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大分県警別府署員が野党支援団体の入る建物の敷地に無断で隠しカメラを設置していた問題。(5)

 標題について、大分合同新聞は2016年9月22日、その1面で、「警察官4人略式起訴 署長らは不起訴」、と次のように報じた。


(1)参院選の選挙違反捜査のため、野党候補の支援団体などが入る別府市内の建物の敷地に別府署員が無断で侵入してビデオカメラを設置し、隠し撮りをした事件で、別府区検は21日、設置を指示したとして建造物侵入の疑いで書類送検された当時の同署刑事官、阿南和幸警視(53)ら警察官4人を別府簡裁に略式起訴した。他に同容疑で告発されていた署長(56)と副署長(52)の2人は大分地検が同日、不起訴処分とした。
(2)地検の山本保慶次席検事は「設置型のカメラを使って多数の人を撮ったのは、やりすぎ。管理者に断りなく何度も敷地に立ち入っており、不適正な捜査が背景にあったことを考慮して処分した」と説明した。他に略式起訴されたのは▼当時の同署刑事2課長、守口真一警部(49)▼同課の男性係長(33)▼同課の男性主任(31)―の計3人。
(3)地検などによると、4人は共謀し、参院選公示前の6月18日午後11時15分ごろから同21日午後9時5分ごろまでの間、連合大分東部地域協議会や別府地区平和運動センターなどが入る「別府地区労働福祉会館」(別府市南荘園町)の敷地に正当な理由なく計5回、侵入した。カメラの設置や記録媒体の交換のために実際に侵入したのは係長と主任の2人。上司だった残る2人は指示・容認したという。
(3)大分県警が8月26日に4人を送検した容疑では、侵入回数は計7回とされていた。県警は「最初の2回は、隣接する裏の斜面から立ち入った。無断侵入との認識はなかった」と説明している。区検はこうした点を踏まえ、当初の2回の侵入は「犯罪事実と認められない」と判断し、侵入回数を計5回と認定したとみられる。
(3)略式起訴は、公開の裁判ではなく、書類上の審理によって罰金や科料の財産刑を科すよう裁判所に求める簡易な手続き。山本次席検事は「関係証拠を精査し、過去の類似の事案、処分を総合考慮し、罰金刑を科すのが相当な事案だと考えた」と略式起訴を選んだ理由を説明。「今回の処分を県民に納得してもらいたいと考えている」と述べた。地検は略式起訴した4人に求刑した罰金額を明らかにしていない。
(5)地検は、4人と共に8月30日付で告発された署長、副署長の2人は「関与を認めるに足りる証拠はなかった」と判断し不起訴処分とした。告発していた大分市内の高校教諭早島浩一さん(56)は「検察に期待していただけに残念」と話し、大分検察審査会に不起訴処分を不服として審査を申し立てることを視野に対応を検討する。


 また、大分合同新聞は同日、「別府地区平和運動センターは21日、別府署が隠しカメラを設置していた別府地区労働福祉会館(別府市)で、隠しカメラの違憲性を考える集会を開いた。」、と伝えた。
 特に、この集会での様子について、「講師を務めた岡村正淳弁護士は、捜査のための撮影が許容される限度を示した1969年の最高裁判例などを紹介し、『無差別に何日間も撮影した今回の事件は判例から懸け離れており、憲法違反の行為と言わざるを得ない』と批判した。建造物侵入罪での立件にとどまっていることについても『県警はカメラによる撮影を【不適切】と認めてはいるが、違法な情報収集への真摯(しんし)な反省があるか疑わしい』と述べた。」、と伝えた。


 「無差別に何日間も撮影した今回の事件は判例から懸け離れており、憲法違反の行為と言わざるを得ない」、とする岡村弁護士の判断と、検察側の「山本次席検事は『関係証拠を精査し、過去の類似の事案、処分を総合考慮し、罰金刑を科すのが相当な事案だと考えた』と略式起訴を選んだ理由を説明。」、との考え方の違いに、唖然とする。
 また、「建造物侵入罪での立件にとどまっていることについても『県警はカメラによる撮影を【不適切】と認めてはいるが、違法な情報収集への真摯(しんし)な反省があるか疑わしい』、という指摘は、権力側の歪みや奢りを鋭く突いている。


