『憲法9条一項・二項は残し、三項を新設し自衛隊を書き込む』を考える。(2)-神奈川新聞社説(20170603)-

 『憲法9条一項・二項は残し、三項を新設し自衛隊を書き込む』を考える。
 神奈川新聞は2017年6月3日、安倍首相が2020年の改正憲法の施行を目標として、改憲への姿勢を鮮明にしたことについて、「憲法9条改正 矛盾孕む空疎な提案だ」、とその社説で断定した。
 まず、この社説を要約する。


Ⅰ.矛盾の根拠


(1)戦争放棄などを定めた9条1項、2項を維持した上で自衛隊に関する条文を追加する考え方を示した。だが、2項の戦力不保持を改めないままでは説明がつかず、新たな矛盾を孕む空疎な提案だ。
(2)首相は「自衛隊の存在を憲法上に位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきだ』と明文化の意義を強調した。しかし、長年積み重ねられてきた9条の解釈をあまりに軽視している。
(3)自衛隊は歴代内閣の憲法解釈で一貫して合憲とされてきた。ただし必要最小限の実力組織としてであり、PKO(国連平和維持活動)参加など活動の幅を広げても他国の戦争に加担しないよう歯止めもかけられてきた。9条の下での抑制的なあり方に国民の理解も深まっている。
(4)そもそも自民党の改憲草案は一項をほぼ踏襲する一方、二項は全面的に改め国防軍を創設する内容だった。草案自体の問題はここではおくとしても、首相は草案の記載内容を党内論議も経ず簡単に翻した。
(5)首相に近い立場のメディアや似た考えを持つ団体の集会で考えを伝える手法も独り善がりにしか映らない。国民の理解を得るべく、疑問や批判に耐える真摯な姿勢が感じられない。


Ⅱ.主張


(1)首相の説明通り現状追認が目的なら合憲とされているものをあえて明記することに意味はなく、膨大な政治的エネルギーを費やす価値もない。明文化により戦力不保持を定める2項が無力化され、自衛隊の活動を拡大できる解釈が生まれるなら首相の説明は姑息というほかない。
(2)憲法は国のかたちを定める最高法規である。政治家としての姿勢に疑問を抱かざるを得ない。
(3)戦後の出発点に先の敗戦があることを忘れてはいけない。「押し付け憲法」というなら、朝鮮戦争を機に米国の要請に応えた自衛隊も押しつけである。二度と悲劇は繰り返さないという信念で国民が守り続けてきた憲法を改めるには、それだけの理由と熟議が欠かせない。スポーツの祭典に合わせるような話ではない。



 確かに、安倍晋三首相の『憲法9条一項・二項は残し、三項を新設し自衛隊を書き込む』とは、「明文化により戦力不保持を定める2項を無力化し、自衛隊の活動を拡大する」ことを狙ったものでしかない。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-19 10:19 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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