「共謀罪」を考える。(33)-真宗大谷派、「共謀罪」法案に反対の声明。-
2017年 06月 03日
真宗大谷派は2017年5月18日、「テロ等組織犯罪準備罪(共謀罪)法案に反対する声明」を発表しました。
この声明を要約します。
Ⅰ.法案の問題点
(1)この法案は、実際の行為がなくとも、犯罪とみなされる計画をしただけで処罰することができる、いわゆる「共謀罪」の内容が盛り込まれており、市民の日常生活に重大な制約をもたらす恐れがあります。
(2)どのような計画が犯罪になるのかは捜査機関の判断によることから、恣意的な検挙が行われ、市民の思想や言論、表現の自由全般が損なわれる可能性は否めません。さらに犯罪の事実を立証するために、日常的にプライバシーが侵害され、市民どうしが相互に監視する社会をつくりだしてしまうことを危惧します。
Ⅱ.法案に対する基本的な考え方
(1)宗祖親鸞聖人は、時の権力によって「専修念仏」が罪とされたことにより、同行たちが斬首され、聖人自身も流罪となった承元の法難を経験されました。権力側が欲する秩序を護るために個を抹殺しても厭わない当時、宗祖は「主上臣下、法に背き義に違し」との痛みをもった厳しい言葉を残しておられます。
(2)また明治期の日本では、国家による思想弾圧事件として、多くの人たちが無実の罪で死刑、無期懲役となった「大逆事件」が起こりました。国全体が戦争へと突き進む中、宗祖の教えに生きんとし、非戦と平等を説いた当派僧侶・高木顕明師もこの事件に連座した一人でありました。
Ⅲ.主張
(1)思想や信条は、他から侵害されてはならないものです。そして、思想や信条の自由は、一人ひとりが声をあげてこそ守られるものと考えます。
(2)すべての人が共に生き合える同朋社会の実現をめざす教団として、テロ対策という名のもとに政府が市民を監視し、私たち個人の思想や言論、表現を統制しようとする今回の法案に対して、真宗大谷派は強く遺憾の意を表明し、廃案を求めます。
確かに、この法案は、「テロ対策という名のもとに政府が市民を監視し、私たち個人の思想や言論、表現を統制しようとする」ものです。
「思想や信条の自由は、一人ひとりが声をあげてこそ守られるもの」であるこらこそ、この法案に強く反対しなければなりません。