 この事件の本質は、「本件によって、市民の政治活動の自由、表現の自由等、民主主義社会において最も尊重されるべき権利が侵害される可能性を考慮すれば、その弊害は甚大であり、今後このような違法な捜査方法が採られるべきではない。」(日弁連会長声明)、ということにある。


 以下、大分合同新聞の引用。









大分合同新聞- 警察官4人略式起訴 署長らは不起訴- 2016年9月22日


 参院選の選挙違反捜査のため、野党候補の支援団体などが入る別府市内の建物の敷地に別府署員が無断で侵入してビデオカメラを設置し、隠し撮りをした事件で、別府区検は21日、設置を指示したとして建造物侵入の疑いで書類送検された当時の同署刑事官、阿南和幸警視(53)ら警察官4人を別府簡裁に略式起訴した。他に同容疑で告発されていた署長(56)と副署長(52)の2人は大分地検が同日、不起訴処分とした。
 地検の山本保慶次席検事は「設置型のカメラを使って多数の人を撮ったのは、やりすぎ。管理者に断りなく何度も敷地に立ち入っており、不適正な捜査が背景にあったことを考慮して処分した」と説明した。
 他に略式起訴されたのは▼当時の同署刑事2課長、守口真一警部(49)▼同課の男性係長(33)▼同課の男性主任(31)―の計3人。
 地検などによると、4人は共謀し、参院選公示前の6月18日午後11時15分ごろから同21日午後9時5分ごろまでの間、連合大分東部地域協議会や別府地区平和運動センターなどが入る「別府地区労働福祉会館」(別府市南荘園町)の敷地に正当な理由なく計5回、侵入した。カメラの設置や記録媒体の交換のために実際に侵入したのは係長と主任の2人。上司だった残る2人は指示・容認したという。
 大分県警が8月26日に4人を送検した容疑では、侵入回数は計7回とされていた。県警は「最初の2回は、隣接する裏の斜面から立ち入った。無断侵入との認識はなかった」と説明している。区検はこうした点を踏まえ、当初の2回の侵入は「犯罪事実と認められない」と判断し、侵入回数を計5回と認定したとみられる。
 略式起訴は、公開の裁判ではなく、書類上の審理によって罰金や科料の財産刑を科すよう裁判所に求める簡易な手続き。山本次席検事は「関係証拠を精査し、過去の類似の事案、処分を総合考慮し、罰金刑を科すのが相当な事案だと考えた」と略式起訴を選んだ理由を説明。「今回の処分を県民に納得してもらいたいと考えている」と述べた。地検は略式起訴した4人に求刑した罰金額を明らかにしていない。
 地検は、4人と共に8月30日付で告発された署長、副署長の2人は「関与を認めるに足りる証拠はなかった」と判断し不起訴処分とした。告発していた大分市内の高校教諭早島浩一さん(56)は「検察に期待していただけに残念」と話し、大分検察審査会に不起訴処分を不服として審査を申し立てることを視野に対応を検討する。

「厳粛に受け止める」 県警本部長
 松坂規生県警本部長は「この結果を厳粛に受け止め、不適正捜査を二度と起こさないよう職員の指導・教育を徹底し、県民の信頼回復に向けて取り組んでいきたい」とのコメントを出した。


大分合同新聞-違憲性考える集会-2016年9月22日


 別府地区平和運動センターは21日、別府署が隠しカメラを設置していた別府地区労働福祉会館(別府市)で、隠しカメラの違憲性を考える集会を開いた。
 別府市などの労働団体から約130人が参加。講師を務めた岡村正淳弁護士は、捜査のための撮影が許容される限度を示した1969年の最高裁判例などを紹介し、「無差別に何日間も撮影した今回の事件は判例から懸け離れており、憲法違反の行為と言わざるを得ない」と批判した。建造物侵入罪での立件にとどまっていることについても「県警はカメラによる撮影を『不適切』と認めてはいるが、違法な情報収集への真摯(しんし)な反省があるか疑わしい」と述べた。
 集会では、隠しカメラ設置に対する抗議と徹底した真相究明を求める決議を採択した。同センターの酒井純議長は「警察による隠しカメラ設置は平和と民主主義を守る活動の抑圧につながる。このことを問題だと思う姿勢を強く持ち続けていきたい」と話していた。


by asyagi-df-2014 | 2016-09-22 09:17 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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