思います。
(2)私はこれまでも原発に反対していたつもりですが、事故後に振りかえると、「なぜもっと行動しなかったのだろう。」という後悔が残りました。そのため、楽観的だった自分を許せませんでした。「今後は行動しなければならない。大分から義援金を送るだけではダメだ。」と反省しました。
(3)事故から1か月が経とうとする4月の春休みごろに、原発に最も近くでボランティア活動ができる福島県南相馬市でのボランティア活動に参加することを決めたのです。7月下旬に実際にボランティアに行きましたが、現地で強く感じたのは原発事故の想像を絶する影響力の大きさです。原発事故がもたらす破壊は、大規模であり、住人が住所を失うだけでなく、酷い場合には国の存続さえ危うくするものなのです。
(4)安倍総理大臣は「世界一厳しい原発の規制基準を作った。」と胸をはります。しかし、逆に言えば「日本はそれだけ世界一危険な地域に原発を作っている」という証拠でもあります。日本には火山や活断層が多く密集しています。このことを忘れてはなりません。
(5)福島の原発事故は人間のミスではなく、地震とその後に起きた津波による全電源喪失、すなわち自然現象が発端である、という点です。自然現象の特徴は、いつどこで起きるかが想像もつかないということです。
(6)電力会社がいうように、仮に原発事故の発端となるような大地震が千年に一度であろうと、一万年に一度であろうと、明日起きないという保障にはなりません。人間が想定する範囲の基準など、どこまでいっても、事故前の私と同じ楽観的予想に基づくものでしかありません。日本の原発の中で、中央構造線断層帯の近くにある伊方原発はワースト3に含まれるほど、危険な地域にあるという学者もいます。
 


 工藤さんは、意見陳述を次のようにまとめ、訴えとしました。


 「電力会社には原発を即時停止し、原子力以外の電力エネルギー源の開発に資金をつぎ込んでほしいです。そして、裁判所に対しては、国民を守る、国を守るためにもどうか原発の停止に向けて、司法権を適切に行使していただきたいと思います。原発の事故は、その影響や被害の大きさにおいて我々の想像を超えており、その他の事故とは全く異なります。繰り返しになりますが、自然界に人間の想像は通用しません。自然には勝てません!原発が運転されている限り事故は必ず起きます。そのことをもう一度深く深く真剣に考えてほしいと思います。」


 さて、4時前から行われた報告集会は、本訴訟の短さに比べて、熱と勢いのあるものに今回もなりました。結局、メモをとるのは報告集会でという形となっています。
 なお、この報告集会で設定されているマスコミからの質問コーナーは、あまりこれまでは経験したことのない積極的な質問が出されており、活気を呈しています。また、参加者にとっても、重要なポイントを確認できる場所となっています。

 報告集会で、最初に、 河村弁護士は次のことを説明しました。
(1)仮処分の審尋を、メドがついたととの裁判所側の判断により、10月11日の第9回審尋で終わる。
(2)裁判長交代にともない、①火山灰の問題、②大分県内の大分県民の避難の問題(このことについては、徳田弁護士より事務局長の小坂さん(田ノ浦在住)の事例と説明される)、③北朝鮮のミサイル問題、の準備書面を提出した。四電側は、10月4日までに反論を準備することになっている。
(3)仮処分の決定は、年内は無理のようである。
 この後、弁護士から、本訴訟の重点は、基準値震動の問題と上記三つを加えた四点になるとの説明がありました。 

 特に、今回の報告会の関心は、降下火山灰の問題に集まりました。
この降下火山灰の問題については、是非とも学習会が必要になっています。
 火山と担当する中野弁護士の報告会での話をまとめると次のようになります。
①火山灰で漏電をして使えなくなる。次に、ディーゼル発電等を使って冷却するが、火山灰で機能を喪失する可能性がある。                        ②電気事業連合会の「『機能維持評価葉酸高濃度』への対応について」(平成29年6月22日)によると、伊方3号機は、「設計層厚:15cm」「参考の濃度:約3.1g//m3」「現状の限界濃度:0.7g/m3」、となっている。なお、この場合の、限界濃度の説明は、現状設備において(ディーゼル発電機を交互に切り替え、フィルタ取替・清掃することによって)対応可能な限界濃度、と説明されている。つまり、新規制基準を満たしていないわけで、伊方3号機がこのままでは耐えられないことは明らか。
③火山灰と火砕流を分けて考える必要がある。予知が対象にしているのは、火砕流のこと。


この降下火山灰の問題に関して、小森弁護士から、「安全性が確保できなければ、止めて安全を確保すべきである。万が一の事故は防げない。」との本質を言い当てている発言がありました。
また、北朝鮮のミサイル問題について、河合弁護士より、「いろんな意見もあると思うが、非常に深刻な状態だと判断している。」、との説明がありました、
 このことに関しては、会場から、「動いている原発と動いていない原発の差はあるのか」、という質問が出されました。
 これについては、河合弁護士から、「対応の困難さは、動いているのが100だとしたら、動いていないものは10以下」、との説明がありました。もちろん、直接ミサイルが原発本体に当たれば、一緒の結果だとの指摘もありました。


最後に、徳田弁護士から、「大分県民が挙げて闘っているという意志を形として裁判所に見せる必要がある。できたら、原告の数は500人、いや、1000人が」、という激励がありました。



by asyagi-df-2014 | 2017-07-22 05:29 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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