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四国電力伊方原発運転差し止め訴訟の第3回口頭弁論に傍聴してきました。

 四国電力伊方原発運転差し止め訴訟の第3回口頭弁論・第6回審尋が、2017年3月16日14時より、大分地方裁判所で開催されました。今回も傍聴参加と報告集会に参加してきました。
前回までと同様に第1法廷で開催された裁判に、今回もまた、傍聴抽選に漏れて法廷内には入れない人がでるほどの参加者が集まりました。
 この様子を、大分合同新聞は、次のように伝えています。


(1)「昨年8月に再稼働した四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転差し止めを求め、大分県内の住民4人が申し立てた仮処分の第6回審尋が16日、大分地裁であった。最大の争点となっている同原発の『基準地震動』(耐震設計の目安となる地震の揺れ)について、四国電側が『十分に信頼性、保守性が確保されている』と裁判官にプレゼンテーション(口頭説明)をした。前回の審尋で基準地震動が過小だとプレゼンをした住民側は会見し、『四国電は住民側が指摘した重要な論点にほとんど触れなかった』などと批判した。
(2)「これで双方のプレゼンは終了。住民側によると、地裁は5月11日の次回審尋までに質問事項を双方に示す予定。結審は次回、もしくは7月20日以降になる。住民側は、審理を担当してきた竹内浩史裁判長が春の異動で交代する可能性があるとの認識も示した。審尋は非公開。1月26日の前回審尋は住民側がプレゼンし、四国電が最大650ガルとしている基準地震動を巡り『地震予測には限界があり、基準地震動は科学では決められない』『福島のような事故を繰り返さないためには、できるだけ余裕を持って定められるべきだ』などと訴えていた。」
(3)「この日の審尋で、四国電は土木建築部門の社員が説明。原発の敷地や周辺で十分な調査をして地域特性を把握し、信頼性の高い手法を使った上で、過去の地震の知見などを踏まえたさまざまな『不確かさ』を保守的に考慮している―と主張した。」
(4)審尋の前には県民264人が起こした伊方2、3号機差し止め訴訟の第3回口頭弁論もあった。原告でグリーンコープおおいた理事長の宇都宮陽子さん(51)=大分市=が『大分の目の前にある伊方原発は子どもたちの未来、『いのち』を脅かすものでしかない』と意見陳述した。」


今回も、本訴訟は、30分のほどの時間で終了しました。
 実は、宇都宮陽子弁護士が、意見陳述を行ったのですが、原告側の弁護士の不手際からの混乱(徳田弁護士談)があり、裁判長の「聞いていない」「いつも意見陳述を認めているわけではない」といった「声」を聞かされました。
 しかし、宇都宮陽子弁護士の「本日は、母として、女として、原発を無くしたいと願う私の思いをお伝えします。」、という意見陳述の主張は、素晴らしく心に響きました。
 それは、次のようなものでした。


(1)チェルノブイリ原発事故後のベラルーシに行かれた方から視察の様子を詳しく聞く機会を得ました。・・・この時、はっきりと私の中で、原発は、子どもたちの「いのち」を脅かすものでしかないと実感しました。
(2)チェルノブイリ原発事故の後、誰もが、このような事故は二度と起きてはならないと願いました。けれど、その教訓は、活かされませんでした。
(3)国は、空間線量の数値が下がった事で避難区域の解除を進めています。そのような中では、彼女たちは、不安さえも声にできない状況であり、それでもなお、福島で子どもを育てていかなければならない苦悩を抱えています。私もその苦悩を、同じ母親として、痛いほどに感じました。「どうか私たちの声を聞いてください。」と訴える彼女の声、それは、我が子の無事を願うすべての母親の声でもあります。
(4)私の選択は、揺るぎないものとなりました。常に「子どもたちのために」と考えることで、何をすべきかがより明確になりました。


 宇都宮さんは、意見陳述の最後を、「どうか母たちの声を聞いて下さい。」と次のように訴えました。


(1)「子どもたちのために原子力発電所は必要か」そう問われれば、私は、即座に「NO」と答えます。それは、「いのち」を生みだす女として、「いのち」を育む母として、子どもたちの未来に責任を持つ者としての義務だと考えます。
(2)原発は、一度事故が起きれば容赦なく子どもたちを犠牲にします。原発事故は、何よりも重い「いのち」と共存できないことを私たちに知らしめています。
(3)原発の過酷事故が、「想定外」の言葉の下で繰り返されてきた事実を見ると、「もう決して起きることはない」とどんなに説明を受けても信じることはできません。
(4)しかし、現状では、政府と電力会社は、性懲りも無く原発の再稼働を進め、再稼働した伊方原発は、私たちの暮らしのすぐ近くにあります。何よりも重い「いのち」のために、政府と電力会社が原発を止めないのであれば、司法の場で、この裁判が最後の歯止めになるしかありません。ふるさと大分の目の前にある伊方原発は、子どもたちの未来を、「いのち」を、脅かすものでしかない。直ちに停止することを切に願い、私の意見陳述を終わります。


 さて、報告集会での各弁護士の気になる発言は次のものでした。
 小森弁護士は、仮処分に関して、「大津地裁の判決であれば、四国電力に主張立証責任
がるのだから、四国電力は勝てるはずがない。」、「次回審尋までに、裁判所は疑問等を出す予定になっている。」、と今後の仮処分に関して説明しました。また、「『3.11』の反省から、危険を考えて早く決定が出されるようにしなければならない。」、との強い想いが伝わりました。
 河合弁護士は、審尋における四国電力側のプレゼンについて、「我々のプレゼンを聞いたのか。内容が私たちの反論を含んでいない。重要な論点には触れなかった。」、と説明しました。また、「仮処分に運動が移ってきている。電力会社をそれを嫌がっている。」、「自然エネルギーは『コスト』ですでに優位になっている。安心して闘っていい。」、と「私は弁護士ではなく、監督だ。」との笑顔とともに東京に帰って行かれました。
 徳田弁護士は、本日の審尋で明らかになったことと、仮処分がこれからの裁判闘争の中心になるなかでの本訴訟の意義について、次のようにまとめてくれました。


(1)四国電力は、650ガル以上の地震があれば伊方原発は危ないということを前提にしていること。
(2)四国電力は、「3.11」以前の基準に沿っており、「3.11」以後の知見が生かされていない。
(3)本訴は、大分県民の怒りと想いを伝えるのが大きな役割である。この意味で、4万5000筆の署名提出の意味は大きい。また、仮処分が4県から起きていることも意味がある。


 この徳田弁護士の指摘を活かすために、第4回公開口頭審理・第7回審尋を人の波で覆い尽くし、私たちの息づかいを裁判官に重ねましょう。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-18 06:34 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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