沖縄-やんばる国立公園が誕生。次は、世界自然遺産登録。
2016年 09月 16日
2016年9月15日、島北部の国頭、東、大宜味3村にまたがる陸域と海域約1万6300ヘクタールが、正式に国立公園に指定された。
このことについて、琉球新報は、「本島北部の国頭、東、大宜味3村にまたがる陸域と海域約1万6300ヘクタールが15日、『やんばる国立公園』として官報に告示され、正式に国立公園に指定された。完全な新規での国立公園指定は2014年の慶良間諸島以来で、33カ所目となる。北部3村は15日午前、国立公園化を記念する旗をそれぞれの役場に掲げ、指定を喜んだ。」、と報じた。
また、「国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、固有動植物や希少動植物が生息し、多様な生態系が複合的に一体となった景観が特徴で、10年度に実施された国立・国定公園総点検事業で『わが国を代表する傑出した地域である』などと評価されていた。政府は指定地域を含む『奄美・琉球』について、世界自然遺産登録を目指す考えで、国立公園化によって開発を規制し、環境を守る体制を強める。」、と伝えた。
さらに、琉球新報は2016年9月15日、その社説で、「やんばる国立公園 生態系保護へ大きな一歩」、と伝えた。
このなかで、「国立公園指定は貴重な生態系を守る大きな一歩である。政府は今後、国立公園指定地域を含む『奄美・琉球』の世界自然遺産登録を目指している。しかし、米軍北部訓練場の存在が自然遺産登録の最大の阻害要因になるだろう。やんばるの森全体を守るために、北部訓練場を無条件全面返還させなければ、画竜点睛を欠く。」、と鋭く指摘した。
その問題点を次のように伝えた。
①「指定区域は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、ヤンバルクイナやノグチゲラなど多数の固有種が生息している。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されている国際的希少種の生息・生育地となっており、世界的に見ても生物多様性の保全上、極めて重要な地域だ。にもかかわらず、やんばるの生態系は脅かされてきた。日本最大の甲虫で国の天然記念物ヤンバルテナガコガネは、違法な捕獲が横行していた。ヤンバルクイナは交通事故の犠牲になったり、野ネコやマングースによって捕食されたりして個体数が減少傾向にある。」
②「国立公園の特別保護地区内では全ての動植物の捕獲採取が禁止される。国立公園化で規制を強化し、生態系保全につなげたい。」
③「一方、米軍北部訓練場は国立公園指定区域から除外された。指定区域と一体となった豊かな自然がありながら、国の管理が及ばない米軍施設だからだ。連日、貴重な自然を破壊するヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設が強行されている。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイや米軍ヘリの飛行は生態系に悪影響を及ぼす。北部訓練場を全面返還させ、生態系の保護と破壊が同時に進む矛盾を早急に解消しなければならない。」
また、地元経済との関連について、「自然との共生を基軸にしたエコツーリズムが基幹産業になる可能性がある。ホテルや民泊の客には、地元農産物を提供することを徹底したい。県外や海外からの食材を提供するのでは、せっかく観光で稼いだ金を外に流出させてしまう。地元の農家に還元し、持続可能な地域づくりにも結び付けたい。」、と伝えた。
琉球新報は、「国立公園化によって、やんばるの森の素晴らしさが国内外に発信される。森の保護が国全体の課題になったことは間違いない。」、と。
以下、琉球新報の引用。
琉球新報-やんばる国立公園が誕生 世界遺産登録へ保護強化 北部3村決定喜ぶ-2016年9月15日 10:18
【東京】本島北部の国頭、東、大宜味3村にまたがる陸域と海域約1万6300ヘクタールが15日、「やんばる国立公園」として官報に告示され、正式に国立公園に指定された。完全な新規での国立公園指定は2014年の慶良間諸島以来で、33カ所目となる。北部3村は15日午前、国立公園化を記念する旗をそれぞれの役場に掲げ、指定を喜んだ。
国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、固有動植物や希少動植物が生息し、多様な生態系が複合的に一体となった景観が特徴で、10年度に実施された国立・国定公園総点検事業で「わが国を代表する傑出した地域である」などと評価されていた。政府は指定地域を含む「奄美・琉球」について、世界自然遺産登録を目指す考えで、国立公園化によって開発を規制し、環境を守る体制を強める。
【琉球新報電子版】
琉球新報社説-やんばる国立公園 生態系保護へ大きな一歩-2016年9月15日
国立公園指定は貴重な生態系を守る大きな一歩である。政府は今後、国立公園指定地域を含む「奄美・琉球」の世界自然遺産登録を目指している。
しかし、米軍北部訓練場の存在が自然遺産登録の最大の阻害要因になるだろう。やんばるの森全体を守るために、北部訓練場を無条件全面返還させなければ、画竜点睛を欠く。
指定区域は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、ヤンバルクイナやノグチゲラなど多数の固有種が生息している。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されている国際的希少種の生息・生育地となっており、世界的に見ても生物多様性の保全上、極めて重要な地域だ。
にもかかわらず、やんばるの生態系は脅かされてきた。日本最大の甲虫で国の天然記念物ヤンバルテナガコガネは、違法な捕獲が横行していた。ヤンバルクイナは交通事故の犠牲になったり、野ネコやマングースによって捕食されたりして個体数が減少傾向にある。
国立公園の特別保護地区内では全ての動植物の捕獲採取が禁止される。国立公園化で規制を強化し、生態系保全につなげたい。
一方、米軍北部訓練場は国立公園指定区域から除外された。指定区域と一体となった豊かな自然がありながら、国の管理が及ばない米軍施設だからだ。連日、貴重な自然を破壊するヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設が強行されている。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイや米軍ヘリの飛行は生態系に悪影響を及ぼす。北部訓練場を全面返還させ、生態系の保護と破壊が同時に進む矛盾を早急に解消しなければならない。
地元経済との関連では、自然との共生を基軸にしたエコツーリズムが基幹産業になる可能性がある。
ホテルや民泊の客には、地元農産物を提供することを徹底したい。県外や海外からの食材を提供するのでは、せっかく観光で稼いだ金を外に流出させてしまう。地元の農家に還元し、持続可能な地域づくりにも結び付けたい。
国立公園化によって、やんばるの森の素晴らしさが国内外に発信される。森の保護が国全体の課題になったことは間違いない。