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「福島原発事故による避難者の損害賠償請求訴訟前橋地裁判決を受けての会長談話」を読む。

 前橋地裁は、2017年3月17日、東京電力福島第一原発事故で群馬県に避難した人や家族ら137人が国と東電に1人当たり1100万円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決を出した。
 このことについて、日本弁護士連合会は2017年3月17日、「福島原発事故による避難者の損害賠償請求訴訟前橋地裁判決を受けての会長談話」を発表した。
 この会長談話の要約は、次のものである。

Ⅰ.判決の意義


 全国で起こされている東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)事故による被害の賠償を求める集団訴訟の中で、初となる判決となったこと。


Ⅱ.判決の内容


 福島第一原発事故の原因について詳細に判示するとともに、国について、2007年(平成19年)8月頃には規制権限を行使すべきであったとし、同不行使についての違法性を認め、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)については、慰謝料の考慮要素としてではあるが、2002年(平成14年)中には原発の非常用電源設備を浸水させる程度の津波の到来が予見可能であり、現実に2008年(平成20年)5月にはその到来を予見していたと判示し、ともに賠償責任を認めた。


Ⅲ.判決の留意点


 当連合会は、福島第一原発の事故の原因が明らかにされるとともに、この事故によって被害を受けた住民に対して、被害の実情に即して必要かつ十分な賠償がなされるよう求めてきた。本判決がこのような要請に十分応えたものになっているかについてはなお検討を要するものである。


Ⅳ.日弁連としての主張


 日弁連は、次のことを求めることとしている。


(1)めて東京電力と国に対しては速やかに被害を受けた住民に十分な賠償を行うこと。
(2)原子力損害賠償紛争解決センターに対しては、被害者の個別事情に応じた賠償の和解仲介を行う運用に努めることを求めるとともに、国に対して、応急仮設住宅と民間借り上げ住宅の無償提供の本年3月末での打切りを撤回し、適切な措置を講じること。


 この判決内容のポイントについては、「東電は高い津波の到来を遅くとも02年に予見でき、08年には実際に予見していた。」、「東電が津波対策をとっていれば、原発事故は発生しなかった。」、「国も津波到来を予見できる状況だったのに、事故を未然に防ぐための命令を東電に出さなかった。」、と朝日新聞は指摘している。
 つまり、国及び企業のそれぞれの責任のあり方が、これからは問われると言うことである。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-22 12:57 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人