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前橋地裁は、東電は「実際に予見していた」、国は「事故を防ぐことは可能であった」、と判決を下す。

 朝日新聞は2017年3月17日、標題について、「原発避難訴訟、国に賠償命じる判決 『予見可能だった』」、と次のように報じた。


(1)東京電力福島第一原発事故で群馬県に避難した人や家族ら137人が国と東電に1人当たり1100万円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が17日、前橋地裁であった。原道子裁判長は、東電と国のいずれについても責任を認め、62人に対し計3855万円を支払うよう命じた。判決は津波の到来について、東電は『実際に予見していた』と判断。非常用ディーゼル発電機の高台設置などをしていれば『事故は発生しなかった』と指摘した。国についても『予見可能だった』とし、規制権限を行使して東電にこれらの措置を講じさせていれば『事故を防ぐことは可能であった』とした。原告の主張をほぼ認める判決となった。
(2)同様の訴訟は全国で約30件あり、約1万2千人が参加しているが、集団訴訟としては初めての判決。福島原発事故をめぐって、国の違法性についての初めての司法判断でもあり、国や東電の過失を認めるかが大きな争点だった。
(3)原告側は、政府が2002年7月に発表した『長期評価』で、福島第一原発沖を含む日本海溝での地震の発生確率が『30年以内に20%程度』とされていた点を重視。東電が08年5月、福島第一原発に15・7メートルの津波が来るとの試算を得ていたことなども指摘し、『津波は予見でき、防潮堤建設などで事故は防げた』と主張していた。」
(4)東電や国は、長期評価や試算について『確立した知見ではなかった』などとして、津波の予見可能性を否定。実際の津波は想定をはるかに超える規模で、事故は防げなかったと反論していた。
(5)国の審査会が示した「中間指針」に基づく東電の賠償額の合理性も争点だった。東電は国の避難指示区域内の住民に1人当たり月10万円の慰謝料を払っているが、自主避難者には4万~72万円を賠償している。
(6)原告の4割強は自主避難者で、原告側は「中間指針は機械的で、被害を償い切れていない」と訴えていた。東電は中間指針は合理的だと主張し、自主避難については「放射線への不安感や危機感を抱いたとしても、法的権利の侵害は生じていない」と争っていた。
(7)判決のポイント:①東電は高い津波の到来を遅くとも02年に予見でき、08年には実際に予見していた、②東電が津波対策をとっていれば、原発事故は発生しなかった、③国も津波到来を予見できる状況だったのに、事故を未然に防ぐための命令を東電に出さなかった。





by asyagi-df-2014 | 2017-03-18 11:58 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人