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沖縄タイムスと琉球新報で高江を考える。-2016年7月21日

 沖縄タイムスと琉球新報の二紙は、2016年7月21日、緊迫する沖縄県高江の状況を、
「[緊迫高江]「暮らしと自然」こそ宝」「高江県道検問 市民の反対活動制限するな」、とそれぞれ社説を掲載した。
緊迫する沖縄県高江の状況を、この二紙で考える。
沖縄タイムスは、このように押さえる。


(1)主張
①「参院選が終わったとたん、手のひらを返したように強硬姿勢に転じるのは、話し合いで解決するという政治本来の役割と責任を放棄したのに等しい。憂慮すべき事態だ。」
②「なぜ、高江を取り囲むように計画されたのか。住民説明会でも地元の不安や懸念を解消することはできなかった。計画自体が住民無視のずさんなものだったのだ。生物多様性に富む『ヤンバルの森』がヘリパッド建設工事やオスプレイ訓練の影響を受けるのは避けられない。その点についても政府は説明責任を果たしたとはいえない。強権的ヘリパッド建設は、かけがえのない自然と住民生活を脅威にさらす『愚行』である。計画を見直すべきだ。」
(2)事実
①「東村高江周辺の緑豊かな『ヤンバルの森』が異様な緊張に包まれている。政府が22日にも、米軍北部訓練場でのヘリパッド建設工事を再開する意向を示しているためだ。
 警察庁は全国から500人規模の機動隊員を動員し、防衛省は応援のため本土の防衛局から約50人の職員を投入する計画だという。高江周辺の道路では、本土から大挙派遣された警察官が検問を実施し、住民に免許証の提示を求め、行き先を聞き、住所や名前まで記録している。それだけでも露骨な威圧である。プライバシー権の保護や表現の自由という点から言っても、あきらかにやり過ぎだ。」
②「映画『標的の村』の公開にあたって東村高江の安次嶺現達さんは、こんなメッセージを寄せている。『ヤンバルの豊かな自然を守りたい。家族を守りたい。ただ、それだけです』。」。憲法第13条によって保障された個人の尊厳と幸福追求権を、なぜ自分たちだけが享受できないのか、と訴えているのである。この言葉は重い。」
③「米軍北部訓練場の一部約3987ヘクタールの返還は、ヘリパッドの移設が条件になっている。『ヘリパッドが完成しなければ予定地の返還ができない』と政府は主張する。だが、この主張にはさまざまな疑問がつきまとう。
 1996年に返還合意した段階でも、高江区の集落を取り囲むように6カ所のヘリパッドを建設する計画が2007年に持ち上がったときも、オスプレイ導入の話は住民に知らされていなかった。政府がオスプレイの普天間飛行場配備を正式に発表したのは12年9月。13年1月には県内のすべての市町村議会が配備反対の意見書を決議し、安倍晋三首相に配備撤回の建白書を提出している。」
④「県が沖縄防衛局の資料を基に県議会で明らかにしたところによると、高江のヘリパッド周辺の6月の夜間騒音発生回数(午後7時~翌午前7時)は383回にのぼり、14年度の約24倍に達した。1日あたりの騒音発生回数も8倍に増えている。生活が変化し、騒音に脅かされるようになったのは明らかだ。『ロハスな暮らしの上空に戦争のためのヘリが舞う』(JCA-NETより)というのが、緑深い高江の現実なのである。」


