大分合同新聞は、「四電は近く伊方原発を再稼働させる。先人の知恵と自然の恵みでおいしく育つミカンに、四つ目となる原発の光や熱はそぐわない。」、と。
2016年 07月 24日
大分合同新聞は2016年7月20日、「東西南北」で、「四電は近く伊方原発を再稼働させる。先人の知恵と自然の恵みでおいしく育つミカンに、四つ目となる原発の光や熱はそぐわない。」、と詩情豊かに主張して見せた。
大分合同新聞の「東西南北」が、こんな主張を載せることに、いい意味の驚きが隠せない。
「東西南北」は、こんなふうに始める。
「地図帳で日本中を探してみたが、愛媛県佐田岬半島ほど細長い半島はない。半島を尾根線沿いに縦断するメロディーラインだと、三崎港から八幡浜間は車で1時間弱。伊方町内は信号もなければ人家もない」
そして、そこでの営みを描く。
「半島には海沿いの入り江ごとに小さな集落があり、集落同士を細い道路がつなぐ。1987年のメロディーライン開通前は、路線名の国道197号をもじって「行くな酷(こく)道」と呼ばれていた」
「変化に富んだ地形には半農半漁の暮らしが息づく。自慢は愛媛が日本一を誇る温州ミカンだ。宇和海を望む南向き斜面に石を積み上げ、ミカン畑を造成した。太陽の光、宇和海からの反射光、石垣からの放射熱と三つの光や熱を浴びてミカンは育つ」
でも、今は。
「島の根元に四国電力伊方原発がある。眼前に伊予灘が広がり、対岸に大分もある。原発の西に暮らす人たちは約5千人。細長い半島故に事故時には半島は分断され、海路で大分に避難するしかない。何より放射性物質が飛散すれば瀬戸内海は“死の海”になるだろう。関西も含む西日本は壊滅するに違いない」
だから、こうのように問いかける。
「5年前に東京電力福島第1原発の事故を体験し、原発の安全神話は崩壊した。それでも国や電力会社は世界一の安全基準を盾に再稼働を目指す。ベースロード電源として経済の論理で推進するなら、事故リスクに伴う天文学的な損失をどう算出するのか。」
そして、「東西南北」は、こう語りかけるのである。
「四電は近く伊方原発を再稼働させる。先人の知恵と自然の恵みでおいしく育つミカンに、四つ目となる原発の光や熱はそぐわない。」
確かに、この地に、「太陽の光、宇和海からの反射光、石垣からの放射熱と三つの光や熱」以外の原発の光や熱は、いらない。
以下、大分合同新聞の引用。
大分合同新聞-東西南北-2016年7月20日
地図帳で日本中を探してみたが、愛媛県佐田岬半島ほど細長い半島はない。半島を尾根線沿いに縦断するメロディーラインだと、三崎港から八幡浜間は車で1時間弱。伊方町内は信号もなければ人家もない▼半島には海沿いの入り江ごとに小さな集落があり、集落同士を細い道路がつなぐ。1987年のメロディーライン開通前は、路線名の国道197号をもじって「行くな酷(こく)道」と呼ばれていた▼変化に富んだ地形には半農半漁の暮らしが息づく。自慢は愛媛が日本一を誇る温州ミカンだ。宇和海を望む南向き斜面に石を積み上げ、ミカン畑を造成した。太陽の光、宇和海からの反射光、石垣からの放射熱と三つの光や熱を浴びてミカンは育つ▼半島の根元に四国電力伊方原発がある。眼前に伊予灘が広がり、対岸に大分もある。原発の西に暮らす人たちは約5千人。細長い半島故に事故時には半島は分断され、海路で大分に避難するしかない。何より放射性物質が飛散すれば瀬戸内海は“死の海”になるだろう。関西も含む西日本は壊滅するに違いない▼5年前に東京電力福島第1原発の事故を体験し、原発の安全神話は崩壊した。それでも国や電力会社は世界一の安全基準を盾に再稼働を目指す。ベースロード電源として経済の論理で推進するなら、事故リスクに伴う天文学的な損失をどう算出するのか。四電は近く伊方原発を再稼働させる。先人の知恵と自然の恵みでおいしく育つミカンに、四つ目となる原発の光や熱はそぐわない。