原発問題-ベトナム、原発白紙へ決議案提出
2016年 11月 12日
東京新聞は2016年11月11日、標題について次のように報じた。
(1)「ベトナム政府は十日、日本などが支援する中部ニントゥアン省の原発建設計画の白紙撤回を求める決議案を国会に提出した。二十二日に採決の予定で、提案通り可決される可能性が高い。同国国会のレ・ホン・ティン科学技術環境委員会副委員長は十日、国営インターネット新聞『ザンチ』などに対し、想定を大幅に上回る建設コストや財政難、核廃棄物への懸念などが撤回の理由と述べた。」
(2)「ザンチによると、ティン氏は、原発建設コストが想定の二倍近くとなることが見込まれ、発電コスト上昇も避けられないと指摘。『もし(このような)大規模プロジェクトに投資し続けると、公的債務がさらなるリスクとなる』と述べた。また、今年四月に中部ハティン省などで台湾企業の排水が原因で魚が大量に死ぬ事件が発生して以降、原発建設による環境悪化への懸念が高まっていると述べた。さらに建設予定地が南シナ海に面し、中国などと領有権を争う島々に比較的近い点を指摘。南シナ海問題を巡る緊張が高まる中、戦略的に重要な地点への原発建設に懸念があることを示唆した。」
(3)「ベトナム政府は税収不足などによる慢性的財政赤字に苦しんでいる。国営メディアによると、国内総生産(GDP)に対する公的債務の比率は国会が設定した上限の65%に迫る勢いだ。」
(4)「ベトナム国会は二〇〇九年、ニントゥアン省の二カ所に原発を建設する計画を承認。日本とロシアが建設受注を決めていた。当初計画の総事業費は約二百兆ドン(約九千四百億円)。しかしその後に発生した東京電力福島第一原発事故を受け、これまで以上の安全性確保が求められるようになり計画は延期。現在も着工に至っていない。」
(5)<ベトナムの原発計画> ベトナム国会は2009年、中部ニントゥアン省の2カ所に原発を2基ずつ建設する計画を承認。いずれも100万キロワット級。フォックジン地区の第1原発はロシアが、ビンハイ地区の第2原発は日本が、それぞれ受注を決めた。当初計画では初の原発が14年に着工、20年に稼働予定だったが、延期が繰り返されている。これまでの計画では第1原発の稼働予定は28年、第2原発の稼働予定は29年だった。
以下、東京新聞の引用。
東京新聞-ベトナム、原発白紙へ決議案提出 「コストや環境悪化懸念」-2016年11月11日
【ハノイ=共同】ベトナム政府は十日、日本などが支援する中部ニントゥアン省の原発建設計画の白紙撤回を求める決議案を国会に提出した。二十二日に採決の予定で、提案通り可決される可能性が高い。
同国国会のレ・ホン・ティン科学技術環境委員会副委員長は十日、国営インターネット新聞「ザンチ」などに対し、想定を大幅に上回る建設コストや財政難、核廃棄物への懸念などが撤回の理由と述べた。
ザンチによると、ティン氏は、原発建設コストが想定の二倍近くとなることが見込まれ、発電コスト上昇も避けられないと指摘。「もし(このような)大規模プロジェクトに投資し続けると、公的債務がさらなるリスクとなる」と述べた。
また、今年四月に中部ハティン省などで台湾企業の排水が原因で魚が大量に死ぬ事件が発生して以降、原発建設による環境悪化への懸念が高まっていると述べた。
さらに建設予定地が南シナ海に面し、中国などと領有権を争う島々に比較的近い点を指摘。南シナ海問題を巡る緊張が高まる中、戦略的に重要な地点への原発建設に懸念があることを示唆した。
ベトナム政府は税収不足などによる慢性的財政赤字に苦しんでいる。国営メディアによると、国内総生産(GDP)に対する公的債務の比率は国会が設定した上限の65%に迫る勢いだ。
ベトナム国会は二〇〇九年、ニントゥアン省の二カ所に原発を建設する計画を承認。日本とロシアが建設受注を決めていた。当初計画の総事業費は約二百兆ドン(約九千四百億円)。しかしその後に発生した東京電力福島第一原発事故を受け、これまで以上の安全性確保が求められるようになり計画は延期。現在も着工に至っていない。
<ベトナムの原発計画> ベトナム国会は2009年、中部ニントゥアン省の2カ所に原発を2基ずつ建設する計画を承認。いずれも100万キロワット級。フォックジン地区の第1原発はロシアが、ビンハイ地区の第2原発は日本が、それぞれ受注を決めた。当初計画では初の原発が14年に着工、20年に稼働予定だったが、延期が繰り返されている。これまでの計画では第1原発の稼働予定は28年、第2原発の稼働予定は29年だった。 (共同)