 琉球新報は、このことによる具体的な被害の実態を告発する。


(1)主張)
①「警察権の乱用は明らかだ。市民の自由な活動を制限する不当な車両検問は直ちに中止すべきだ。」
②「無秩序な警察活動は、県民の警察への信頼、協力関係を損ねることを県警は肝に銘じてほしい。」(琉球新報)
③「北部訓練場『N4地区』ヘリパッド周辺の高江では6月の夜間の騒音発生回数が383回、2014年度の月平均の24倍にも激増している。オスプレイが飛来するヘリパッド建設により住民の平和的生存権、静穏な環境権が破壊されているのだ。
 住民にとっては死活問題だ。生命の安全、静かな生活環境を求める住民、県民の自由な反対活動は最大限、保障されねばならない。
 警察法2条、『憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用(らんよう)することがあってはならない』を警察はかみ締めるべきだ。」(琉球新報)
(2)事実
①「ヘリパッド建設工事の再開が予定される米軍北部訓練場のゲート前で、警察による一斉検問が行われた。交通量は少なく、普段、検問が実施されている場所ではない。犯罪車両の逃走など緊急に検問が必要だったわけでもない。
 普段と異なるのは、工事に反対する県民が東村高江のゲート前に結集していたこと。それと対峙(たいじ)し、県警、全国から多数の機動隊員、防衛省職員が現場に投入されていることだ。」
②「高江区に向かう全車両を停車させ、行き先などを聞き運転免許証を提示させた。2カ所で50分も停車させられた女性もいた。高江の抗議行動への参加を足止めし、抗議行動を鈍らせる狙いを疑わせる。県警は『交通安全および秩序の維持』などを検問の理由に挙げた。交通安全を妨げているのは不必要な検問ではないか。昼日中、県道の車両通行を制限することこそ秩序に反する。工事反対の市民活動を秩序に反すると言いたいのか。」
③「ヘリパッドとは無関係に、畑に向かうなど日常生活の交通を足止めされた住民もいたはずだ。無秩序な警察活動は、県民の警察への信頼、協力関係を損ねることを県警は肝に銘じてほしい。」
④「問題は多い。車両検問は(1)犯罪発生時の緊急配備(2)交通違反の予防摘発(3)交通事故多発地域での一斉検問-の3類型があるが、小口幸人弁護士は最高裁判例にも照らし「要件を満たさない違法な検問」と断じている。もう1点。検問で運転免許証を提示させたことについても小口氏は『みだりに個人情報を収集するもの』とし、プライバシーの侵害を指摘している。」


 現在の沖縄県高江における強権的ヘリパッド建設は、明らかに日本国憲法が保障する「人らしくある」という個人の権利を著しく侵すものである。
確かに、沖縄タイムスの指摘する「かけがえのない自然と住民生活を脅威にさらす『愚行』」でしかない。
 また、このことに伴い現実に起こっている「市民の自由な活動を制限する不当な車両検問」は、警察権の乱用にあたることは明らかである。
まさしく、琉球新報の「警察法2条、『憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用(らんよう)することがあってはならない』を警察はかみ締めるべきだ。」、ということに尽きる。
 「ロハスな暮らしの上空に戦争のためのヘリが舞う」(JCA-NETより)という表現は言い当てて妙であるが、「憲法第13条によって保障された個人の尊厳と幸福追求権を、なぜ自分たちだけが享受できないのか、と訴えているのである。」、という沖縄からの言葉の重みを日米両政府及び日米両国民はきちっと受け取らなければならない。


 以下、沖縄タイムスの引用。







沖縄タイムス社説-[緊迫高江]「暮らしと自然」こそ宝-2016年7月21日 05:00



 参院選が終わったとたん、手のひらを返したように強硬姿勢に転じるのは、話し合いで解決するという政治本来の役割と責任を放棄したのに等しい。憂慮すべき事態だ。

 東村高江周辺の緑豊かな「ヤンバルの森」が異様な緊張に包まれている。政府が22日にも、米軍北部訓練場でのヘリパッド建設工事を再開する意向を示しているためだ。

 警察庁は全国から500人規模の機動隊員を動員し、防衛省は応援のため本土の防衛局から約50人の職員を投入する計画だという。

 高江周辺の道路では、本土から大挙派遣された警察官が検問を実施し、住民に免許証の提示を求め、行き先を聞き、住所や名前まで記録している。

 それだけでも露骨な威圧である。プライバシー権の保護や表現の自由という点から言っても、あきらかにやり過ぎだ。

 映画「標的の村」の公開にあたって東村高江の安次嶺現達さんは、こんなメッセージを寄せている。「ヤンバルの豊かな自然を守りたい。家族を守りたい。ただ、それだけです」。

