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第3次嘉手納爆音訴訟(3)-沖縄タイムス20170223より-

 琉球新報は2017年2月23日、第3次嘉手納爆音訴訟の判決について、琉球新報は2017年2月23日、「米軍嘉手納飛行場の周辺住民2万2048人が国を相手に、夜間・早朝の米軍機飛行差し止めや騒音被害に損害賠償を求めた第3次嘉手納爆音訴訟の判決が23日午前、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)で言い渡された。藤倉裁判長は差し止めの訴えを退け、過去分の損害賠償の支払いのみを命じた。」、と報じた。
 実は、このことについて、沖縄タイムスは2017年2月23日、「米軍嘉手納基地周辺の住民2万2千人余が、米軍機の深夜早朝の飛行差し止めや損害賠償などを求めた第3次嘉手納爆音訴訟の判決が23日、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)である。飛行差し止めに向け、住民側が最も重視して立証した騒音による健康被害を裁判所は認めるのか。判決を前に、争点や、嘉手納の特徴である夜間騒音の現状と健康に及ぼす影響をまとめた。」、と報じていた。
 第3次嘉手納爆音訴訟の判決を考えるために、この記事で考える。
沖縄タイムス次のように伝える。


Ⅰ.<住民の健康被害>「毎年4人が死亡」立証


(1)2011年4月に提訴した第3次嘉手納爆音訴訟で住民側は、(1)午後7時~午前7時まで全ての米軍機の離着陸禁止(夜間、早朝の飛行差し止め)、エンジン調整音などの騒音を40デシベル以下に制限(2)午前7時~午後7時まで騒音を65デシベル以下に制限(3)過去・将来分の損害賠償-を求めている。国側は請求を退けるよう求めている。
(2)住民側が飛行差し止めの主張で最大の争点と位置づけるのが「騒音と健康影響の因果関係」で、裁判所の判断が注目される。
(3)住民側は3次訴訟で、夜間騒音に着目。睡眠妨害などを通じ、心臓血管系疾患や精神機能への影響といった健康被害が生じていると主張している。「騒音に起因し同基地周辺では毎年4人が死亡」と主張する専門家の証人尋問も実施した。一方で国側は、日本政府には、主権が及ばない米軍機の差し止めを命じることはできないという「第三者行為論」を展開。差し止めや過去分の損害賠償の請求を棄却し、将来分の賠償請求の却下を求めている。


Ⅱ.<騒音防止協定>年1000回超の違反

(1)米軍嘉手納基地では、日米が合意した航空機騒音規制措置(騒音防止協定)が形骸化している。深夜・早朝(午後10時~翌朝6時)に70デシベル以上の騒音発生は嘉手納と屋良の両地区で特に激しい。2014~15年度はいずれも年間千回超。屋良地区の16年度は、前年度の1620回を上回るペースで推移。安眠が妨げられる異常が恒常化し、さらに悪化していることが町測定データから読み取れる。
(2)騒音防止協定は深夜・早朝の米軍機の飛行が規制されるが、「運用上必要な場合を除く」との文言によって住民の被害が続いている。16年10月には米本国の空軍に所属するF16戦闘機が未明に2日連続で離陸。100デシベル前後の爆音が測定された。100デシベルは「電車通過時の線路のわき」に相当し、長時間さらされると難聴になるとされる。
(3)町は嘉手納と兼久、屋良の3地区で継続的に騒音を測定。「電話のベル(1メートル)」の大きさで、血圧上昇の影響が出るとされる70デシベル以上の回数をまとめている。最も激しい屋良地区の年間発生は14年度が1403回、15年度は1620回。16年度は2カ月間を残した1月末現在で1495回測定されており、このペースだと2年連続の増となる。


Ⅲ.<夜間の地上音>騒音の実態把握必要

(1)今回の判決では、嘉手納基地の特徴である夜間早朝の騒音、特に充電やエンジン調整などの地上音による被害をどう評価するかがポイントになる。飛行音に加え激しい地上音が、住民の睡眠を妨げ健康に影響するとされるからだ。だが、賠償の基準になっている国の騒音コンターは、飛行音が評価対象の「うるささ指数(W値)」をもとにしており、地上音はほぼ反映されていない。そのため住民側は、被害の実態を評価するには、地上音を含む夜間騒音の把握が必要と指摘。さらに、健康影響との関連を詳しく示した「欧州夜間騒音ガイドライン」のような視点が必要だと訴えている。
(2)同ガイドラインは、「夜間に屋外で40デシベルを超える騒音にさらされた住民には健康への悪影響が生じる」、50デシベルで高血圧や心筋梗塞、60デシベルでは精神障害の発症リスクが高まるとする。松井利仁北海道大教授(環境衛生学)作成の地上音を含む夜間騒音コンターによると、40デシベル超は嘉手納町全域、北谷町ほぼ全域、沖縄市や読谷村、うるま市の一部と本島中部の広範囲に及ぶ。飛行音の最大騒音レベルでは中部ほぼ全域で睡眠妨害が生じるとされる「60デシベル」の発生を推定している。


Ⅳ.<基地周辺の現状>外来機増 悪化の一途

(1)米軍嘉手納基地周辺では近年、外来機による騒音被害が増している。その上、さらなる悪化につながる情報が相次いでいる。騒音が激しいF35戦闘機や空軍のCV22オスプレイの飛来などの基地機能の強化、騒音コンター(分布図)見直しによる救済範囲の大幅縮小、旧海軍駐機場の使用などだ。同基地運用の先行きを巡る住民の反発と懸念は高まっている。周辺自治体や議会などはその都度、住民被害をなくすよう日米の関係機関に訴えるが、現時点で解消につながる日米両政府の正式な見解は示されていない。
(2)そんな中、住民から大きな反発の声が上がったのは旧海軍駐機場の空軍による使用だ。日米両政府は約20年前、負担軽減策として旧海軍駐機場を滑走路反対側の沖縄市側に移すことで合意したが、ほごにされた。嘉手納町屋良側にあった駐機場は昼夜を問わぬエンジン調整によって騒音や悪臭被害をまき散らしてきた。ことし1月ようやく全機が移された。旧駐機場は騒音を発生する使用は許されないことが嘉手納町や日本政府側の認識。しかし、米本国から飛来した空軍の外来機が使い、エンジン調整で騒音を発生させた。


 しかし、判決は、「藤倉裁判長は差し止めの訴えを退け、過去分の損害賠償の支払いのみを命じた。」、という結果でしかなかった。
 やはり、、弁護団長・池宮城紀夫氏の「この訴訟は、日本の主権のあり方を問うものだ。裁判所は騒音被害の賠償は認めても、米軍機の飛行差し止めは認めない。原告は、被害を受けながら生きろということなのか。裁判官は憲法が保障する基本的人権を尊重し、勇気を出して差し止めを認めてほしい。命を守ってほしい。」、原告団長・新川秀清氏の「厳しい判決を予想しているが、引き下がるわけにはいかない。専門家が『命に影響する』と証言した爆音に、私たちは母親の胎内にいるときからさらされている。『静かな夜を』という当たり前の願いを正面から受け止め、国民の命や権利を守る司法であってほしい。」、との「声」が、どのように活かされたのかまたは活かされなかったのかについて、検証しなければならない。




by asyagi-df-2014 | 2017-02-23 13:12 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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