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「共謀罪」を考える。(41)-北海道新聞2017年6月10日より-

 北海道新聞は、2017年6月10日、「『共謀罪』を考える」として「『共謀罪』節税の相談が『脱税の計画』に?」を掲載した。
 組織犯罪処罰法改正案の対象犯罪に脱税行為が含まれることに関して、きちっと説明してくれています。
 まずは、要約します。
北海道新聞は、こう切り出します。


 「犯罪を計画段階で処罰する『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の対象犯罪には、脱税行為も含まれる。脱税か、適正に税負担を軽くする節税かの境目は曖昧。しかも、判断は現在、収入の申告以降に行われるが、『共謀罪』が導入されると、申告の前段階でも処罰が可能となる。税理士団体などは『節税の相談が脱税の計画ととられかねず、自由な経済活動が阻害される』と懸念を強めている。」


 このことに関して、「事例」を含めて次のように説明します。


(1)個人事業主のAさんが友人の会社社長に、今後の取引を期待して高額な接待をし、税理士と相談して費用を経費に計上した事例について。
①法人や個人事業主などが収入を得る上で必要な経費は、法人税や所得税の控除対象。ただ、「課税逃れのために経費扱いした」と国税当局に脱税認定されると、金額の多さや悪質さによっては追加で重い税金を課されたり、刑事罰を受けたりすることもある。
②北海道や東京などの税理士でつくる税制研究団体「東京税財政研究センター」理事長の永沢晃税理士(72)=東京=によると、冒頭の事例では接待の後、取引が生じた場合などは一般的に経費と認められる。だが、状況によっては「友人同士のただの飲み食い」と退けられることもある。
(2)改正案は、所得税法や法人税法などの「偽りその他不正な行為」で納税を免れる脱税行為について、「計画」や「準備行為」を処罰対象としている。だが、準備行為が具体的に何を指すのかは不明。永沢税理士は「会社社長と税理士が結託して脱税を計画したと国税当局が判断すれば、処罰される可能性もある」とみる。
(2)「ただでさえ脱税の判断は難しいのに、収入の申告の前段階で処罰されかねないとなれば、税理士活動は萎縮する。影響は、副収入があって申告が必要な会社員などにも及ぶ可能性がある」と訴える。
(3)「現状の脱税捜査に当てはめると不備ばかりの法律」と話すのは、「全国税制懇話会」(東京)理事長で国税OBの小田川豊作税理士(68)だ。そもそも脱税は未遂罪の規定がほとんどないため、捜査側は脱税の意図を示す不正な帳簿など物的証拠を、収入の申告を受けてから探す。しかし、「共謀罪」の適用には収入の申告を受ける前に「脱税するつもり」の物的証拠を見つける必要がある。そのため「厳密な立証は難しいのでは。だが、捜査はしようと思えばいくらでもできる。こんな曖昧な法律は作る意味があるのか」と指摘する。
(4)全国の税理士ら約千人でつくる税制の研究団体「税経新人会」(東京)が3日、札幌市内で開いた会合の参加者からは法案への批判が相次いだ。同会は近く改正案反対の声明を出すことを決めた。
(5)東海大の藤中敏弘准教授(56)=税法=は「税法はもともと捜査側に恣意(しい)的に使われやすい法律。一般人が対象にされかねず、専門家が危険をしっかり指摘していくべきだ」と話す。


 北海道新聞が指摘した次の指摘は、非常に重い。


Ⅰ.「税法はもともと捜査側に恣意(しい)的に使われやすい法律。一般人が対象にされかねず、専門家が危険をしっかり指摘していくべきだ」。
Ⅱ.「『共謀罪』の適用には収入の申告を受ける前に『脱税するつもり』の物的証拠を見つける必要がある。そのため『厳密な立証は難しいのでは。だが、捜査はしようと思えばいくらでもできる。こんな曖昧な法律は作る意味があるのか』」。


 確かに、「共謀罪」法案は、廃案にするしかない。




by asyagi-df-2014 | 2017-06-15 06:25 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人