 憲法第13条によって保障された個人の尊厳と幸福追求権を、なぜ自分たちだけが享受できないのか、と訴えているのである。この言葉は重い。

 米軍北部訓練場の一部約3987ヘクタールの返還は、ヘリパッドの移設が条件になっている。「ヘリパッドが完成しなければ予定地の返還ができない」と政府は主張する。だが、この主張にはさまざまな疑問がつきまとう。
■    ■
 1996年に返還合意した段階でも、高江区の集落を取り囲むように6カ所のヘリパッドを建設する計画が2007年に持ち上がったときも、オスプレイ導入の話は住民に知らされていなかった。

 政府がオスプレイの普天間飛行場配備を正式に発表したのは12年9月。13年1月には県内のすべての市町村議会が配備反対の意見書を決議し、安倍晋三首相に配備撤回の建白書を提出している。

 県が沖縄防衛局の資料を基に県議会で明らかにしたところによると、高江のヘリパッド周辺の6月の夜間騒音発生回数(午後7時~翌午前7時)は383回にのぼり、14年度の約24倍に達した。1日あたりの騒音発生回数も8倍に増えている。

 生活が変化し、騒音に脅かされるようになったのは明らかだ。「ロハスな暮らしの上空に戦争のためのヘリが舞う」(JCA-NETより)というのが、緑深い高江の現実なのである。
■    ■
 なぜ、高江を取り囲むように計画されたのか。住民説明会でも地元の不安や懸念を解消することはできなかった。計画自体が住民無視のずさんなものだったのだ。

 生物多様性に富む「ヤンバルの森」がヘリパッド建設工事やオスプレイ訓練の影響を受けるのは避けられない。その点についても政府は説明責任を果たしたとはいえない。

 強権的ヘリパッド建設は、かけがえのない自然と住民生活を脅威にさらす「愚行」である。計画を見直すべきだ。


琉球新報社説-高江県道検問 市民の反対活動制限するな-2016年7月21日 06:02



 警察権の乱用は明らかだ。市民の自由な活動を制限する不当な車両検問は直ちに中止すべきだ。

 ヘリパッド建設工事の再開が予定される米軍北部訓練場のゲート前で、警察による一斉検問が行われた。交通量は少なく、普段、検問が実施されている場所ではない。犯罪車両の逃走など緊急に検問が必要だったわけでもない。
 普段と異なるのは、工事に反対する県民が東村高江のゲート前に結集していたこと。それと対峙(たいじ)し、県警、全国から多数の機動隊員、防衛省職員が現場に投入されていることだ。
 高江区に向かう全車両を停車させ、行き先などを聞き運転免許証を提示させた。2カ所で50分も停車させられた女性もいた。高江の抗議行動への参加を足止めし、抗議行動を鈍らせる狙いを疑わせる。
 県警は「交通安全および秩序の維持」などを検問の理由に挙げた。交通安全を妨げているのは不必要な検問ではないか。昼日中、県道の車両通行を制限することこそ秩序に反する。工事反対の市民活動を秩序に反すると言いたいのか。
 ヘリパッドとは無関係に、畑に向かうなど日常生活の交通を足止めされた住民もいたはずだ。
 無秩序な警察活動は、県民の警察への信頼、協力関係を損ねることを県警は肝に銘じてほしい。
 問題は多い。車両検問は(1)犯罪発生時の緊急配備(2)交通違反の予防摘発(3)交通事故多発地域での一斉検問-の3類型があるが、小口幸人弁護士は最高裁判例にも照らし「要件を満たさない違法な検問」と断じている。
 もう1点。検問で運転免許証を提示させたことについても小口氏は「みだりに個人情報を収集するもの」とし、プライバシーの侵害を指摘している。
 北部訓練場「N4地区」ヘリパッド周辺の高江では6月の夜間の騒音発生回数が383回、2014年度の月平均の24倍にも激増している。オスプレイが飛来するヘリパッド建設により住民の平和的生存権、静穏な環境権が破壊されているのだ。
 住民にとっては死活問題だ。生命の安全、静かな生活環境を求める住民、県民の自由な反対活動は最大限、保障されねばならない。
 警察法2条、「憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用(らんよう)することがあってはならない」を警察はかみ締めるべきだ。


by asyagi-df-2014 | 2016-07-21 12:45 | 沖縄から | Comments(0)

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