「現状では強い対応を取る必要はないと判断している」、と三反園訓鹿児島知事は、川内原発運転の容認。
2017年 02月 23日
毎日新聞は2017年2月23日、川内原発の運転について、「鹿児島県の三反園訓知事は22日の県議会で、運転中の九州電力川内(せんだい)原発1号機(同県薩摩川内市)について「現状では強い対応を取る必要はないと判断している」と述べた。川内原発の安全性などを議論する県の専門家委員会が16日、1号機に「熊本地震の影響はなかった」とする意見書を県に提出したことを受け、運転を容認する考えを初めて表明した。自民県議の代表質問への答弁。」、と報じた。
毎日新聞は、このことについて次のように続けた。
(1)「専門委員会において専門的見地から熱心で活発な質疑が交わされた結果、問題があるとの意見は出されませんでした」。22日の鹿児島県議会に大島紬(つむぎ)の和服姿で臨んだ三反園訓知事は、少し早口でこう述べ、川内原発1号機の運転を容認した。
(2)昨年7月の初当選から半年余り。選挙中から公約に掲げた脱原発政策を大きく後退させた瞬間だったが議場からのヤジはなく、知事は用意したペーパーを顔を上げることもなく淡々と読み上げ、わずか1分ほどで答弁を終えた。
(3)議場を出た知事を取り囲んだ報道陣にも、知事は詳しい説明をしなかった。「本会議の発言は、述べた通りでそれ以上でもそれ以下でもない」「再生可能エネルギーを推進して原発に頼らない社会を作るという方針に全く変わりはない」。報道陣の「運転を容認したということでいいのか」との質問に対し、知事は一方的に言い放つと、足早に立ち去った。
(3)「(今後の専門委の議論で)問題あるということになれば九電に強い対応を取ることに変わりありません」。知事は議場での答弁でも、議会後の報道陣の取材でも従来の主張を繰り返し、「変節」や「公約違反」という批判に強く反発する。ただ専門委は今後も、原発そのものの安全性に関して踏み込んだ議論をする予定はなく、知事の説明を額面通りに受け止める声は少ない。
(4)原発容認の立場から代表質問で壇上に立った自民の長田(おさだ)康秀議員は、知事の答弁によっては再質問することも考えていたという。見送った理由について「『問題があれば強い対応を取る』ということは、つまり現状は安全・安心だということだ。知事が再び九電に(川内原発の)停止要請をすることはなくなった」と語る。
(5)専門委の判断を盾に県民を二分した議論に幕引きを図ろうとする三反園知事。専門委設置などの政策協定を結ぶ代わりに知事選出馬を取りやめた反原発団体代表の平良行雄さん(57)は憤る。「あの政策協定は何だったのか。結局、委員会はアリバイ作りだったのだろう。『脱原発』は選挙で勝つための方便だったとしか思えない」
(6)元鹿児島県庁職員の有馬晋作・宮崎公立大教授(行政学)は「伊藤祐一郎前知事は自分のポリシーで川内原発再稼働に同意し、自分の考えを語ったが、三反園知事はスタンスが見えない。将来、川内原発周辺で熊本地震並みの地震があったときに大丈夫かといった県民の疑問に真摯(しんし)に答えるべきだ」と指摘した。
実は、毎日新聞は2016年12月11日の社説で、「鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事の変節ぶりに、多くの県民が疑念を抱き、不信を募らせているのではないか。」、と懸念を表明していた。
具体的には、次の疑問を挙げていた。
(1)定期検査で10月から停止中だった九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が、運転を再開した。知事は脱原発を掲げて7月に初当選した。ところが、今回の運転再開については、「私に稼働させるかどうかの権限はない」などとして明言を避け、事実上容認した。知事選で公約した原発の安全性などを検証する県独自の検討委員会の設置も、川内1号機の運転再開には間に合わなかった。知事は9月の県議会で、運転再開も含め「検討委の提言を踏まえて県の対応を総合的に判断する」と述べていた。なぜ、有権者との約束を破ることになったのか。その理由をきちんと説明する責務が知事にはある。
(2)さらに疑問なのは、知事が、検討委のメンバーは議案可決まで公表できないとしていることだ。「予算成立後に委嘱する前提で依頼している」ためだというが、検討委の公正さを確保するためには、氏名を明らかにして県議会に諮るのが筋だろう。知事は市民団体と政策合意をした際に、検討委には「反原発の方々など幅広い人に入ってもらう」と述べていた。にもかかわらず、県議会では「約束したかどうか記憶が定かではない」と答弁した。
(3)脱原発は、知事選を有利に戦うための打算の産物だったのか。原発を止める権限はなくとも、原発に対する県民の不安を解消し、安全を確保する義務が知事にはある。脱原発を掲げた真意が問われている。
さて、「脱原発は、知事選を有利に戦うための打算の産物だったのか。原発を止める権限はなくとも、原発に対する県民の不安を解消し、安全を確保する義務が知事にはある。脱原発を掲げた真意が問われている。」なかでの知事の判断である。
今回のことは、知事の真意がはっきりしたということだ。